韓国国史教科書研究所の金柄憲所長から教えていただいた資料をご紹介します。
韓国の大法院(最高裁)の1966年の判決文に「慰安婦とは売春行為をする女性を指す」と書いてあるものがあります。
裁判の原告は慰安婦(売春婦)4人。被告は国、大韓民国。
1966年当時の韓国では、売春婦という名称が直接的ということで、売春婦のことを慰安婦と呼んでいたそうです。
裁判の経緯は、売春婦が何かの事故にあい、それ以上売春の仕事ができなくなったので、月4000ウオンの利益があるとみて、売春の仕事が可能な年齢を35歳とみなして原告は5000ウオン×12年6ヶ月の計算をして賠償金を得ようとしたが、売春自体が不法なので却下されたというものです。
以下がその判決文の日本語と韓国語です。
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最高裁判所1966.10.18.宣告66ダ1635,1636判決
【損害賠償】、【家14(3)民、166】
【判示事項】
犯法行為を継続して得ることができる収益を、損害額算出の基礎とした実例
【判決要旨】
一般的に日常用語において慰安婦とは売春行為をする女性を指すものなので法律が禁じている売春行為を35歳まで継続できることを前提として、慰安婦が他人の不法行為を含む事故により失われた収益損害額を算出するにあたって、このような犯法行為を継続して得ることができる収益を基礎にすることはできない。
【参考条文】
民法第763条、民法第752条、倫楽行為等防止法第4条
【専門】
【原告、被上告人】原告1名他3名
【被告、上告人】国
【対象判決】
【原審判決】第1審ソウル民事地方、第2審 ソウル高等 1966. 7. 1. 宣告 65ナ2590、2591判決
【注文】
原判決を破棄し、事件をソウル高等裁判所に差し戻す。
【理由】
被告訴訟遂行者の上告理由について判断する。
原判決をみると、原審は本案に関する判断においては第1審判決理由を引用しているところ、第1審判決によれば、甲第1、4、5、7号証の各記載と第1審証人訴外1の証言に弁論の全趣旨を総合して被害者訴外2は本件事故当時の接待婦として金4,000ウォンの月純収入を上げていた事実などを認め、特段の事情がない限り同人は、本件事故時から35歳に至るまで、今後12年6月間接待婦として月金4,000ウォンのうべかりし利益を喪失したと断定し、これを基に原告らの本件損害賠償額を算定している。
しかし、本件訴状の記載によれば、上記訴外2は1964年初頃から慰安婦として月5,000ウォンの収入があったというのが原告らの主張であり、また原審が取信している甲第5号証の記載によれば、上訴外2は慰安婦として月5,000ウォンの収入があったことが明らかで、上の判決が訴外2が接待婦として毎月「金4,000」ウォンの純収入があったと判示したのは慰安婦としてそのような収入があったという趣旨であることがうかがわれ、であるならば、日常用語において慰安婦とは売春行為をする女性を指すものであり、原審は結局訴外2が法律が禁止している売春行為を35歳まで続けることができることを前提として本件損害額を算定していることになり、その場合、犯法行為を続けて得ることができる収益を損害額算出の基礎としたのは間違いではないとは言えず、論旨は筋が通っている。
したがって、民事訴訟法第406条第1項により、関与法官の一致した意見で注文のとおり判決する。
最高裁判事裁判官サ・グァンウク(裁判長)キムチガールチェ・ユンモ
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【 原文韓国語PDF版 】
[出典] 総合法律情報 종합법률 정보 https://glaw.scourt.go.kr/wsjo/intesrch/sjo022.do