【説明】下に掲載する文書は、出崎が櫻井よしこに送ったもので、出崎が「企画書」とよんでいたものである。これについていくつかのことを指摘しておきたい。

① 上智大学で定められた書式は「研究内容説明書」である。それは出さずに、この「企画書」を出した。

② しかし、本来、「研究内容説明書」では明示が義務付けられている「研究責任者」「研究への参加と撤回」(研究協力者は参加を撤回出来ることの説明)「予測されるリスク」「研究成果の公表」などの重要事項が、この「企画書」ではスッポリと欠けている。

③ 最も隠蔽しておきたかったのは、「研究責任者」の名前であろう。ここには指導教員の名前を書くので、中野晃一と書かなければならないが、そのとたんにこの映画の陰謀がバレてしまう。だから、「研究内容説明書」は無視したのである。このことも、当然、指導教員(中野)と打ち合わせズミであろう。

④ 櫻井には「ケント・ギルバートの紹介」と言っている。保守系の論者の中の人的関係に通じていなければできないことだ。

⑤ 他のメンバーには、テーマを確定的に「歴史議論の国際化」としていたのだが、この企画書では、(仮)という部分が付け加わっている。この企画書の日付けは12月2日だが、この頃には「主戦場」というタイトルが浮上していたのかも知れない。

⑥ さらに注目すべきことは、他のメンバーにはなかった「秦桃子(インタビュワー)」という記載があることだ。この人は公式プログラムに「私は、ピンチヒッターという形で、当初から携わっていたが多忙のためにプロジェクトから抜けた日本人スタッフとの入れ替わりで入った」と言っている(22ページ)。つまり、出崎は中野がオーガナイズした多数の外部スタッフに囲まれて「卒業制作」をしていたわけで、本当に出崎の作品と言えるのかすら疑問である。当初から、誰はばかることなく、上智はこの反日映画の製作所と化していたのである! 秦桃子についてはまだまだ書くべきことがあるが、きょうはこのくらいにしよう。

⑦ 「概要」のところでは、「我々が慰安婦問題についての研究を進める過程で、日本の保守派がkの問題に関して説得力のある議論を展開していることが明らかになった」などと書いている。インタビューを受けさせるための「くすぐり」である。

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