韓国の李在明(イジェミョン)大統領は1月6日、自身のX(旧ツイッター)に「死者への名誉棄損」と金柄憲氏らの活動を非難する投稿。19日に金氏は家宅捜査を受けました。
続いて2月1日には「人を害する獣は人に戻すか、隔離すべき」と投稿。3日に金氏は警察署で取り調べを受けました。
国家権力が言論の自由、表現の自由、集会の自由の権利を侵害し、一般市民と市民団体の活動を弾圧する。この韓国の現状を訴えるため、金柄憲氏の所属する市民団体(NGO)と日本のNGOが共同で国連の人権理事会に意見書を提出しました。
【 提出版PDF(原文英語版) 】

その日本語訳を以下にご紹介します。
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2026年1月23日提出
国連 人権理事会 61セッション 2026年2月23日-4月2日
議題4 理事会の注意が求められる人権状況
大韓民国で起きている表現の自由と人権侵害に関する国際社会への訴え
大韓民国は長い間、自由民主主義と法治主義を国是として掲げてきました。 多様な意見が共存し、少数の声も法の保護の下で尊重される社会という点を国際社会に絶えず強調してきました。 しかし、最近大韓民国で起きている現実は、このような自己規定と深刻な乖離を見せています。 私たちはまさにその乖離を国際社会に知らせようとこの文を書きます。
1. 大統領とSNS~国家権力からの圧迫
私たち「慰安婦法廃止国民行動(위안부법폐지국민행동 )」は、いわゆる「慰安婦問題」について、従来の通説とは異なる観点から歴史資料を研究し、その研究結果を国民に知らせる純粋な民間学術、市民活動を行ってきた少人数の市民団体です。 この数年間、私たちの活動は暴力や威嚇とは関係なく、集会と表現もやはり非暴力且つ非強制方式で行われました。 それにもかかわらず、私たちは今、大韓民国で「犯罪者」として扱われており、国家権力と言論から組織的で全方位的な圧迫を受けています。
事態の発端は2026年1月6日、イ·ジェミョン大統領が海外歴訪中に個人SNSを通じて特定言論報道を引用し、私たちの活動を「死者への名誉毀損」と規定したことから始まりました。最高権力者のこの一言はすぐに信号弾となりました。
その後警察庁は「慰安婦被害者対象の不法行為厳正対応」と題した報道資料を発表しました。 この資料には事実確認さえされていない各種の犯罪疑惑が断定的な口調で列挙され、直ちに特定警察署が私たちに対する「集中捜査官署」に指定されました。
捜査は開始と同時にすでに結論が下されたような様子でした。 無罪推定の原則は見当たりませんでしたし、私たちは捜査対象ではなく処罰の対象として扱われました。 押収捜索が続き、合法的表現活動に使われた物品まで一括押収されました。 家族と知人たちは連日あふれ出る「厳正処罰」報道に恐怖を感じ、活動を中断しろという訴えが続きました。これは個人の問題を超えて、表現の自由を行使した市民とその家族に加えられた深刻な精神的圧迫でした。
2. 市民活動に対するダブルスタンダード
さらに大きな問題は、メディアです。 多数のメディアは事実関係の検証や反論聴取なしに、私たちを「少女像テロ犯」、「慰安婦嫌悪勢力」、「強硬極右」とレッテルを貼りました。 これは報道ではなく烙印であり、批判ではなく悪魔化でした。
反面、私たちの集会と表現を妨害し、物理力を行使した反対団体の違法行為に対しては「そうかもしれない」という式の寛大な判断が繰り返されました。 法執行と司法判断で明らかな二重の物差しが作動しているのです。
私たちが批判してきた対象は、特定の個人や慰安婦個人ではありません。 私たちが問題にしてきたのは、歴史的論争が終わっていない事案を一つの政治的、道徳的正解として固定し、これを批判したり疑問を提起したりするすべての声を嫌悪と犯罪に追い込む社会構造です。 特に全国の学校校庭と公共場所に大量設置された「平和の少女像」が歴史的事実に対する討論の対象ではなく、批判不可能な神聖の領域として扱われる現実に対して問題を提起してきました。
その過程で私たちは少女像にマスクをかぶせて手札を置いた後、写真を撮る方式で意見を表現しました。 暴力も破損もありませんでした。 それでもこの行為は「侮辱」と「不法集会」と規定され、押収捜索と刑事捜査の対象になりました。 一方、少女像の前でマスクをかぶせて花束を捧げる偶像崇拝行為や、雨の日に銅像に傘をかぶせてあげる行為は美化され、保護されてきました。 果たしてこれが自由民主主義国家で許される公正な基準なのでしょうか。
3. 国家権力による強制と脅威
大韓民国で今起きていることは、ただ一つの市民団体に対する弾圧ではありません。 国家権力が歴史認識の特定方向を「正解」と定め、それに反する少数意見を警察力と刑事処罰の脅威として抑える危険な先例です。 大統領の公開的な非難、警察の先制的な烙印、言論の集団的な攻撃が結合する時、個人の自由と人権はどれほど簡単に崩れることができるかを示す事例です。
私たちは暴力団ではありません。 私たちは近現代史と慰安婦問題をこの数年間研究した学者たちの研究成果と一次史料を土台に正さなければならない真実を知らせようとした市民たちです。 その結果が従来の通説と異なるという理由だけで、国家と社会からここまで排除され、処罰されなければならないなら、大韓民国の民主主義は殻に過ぎないでしょう。
4. 私たちの人権理事会と国際社会への訴え
今、大韓民国では「異なる意見」を出したという理由だけで大統領の公の非難を浴び、警察の集中監視や尾行、盗聴や家宅捜索までされ、メディアから社会的死刑宣告に近い烙印を押される事態が起きています。 これは明白な表現の自由侵害であり、人権侵害です。
私たちは不当な圧力には決して屈しません。 しかし、この不当な状況を韓国内だけで訴えるには限界に達しました。 自由と人権を重視する国連の人権理事会と国際社会がこの事案に注目してくださることを、そして大韓民国が自ら掲げてきた民主主義の基準に符合する国として残るように関心と声を加えてくださることを丁重に要請します。
以上
<共同提出NGO>
・国連協議資格を持つNGO
Japan Society for History Textbook (新しい歴史教科書をつくる会)
International Career Support Association(国際キャリア支援協会)
・一般(国連協議資格を持たない)NGO
Korean History Textbook Research Institute(韓国史教科書研究所)
Citizens’ Action for Revocation of Comfort Women Law (위안부법폐지국민행동 慰安婦法廃止国民行動)
International Research Institute of Controversial Histories (国際歴史論戦研究所)









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