菅総理大臣へ公開意見書~「学問の自由」の侵害を黙許し続ける日本学術会議への監督責任を問う

国際歴史論戦研究所は日本学術会議の梶田隆章 会長宛の第一回目質問状第二回目質問状 に続いて、令和3年(2021年)8月16日付で菅 義偉内閣総理大臣 宛に『「学問の自由」の侵害を黙許し続ける 日本学術会議 へ の監督責任を問う公開 意見書』を送り、同日、日本記者クラブにて記者会見を行いました。

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【 PDF版 】

令和3年(2021年)8月16日

内閣総理大臣 菅 義偉 殿

「学問の自由」の侵害を黙許し続ける日本学術会議への
監督責任を問う公開意見書

国際歴史論戦研究所会長 杉原誠四郎

謹啓
処暑のみぎり、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。菅内閣におかれましては、日々の政務を通して、日本の学術振興にも積極的に取り組まれていることに、国際歴史論戦研究所は心より敬意を表します。

さて、私ども国際歴史論戦研究所は、本年6月3日付けで、日本学術会議梶田隆章会長宛に「学問の自由」の侵害についての見解を問う公開質問状を送付し、同日、記者会見の場で公表しました。これは、米国ハーバード大学ロー・スクールのマーク・ラムザイヤー教授の論文、‘Contracting for Sex in the Pacific War’(太平洋戦争における性サービスの契約)に対し、署名を集めて撤回要求を突きつけるという事案が発生しており、これはまさしく「学問の自由」の侵害に当たるのではないかとの疑問から、6月末日を期限として日本学術会議の正式見解を問うたものです。

6月4日の記者会見にて、本件について加藤勝信内閣官房長官は記者の質問に答え、「日本学術会議法および日本学術会議会則によりますと、学術会議がその目的を遂行するために特に必要と考える事項について意見等を発表すること、とされており、その必要性も含めて、日本学術会議において適切にご判断されるべきもの」と、わざわざ対応の根拠となる法規を示しながらコメントされました。しかしながら、日本学術会議からは、私どもの質問には、形式上も、実質的にも、何の回答もありませんでした。

ところが、その後、日本学術会議の連携会員3名(駒澤大学教授姉歯暁、東京大学教授松島斉、明治大学教授西川伸一<敬称略>)が、当該論文撤回要求運動に賛同して署名をしているという重大な新事実が判明しました。そこで、7月9日、再度、日本学術会議の当該論文撤回要求運動に対する見解と、署名した連携会員3名の処分についての意向を問う公開質問状を送付し、同日、記者会見の場で公表しました。こちらは7月末日を期限としましたが、前回同様全く回答がありませんでした。(以上二回の公開質問項目は末尾に付記いたします)

一方、日本政府はこの件につき、すでに見解を表明されています。すなわち、本年3月22日、有村治子議員が参議院文教科学委員会でラムザイヤー教授が論文撤回要求という圧力を受けている問題に関して質問したのに対し、萩生田光一文部科学大臣は、「研究者が外部から干渉されることなく、自発的かつ自由に研究活動を行い、その成果を自由に発表することは尊重されるべき」と明確に答弁しています。

これに対し日本学術会議は、一連の経緯が示すように、国費で賄われている日本国の一機関であるにもかかわらず、この論文撤回要求運動という明らかに「学問の自由」を侵害する行動に対して明確な非難の意思を示さないのみならず、日本学術会議連携会員が、論文撤回要求運動に参加することをも黙許しているのです。これは明らかに上記の萩生田光一文部科学大臣の答弁、さらには加藤勝信官房長官のコメントの趣旨に反しています。

日本学術会議連携会員は、日本学術会議法第十五条第二項の定めにより、日本学術会議会長が任命した者です。さきに日本学術会議は、みずからが推薦した会員候補の一部が総理から任命されなかったという件で、「学問の自由」の侵害という観点から大いに世論を喚起しました。一方、自ら任命した連携会員が「学問の自由」を侵害する論文撤回要求運動に賛同署名しているという、「学問の自由」にとって圧倒的に重大な問題に対しては、日本学術会議は沈黙しているのです。これは、まさに価値判断を倒錯した愚行であり、日本学術会議は身内の利権のためにのみ「学問の自由」を掲げる羊頭狗肉の団体であると断じざるを得ません。

日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄の下にあります。また、連携会員を任命する日本学術会議会長は会員間の互選で選ばれますが、その日本学術会議会員は内閣総理大臣が任命した者です。以上のことから、総理大臣には、明らかに、日本学術会議に対して監督責任があります。
日本学術会議が、「学問の自由」の侵害を黙許しているというこの事実を踏まえ、わたくしども国際歴史論戦研究所は、以下のような処分を検討すべきであると考えます。今後の施策に生かして頂くことを希望し、公開意見書といたします。

  1. 日本学術会議がラムザイヤー論文撤回要求運動に対して明確な非難声明を出すよう指導する
  2. 日本学術会議が当該論文撤回要求運動へ賛同署名をした連携会員の除名等の処分を行うよう指導する
  3. 日本学術会議を国の機関としては廃止する(民営化)

なお、二回の公開質問の内容は次の通りです。

〇日本学術会議への公開質問①(令和3年6月3日送付)
【質問1】日本学術会議の「学問の自由」に関わる一般的姿勢についてお伺いします。学術共同体の真理探究の方法として、学術論文として表明された学説に対する批判は、①学術論文を通した反論によって遂行されるべきであると考えますか。それとも、②反対者の人数や外部からの圧力によって撤回を強いて異説を封じるという形態も、学術共同体の真理探究の方法として、認容されるとお考えですか。(本質問に関して明白なご回答をいただけない場合、日本学術会議は②を拒絶されないものと理解されます。)
【質問2】前項の質問へのご回答は今回のラムザイヤー論文に対しても適用されると考えてよろしいでしょうか?もし異なる場合は、今回のラムザイヤー論文においていかなる特殊事情があるのか、ご明示ください。(本質問に関して明白なご回答をいただけない場合、日本学術会議は恣意的な二重基準をも否定しない機関であるものと理解されます。)
【質問3】論文の撤回要求という「学問の自由」の根本に関わる、本事案に関して、今まで日本学術会議として何の見解も表明してこなかったのは、いかなる事情によるものでしょうか。

〇日本学術会議への公開質問②(令和3年7月9日送付)
【追加質問】上記3人の連携会員に関して、事実関係を調査の上、①除名等の適切な処分を行うこと、②論文撤回要求に対して日本学術会議として明確な非難声明を出すこと、③上記①②に関し日本学術会議のホームページ等を通じて一般に文章で公開すること、が必要であると考えますが、その意思はありますか。

以上の通りですのでよろしくお願い申し上げます。

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< 参考ニュース >

産経ニュース  2021.8.16
沈黙の学術会議は廃止を 慰安婦問題で民間団体
https://www.sankei.com/article/20210816-3PQ64TJZIFO2TLWG4LANQMNUTI/

zakzak 夕刊フジ 2021.8.16
沈黙の「学術会議」 歴史研究家ら菅首相に公開意見書提出へ ラムザイヤー教授へ「学問の自由」侵害の糾弾活動めぐり
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210816/dom2108160004-n1.html

2 thoughts on “菅総理大臣へ公開意見書~「学問の自由」の侵害を黙許し続ける日本学術会議への監督責任を問う

  1. Shusaku Tsuda says:

    賛同致します。


  2. プロパガンダバスターズ says:

    https://apjjf.org/2021/5/ConcernedScholars.html

    茶谷某らのラムザイヤー論文に反対する対抗論文らしいです。ご確認ください。


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