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【報告】「主戦場」訴訟第1回口頭弁論 2019.9.19

映画「主戦場」に抗議します!から「「主戦場」訴訟第1回口頭弁論報告」の記事を転載いたします。
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藤岡信勝

9月19日(木)午後2時から、東京地方裁判所第806号法廷で開かれました。

廷内は、傍聴席から向かって左側が原告席で、原告の山本優美子、藤岡信勝と代理人弁護士髙池勝彦ほか3人が座りました。右側の被告席には、被告の出崎は欠席で、映画配給会社東風の代表社員・木下繁貴と弁護士岩井信ほか4人が座りました。傍聴席はほぼ満員。大雑把にいうと、原告側が約30人、被告側が約10人という比率でした。どういうわけか、被告側の傍聴者は途中から数人、帰ってしまいました。

2時キッカリに裁判官が入廷。全員起立しました。中央が裁判長で、裁判長の左となりは男性、右となりは女性の陪審裁判官でした。

裁判長が口を開き、原告側の訴状と甲(原告側)証拠1~5が出ていること、被告の答弁書と乙(被告側)証拠1~2が出ていることを確認しました。

裁判長から、被告側に「この他に反論を出す予定はあるか」と尋ねました。それに対し岩井弁護士は、「答弁書で完結している。訴状に過不足なく答えているので、これ以上付け加えることはない」と答えました。

裁判長から原告側に、①答弁書への反論、②訴状で「追って主張する」と書かれている著作権に関わる法理論についての新たな主張の展開、の2点について、次回口頭弁論までに提出することを求めました。

ここで、原告側代理人の髙池弁護士が、映画のDVDを証拠として出すよう被告側に求めました。これに対し、被告側は「検討します」と答えました。荒木田弁護士が、「被告側に、出さないという選択肢はあるのか」と訊きました。それに対しては、「使われ方にいろいろあるので、検討します」と答えました。裁判長は、被告側に「検討して下さい」と言いました。

あとでの報告会では、被告側は、DVDを商業的に使わないことなどの条件を付けてくるのではないかとのことです。もし映画のDVDを出さなければ、原告側の主張が100パーセント通ることになります。

このあと、原告の山本優美子、藤岡信勝の両名が意見書を読み上げました。発言時間は両者ともキッカリ5分でした。それもそのはず、5分ということを事前に求められていて、時間を計って臨んでいました。

第2回口頭弁論は11月14日(木)午後2時で、法廷は変わる可能性もあるとのこと。原告の上記①②の文書は、10月30日までに、裁判所と被告側に送達することになりました。

2時25分、閉廷。終了後40分ほど、別室で報告会を行い活発な質疑がなされました。

傍聴者の感想を2件紹介します。

 

■ 佐藤和夫氏

慰安婦捏造映画主戦場訴訟第一回公判に行ってきました。

原告側から山本優美子さんと藤岡信勝先生が出崎氏の嘘により名誉毀損を受けたと上映の禁止と賠償金の請求を求めた。お二人共堂々と論点を明瞭に説明された。

傍聴席は大半が保守側、記者会見の時とは打って変わった状況だった。国内戦では言論、裁判とも負け続けていたので、出崎の映画は左翼側の溜飲を下げた。しかし表現の自由とか著作権とか言って目くらましをしても騙した事実は隠せない。旗色の悪さに左翼側の傍聴者も来づらいと思ったのだろう。

しかし朝日の北野記者、元北海道記者も傍聴しており、左翼側の我が方の情報収集には感心する。

11月14日、二回目の公判(正しくは民事では口頭弁論という-藤岡注記)がある。裁判は長期戦になるのでその間日本の映画館やアメリカの大学で放映されると言う。捏造映画が裁判中も放映されるのを止める為に仮処分の訴訟を起こすそうだ。(正確には検討中-藤岡注記)慰安婦歴史戦の本丸はアメリカである事が明らかになった。

 

■ 関野通夫氏

この問題については、藤岡先生や「発信する会」から詳細な説明がなされており、私が何か書く必要はありませんが、本日、第一回公判を傍聴し、今後もできる限り傍聴するつもりなので、特にかつて吉見義明対桜内文城の裁判公判をほとんど(籤に外れたとき以外)傍聴したので、特にその時との比較などレポートしてみたいと思います。

吉見教授が起こした裁判では、ほとんど常に、傍聴は籤にあたらねばできず、その分早く家を出るとか、くじに当たった篤志家に譲っていただけなければ傍聴できなかったが、今日は、くじ引きもなく、そのために並ぶ必要もなく806号法廷に入廷できました。

このことは何を言っているのでしょう。出崎と吉見の左翼の中における立ち位置が違うのでしょう。出崎を支持する組織的動きは日本ではあまりないのでしょうか。吉見教授は、それなりに人格的にも左翼の中で尊敬されていたのではないでしょうか。そういうものを出崎は持っていないのか、そのバックにいる中野教授もそれほどの勢力はないのか、あるいは出崎は、日本でより、アメリカでのほうがパワーがあるのかいずれかだと思いますが、今後も継続的に見守っていこうと考えています。

一方、出崎の基本的な狙いや作戦をできるだけ早く知る必要があります。普通なら、あれだけの詐欺行為をやれば訴えられるのは当然と考え、それでもよしと考えたのでしょうか。彼を裁判でやっつけることのほかに、出崎は建前上、慰安婦という虐げられた人を擁護するという正義を行っていることになっているのでしょうが、その男が、大勢の人を騙すという不義を行うという矛盾を強調すべきだと思います。

また、彼をアメリカで訴えられないかというようなことも頭に浮かびます。一般的に、アメリカでの損害賠償は、べらぼうに高いと理解していますが。

■ 原告 山本優美子が読み上げた意見書

私は、いわゆる慰安婦問題に取り組む市民団体「なでしこアクション」代表 山本優美子と申します。

慰安婦について世界中に広まった誤解を解き、日本と日本国民の名誉を守るために海外の慰安婦碑や像の設置反対運動、国連の人権委員会やユネスコにおいて慰安婦の真実や日本の立場をアピールする活動を続けてきました。

世界中に広まった誤解とは「慰安婦の強制連行、数20万人以上、性奴隷」です。これらがいずれも真実でないことは、日本政府の見解でもあります。

ところが、海外では、依然として「慰安婦はアジアのホロコースト」のプロパガンタが広がっています。その影響で、私たちが様々な資料を提示して、それが虚構であることを証明しても、「リビジョニスト、ナショナリスト、レイシスト、ファシスト」などと呼ばれることがあるのです。

例えば、私が2014年7月国連の人権委員会に参加した時、何と、国連側のスタッフから「リビジョニスト」と呼ばれました。また、2014年12月、サンフランシスコで講演した時は、プラカードを掲げた人たちから「ヤマモトユミコ レイシスト、ナショナリスト、出て行け」との罵声を浴びました。ニューヨーク市でも同じ様な経験をしました。

慰安婦強制連行説や性奴隷説を否定する立場の私たちは、海外では、このように不当に侮辱され、時には身の危険に晒されることもあるのです。

私が映画「主戦場」に登場するに至った経緯(いきさつ)を説明します。

私が役員の一人である「歴史の真実を求める世界連合会」という団体が、2016年5月23日、議員会館で米国グレンデール市慰安婦像撤去訴訟の報告会を開きました。当日、上智大学院生で「慰安婦の研究のために報告会のビデオ撮影をしたい」という出崎幹根氏が友人たちと一緒に撮影機材を持って参加し、私は彼らから挨拶されました。

報告会翌日、出崎氏から「件名:上智大学院の出崎幹根のドキュメンタリーインタビューご協力のお願い」のメールを受信しました。メールには丁寧な日本語で次のように書いてありました。

「私は日系アメリカ人で、現在上智大学で大学院生をしております」

「慰安婦問題をリサーチするにつれ、欧米のリベラルなメディアで読む情報よりも、問題は複雑であるということが分かりました。慰安婦の強制に関する証拠が欠落していることや、慰安婦の状況が一部の活動家や専門家が主張するほど悪くはなかったことを知りました。私は欧米メディアの情報を信じていたと認めざるを得ませんが、現在は、疑問を抱いています」

「大学院生として、私には、インタビューさせて頂く方々を、尊敬と公平さをもって紹介する倫理的義務があります」

「これは学術研究でもあるため、一定の学術的基準と許容点を満たさなければならず、偏ったジャーナリズム的なものになることはありません」

「公正性かつ中立性を守りながら、今回のドキュメンタリーを作成し、卒業プロジェクトとして大学に提出する予定です」

私は、出崎氏が在学したと同じ上智大学の卒業生です。海外からの留学生が多かったこともあり、日本で学ぶ学生を応援したい気持ちが強くありました。また、米国で慰安婦問題が広がる中、日系人である出崎氏が慰安婦問題を研究するなら協力したいと思ったのです。

私は、6月11日、母校上智大学四谷キャンパスの教室で2時間ほど出崎氏らのインタビューを受けました。

インタビューに際して、私は、承諾書に捺印しましたが、それは、当然、出崎氏がメールで説明した「学術研究の卒業プロジェクト」であると理解していました。よもや、街中の劇場で入場料を徴収して一般公開するような映画になるなどとは説明を受けませんでしたし、想像もしませんでした。

それから卒業プロジェクト完成の連絡もないまま、2年以上経った2018年9月30日、突如、出崎氏から「10月7日に釜山国際映画祭において公開」とのメール。次いで、2019年2月28日に「4月20日から東京・渋谷を皮切りに、全国で順次公開」とのメールを受信しました。

映画を見ました。「尊敬と公平さ」「公正性かつ中立性」などかけらもないものであることに心底驚きました。

映画は、先ず、冒頭で、保守系の人たちを画面いっぱい大きな文字で「右翼」「ナショナリスト」「歴史修正主義者」「歴史否定主義者」とレッテルを貼ることから始ります。終盤で今度は、私たちを「人種差別主義者、性差別主義者、ファシスト」と罵るのです

もし上智大学院生の卒業プロジェクトでなかったなら、もし一般公開される商業映画であることを知っていたなら、もし「主戦場」のシナリオを知っていたなら、私は、出崎氏のインタビューに協力することなど絶対にありませんでした。なぜなら、冒頭で述べたように、慰安婦の強制連行や性奴隷説を否定する立場の私たちは、特に海外では一方的に酷いレッテルを貼られ、罵られ、時に身の危険を感じることもあるからです。

このような映像が、堂々とドキュメンタリーと称する商業映画となり国内外で一般公開されつづけて良いものでしょうか。既にこれまで公開された間の私たちの精神的苦痛、名誉と尊厳への損害は計り知れません。

私はこの映画の一般公開の即刻中止を求めます。

以上、私は、裁判所の良識を信じて私の意見陳述を終えます。

■ 原告 藤岡信勝が読み上げた意見書

(1)私は、約40年間、北海道教育大学、東京大学、拓殖大学に奉職し、研究と教育に携わって来た者です。専攻は教育学です。現在は一切の職を退いております。

(2)日本で慰安婦問題がテレビを含めメディアで広く取り上げられるようになったのは、1991年の12月でした。

当時、私は文部省派遣の在外研究員としてアメリカにおりましたが1992年8月に帰国してからこの問題を調べました。

すると、秦郁彦という歴史学者が、奴隷狩りが行われたという韓国の済州島で現地調査をしたところ、誰一人そんなことは見たことも聞いたこともないと言っていたことを知りました。

また、西岡力という韓国研究者は、元慰安婦の女性からの聞き取り調査などによって、日本の官憲による強制連行を矛盾無く証言した者はただの一人もいないことを突き止めました。

慰安婦問題とは、日本から補償金を取るためと、日本人が悪逆非道であると世界に印象づけることに利益を感じる勢力によって、日本叩きの目的で捏造された問題であることがわかりました。

今では、日本国内の慰安婦論争は決着がつきました。

(3)2016年9月9日、私は上智大学大学院生・出崎幹根のインタビューを受けました。

この件に関して二つの論点があります。

第一は、インタビューの目的が学術研究だったことです。

私がインタビューに応じた最大の理由は、目的が「学術研究」であったからです。

被告・出崎は、「卒業制作として、他の学生と共にビデオドキュメンタリーを製作しておりまして、ドキュメンタリーは『歴史認識の国際化』をテーマとしています」と書いていました。

私も大学で学生の卒業論文や修士論文を指導していた時には、学外の多くの方々にお世話になりました。

学問研究の世界は一種の共同体で、特に学生の研究にはお互いに協力してやらねばならない、という規範があります。

私は被告・出崎に何の疑念を持ちませんでしたが、ただ一度だけ、強い不審の念をいだいた瞬間があります。

それは、ビデオ撮影が終わって、被告・出崎から承諾書にサインしてほしいと切り出された時です。

こちらは善意で協力しているのになんで承諾書が必要なのか、と腹立たしい思いをしたのです。

「そういう文書にサインするのは私の趣味に合わない」と言ってサインを拒否し、出崎らを追い返しました。

ところが、『ニューズウィーク日本版』6月25日号の朴順梨のレポートでデザキは、承諾書・合意書には「学術プロジェクトとは一切書かれていない」とシラを切りました。

これは詐欺的行為の自白に等しいものです。

アプローチの段階では、学術研究であるとして商業映画であることを徹底的に隠蔽し、映画を公開するときは、それが大学院の卒業制作であることをあくまで否定する。

これはデザキの企画が初めから協力者をペテンにかけて騙すために、巧妙に仕掛けたものだったことを疑問の余地なく示しています。

(4)第二の論点は、私に無断で商業映画に映像・音声を使用することは「合意書」違反であるということです。

指導教官・中野晃一教授から私のサインを貰わなければ研究を始めることはできないと言われた被告・出崎は、藤木俊一氏と交わした「合意書」を送ってきて、これで何とかサインしてほしいと懇願しました。

藤木氏の書き直した「合意書」は、取材される側の権利も書かれていました。

それで私は妥協して、合意書にサインしました。

出崎の行為は合意書の5・6・8項に違反しますが、ここでは、8項のみ問題にしてみます。

8項には、「甲[デザキ]は、撮影・収録した映像・写真・音声を、撮影時の文脈から離れて不当に使用したり、他の映画等の作成に使用することがないことに同意する」と書かれています。

私は、被告・出崎の「卒業制作」には協力しましたが、商業映画に使用してよいという許可を与えたことは一切ありません。

私の許可なく、無断で、私のインタビュー映像等を自分の商業映画に使ったデザキは、「他の映画等の作成に使用することがないことに同意する」という合意書の禁止規定に明白に違反しています。

(5)学術研究は人を傷つけるためにあるものではありません。

まして、学術研究を騙って善意の協力者を騙すこのような行為は決して許されるものではありません。

映画の上映地域の拡大に比例して、私の精神的苦痛、人権侵害の被害は増大しています。

裁判所の賢明なご判断が得られますことを信じております。

詐欺映画「主戦場」の正体

映画「主戦場」に抗議します!から「詐欺映画「主戦場」の正体」の記事を転載いたします。

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2019年4月8日(9月14日改題)

テキサス親父日本事務局 藤木 俊一

 4月4日に外国人特派員協会 (FCCJ)にて行われた慰安婦問題のドキュメンタリー「主戦場」(上映時間2時間2分)の試写会&記者会見に、 私、藤木俊一は、高橋史朗麗澤大学教授らと共に参加した。

会場には約100名ほどの報道陣、その他の参加者が来ており、その半数を少し越えた位が、白人で、残りが日本人という参加者の構成であった。

この1週間ほど前に、私とケント・ギルバート氏が食事をした際に、 ケント氏が試写会を見て来たとの事で、その感想を「とにかく酷い」 「見るに値しない」などの感想を漏らしていた。

 

・このフィルム制作の手法

私の見た感想は、米国のいわゆるフェイクニュースの代表であるCNNなどと同じ手法でこのドキュメンタリーが作られているということ。

切り取りと歪曲、捏造だらけである。インタビューの一部のみを切り出し、そこを徹底的に反証させるというやり方である。

それに、慰安婦問題の核の論争に触っているようで、実際には結論を有耶無耶にして、我々に単に「レッテル貼り」をして貶めるという古典的な手法であった。

例えば、テキサス親父(トニー・マラーノ氏)がインタビューを受けた際に「米国の公文書に、慰安婦たちは日本人の基準でも、白人の基準でも魅力的ではなかった(=不細工という意味」と書いてあったので、米国・グレンデール市の慰安婦像に紙袋を被せた。

これは、俺が言ったことではなく、米国の公文書に書いてある事であり、文句があるなら俺ではなく、米国政府に言ってくれ」 と発言した中の「慰安婦は不細工だったので紙袋を被せた」とのみフィルムの中では表現していた。

完全に切り取り、捏造である。さらには、テキサス親父がYouTubeに投稿していた慰安婦問題関連の動画2本を許可無く「商業映画」の中で使っている。これは、明らかな著作権侵害である。

私との2016年9月のやり取りでは、「フィルムが完成したら公開前に私に見せ、意図と違う使い方をされている場合は、フィルムの最後のクレジット部分に、私が主張すること全てを掲載する」と約している。

しかし、その2年後の2018年9月に突然、「残念ですが、内容のリークの可能性および著作権の関係で見せられない」とのメールが送られてきた。

他人の著作権は簡単に犯すが、自分の著作権は守るというデザキ氏の異常な姿勢が見て取れる。

このフィルムには、最初から最後まで、この手法が使われており、我々側から反論がされないように我々のインタビューの順番を意図的に先に持ってきている。

フィルムの初めの段階で、藤岡信勝氏、杉田水脈氏、ケント・ギルバート氏、私、そして、トニー・マラーノ氏の写真をならべ、その上に「リビジョニスト(歴史修正主義者)」、「ディナイアリスト(否定主義者)」と、ちょうど米国などにある「WANTED」という指名手配写真のようにレッテル貼りがなされていた。

その後にも、「ライト・ウインガー(右翼)」、「コンフォート・ウーマン・ディナイアー(慰安婦否定者)」、「セクシスト(性差別主義者)」などとの一方的なレッテル貼りがフィルムのあちこちで行われており、「学術的な倫理が要求されるので公平に扱う」と我々全員に説明していたデザキ氏は、「学術研究」を語り、明らかな虚偽の説明をしたことになる。

 

<監督デザキの記者会見での発言から分かった事>

全編の上映の後に制作者のデザキ・ミキネ氏の記者会見があり、ドキュメンタリーそのものからと、デザキ氏自身の記者会見での発言から、次の事が確認できた。

1.スタッフの国籍: アシスタント・プロデューサーが韓国人である。(デザキ本人の記者会見での発言)

2.インタビューの順序: 「慰安婦は高給取りの売春婦であった」とする我々側のインタビューを先に行い、「慰安婦は性奴隷であった」とする日本の左翼や朝鮮人に見せた上で、それに関して、一方的に反論させるという、全く卑怯な手法を使っていたることがわかった。

左翼や朝鮮人側のみに一方的に反論の機会を与え、我々には一切の反論の機会を与えずに、我々の発言を切り取って、意図的に悪用したものに過ぎない。

3.登場人物の比率: 登場する「学者の数」であるが、左翼・朝鮮人側は、吉見義明氏、小林節氏、その他の学者へのインタビューがあったが、こちら側は、藤岡信勝氏のみであった。

西岡力氏、秦郁彦氏など、慰安婦問題が起きた1990年初頭から調査を行って来ている学者のインタビューは、藤岡氏を除き一切なかった。

また、全体の出演者の数も、我々側が8人に対し、左翼・朝鮮人側が18人と、一方的であり、完全にバランスを欠いている。(この場合、朴裕河氏は中立と見る)

4.加瀬英明氏への批判と諸団体への批判: 「様々な慰安婦関連の歴史修正主義者たち側の団体を調べると、ほとんどの団体の代表が加瀬英明氏である」とのナレーションがあり、(これは事実に反している=捏造)であり、その後に加瀬英明氏にインタビューをしているシーンがあり、その内容は「吉見義明氏の本は読んだことがありますか?」というもので、加瀬氏は「誰それ?」と返答。加瀬史が、吉見氏を知らないはずがないが、デザキ氏の的外れな質問に、意図的に「誰それ?」と返したのは、我々側の人間であれば、明らかである。

「秦郁彦氏の本は?」とも聞かれ、「私は他人が書いた本は読まないから知らない」 と返答し、会場の白人、約10人ほどが、軽蔑したように大声で笑っていた。

この結果、完全に加瀬英明氏が「ピエロ」に仕立て上げられており、その人が代表を務める多くの団体の信用を一気に崩すという手法が使われていた。誠に狡猾である。

5.虚偽による団体への攻撃: 日本会議、神社本庁、靖國神社などに対する根も葉もない攻撃、安倍首相批判などは、完全に従来の日本の左翼や、支那、朝鮮の主張と同様で、慰安婦問題に無関係な沖縄の基地問題、日本の軍備に関する内容にまで及び、日本叩きを展開。日本会議は、「明治憲法に戻そうとしている」など、根も葉もない事をデザキ氏本人が、ナレーションで語っている。

日本会議に照会したが、その様なことはあり得ないとの事。

さらに、日本の首相の靖國参拝に関し、「靖國神社は宗教法人であり、アーリントン墓地は国立であることから、米国大統領が国立アーリントン墓地に行くのとは異なる」との解説が入っていた。

6.目良氏への個人攻撃: 目良浩一氏のサンフランシスコ市議会での発言の後の1人の市議の 「Shame on You!」の連続を殊更に強調し、一方的な印象操作を行っていた。この場面でも、記者会見会場の白人の10名ほどが、目良氏に対して文句を言い、嘲笑する態度をとっていた。

7.自分に対する攻撃へのリベンジ: デザキ氏は、6年ほど前に当時、少々、ネット上で炎上した「Racism in Japan (日本には人種差別がありますか?)」という動画をYouTubeに投稿していた。

デザキ氏は、なぜ、自分が当時、強い非難に晒されたのかをいまだに理解出来ていないようである。

この動画は、今回の「主戦場」同様に、デザキ氏の日本に関する無知から来た炎上だったのだが、本人は、自分の無知を反省するではなく、その動画を非難していた日本人を総じて「右翼」や「歴史修正主義者」と決めつけたのだ。

当時、デザキ氏は糸満高校でALT(アシスタント・ランゲージ・ティーチャー=英語の補助教員)をしており、一部のネットユーザーが、この職場へ抗議の電話等を行ったとデザキ氏は言っていた。

このデザキ氏への抗議に対する「復讐」のために作られたのが、この「主戦場」であることは容易に想像できる。

デザキ氏は、自らを「慰安婦の嘘」をいくつもの記事にした元朝日新聞の植村隆記者とダブらせていたのだ。

植村元記者の就職先である北海道の北星学園大学へ、この植村元記者の過去の数々の記事で「日本人の名誉が世界的に傷付けられた」と考えた日本国民が抗議し、結果として解雇された境遇と重ね合わせ、自分も「歴史修正主義者」や「右翼」の「被害者」であるという意識が芽生えてきたようである。

デザキ氏は、自らが製作した「デザキ氏の無知から来る日本観」、「米国で受けた米国の歴史観」を裏取りもせずに薄弱な知識で作ったYouTubeの動画に対する反省など一切ないどころか、被害者になりすます時点で、慰安婦マフィアたちと同じメンタリティであり、当初から、このフィルムでリベンジ(復讐)を行おうとしていたことが読み取れた。

8.会場に詰めかけた反日白人達のリアクション: このフィルムは、藤岡信勝氏、杉田水脈氏、ケント・ギルバート氏、トニー・マラーノ氏、櫻井よしこ氏、加瀬英明氏、山本優美子氏、そして私に、先にインタビューをし、それに対して左翼が反論を行っているので、完全に「一方通行」の内容となっており、各場面で(強制か否か、高給取りだったか否かなど)左翼・朝鮮人たちが、我々側の発言を証拠も無しに覆した部分で終わっており、その度に、会場の白人たちが大歓声を上げるという異様な雰囲気の試写会であった。

例えば、「高給取りであった」と、我々サイドの発言があった後に、ミヤンマーでの当時の「インフレ率」を持ち出して、「実際の価値は、額面の1800分の1の価値しかなかったのでリビジョニストがいう事は嘘である」という部分で切られている。そうすると、会場の白人からは歓声と拍手が湧くという具合であった。

しかし、ミヤンマーのインフレ率に関する一次資料などは、一切、示されていない。まさに慰安婦たちの「証拠がない証言」を鵜呑みにする人たちらしい思考回路である。たとえ、そのインフレが事実であったとしても、慰安婦たちは、円貨の「軍票」にて支払われており、それを預金通帳に入れる事もできていたのは、当時の様々な証拠をみれば明らかであり、日本や朝鮮半島に送金するに当たっては、ミヤンマーのインフレなど一切関係ない。

デザキ氏は、我々のこのような反論をする機会を意図的に作らなかったのである。

さらに、当時の慰安婦の女性が、「本人名義で通帳を作れていた」という事自体、当時の西洋諸国では考えられない程に、日本の女性の権利が守られていた事に関しては、言及していない。

インタビュー時には、この件も、私は話をしたが、その様な場面は全く使われていない。世界の多くの国々では、1960年代、70年代まで女性が銀行口座などを作る場合は、配偶者の許可が必要であったことなど、この無知のデザキ氏には想像も出来なかったのであろう。

 

・この他に非常に問題がある部分

A.ノーマン・ミキネ・デザキ(出崎幹根)とは: このデザキ・ミキネという人物は、約6年前に「語学指導等を行う外国青年招致事業」JET Programme (The Japan Exchange and Teaching Programme) で来日し、ALR(英語補助教師)として中学校や高校で英語を教えていた。

その間に「Medama Sensei めだませんせい」というYouTubeアカウントで、「Racism in Japan 日本では人種差別がありますか?」というデザキ氏の中途半端な知識で、日本を貶めるための動画を投稿し炎上させたという経歴がある。 これが、完全に偏見に満ちた動画で、人種差別のひとつの例として、「バカチョンカメラ」が上げられている。

物事を知らないにも程がある。

完全に被害者ビジネスの朝鮮人のこじつけを盲信した結果であろう。

この結果、デザキ氏が務める学校へ、多くの抗議の電話やファックスが全国から送られたとのこと。これが、元朝日新聞の植村隆氏の慰安婦問題の捏造記事の関して、北星学園大学へ同様のことが行われたこととダブって見えたのだ。

B. デザキ氏の主張: このデザキ氏への攻撃を行ったとしているのが、日本の「右翼」や「歴史修正主義者」たちで、自分は言論の自由を守るために屈しなかったと本人が言っていた。

その後、1年間、タイに行って僧侶になるための修行を行い、僧侶になったとの事。 (たった1年の修行で僧侶になれるのか?)

C. デザキ氏からの私へのアプローチ:  2016年6月に私も執筆者の1人として関わった『国連が世界に広めた「慰安婦=性奴隷」の嘘 ― ジュネーブ国連派遣団報告「慰安婦の真実国民運動」』の出版発表会を中野サンプラザにて開催したのだが、その時にデザキ氏より、「現在、上智大学で研究をしており、卒業研究で慰安婦問題を取りあげたいので、インタビューに協力して欲しい」との申し出があった。テキサス親父(トニー・ マラーノ氏)と、私に対してインタビューしたいとの事であった。

D. デザキ氏の当初の嘘: あくまで、「卒業研究」であり、学術的な見地が必要なために、公平な立場で取材をするとの事だったので、切り取りや偏向をしないとの事であれば受けても良いと承諾した。学生に「協力して欲しい」と言われれば、よほどの事情が無い限り、善意での協力をする事を見越し、悪用したということである。

E. インタビューの時期: 私は、2016年9月にテキサス親父日本事務局事務所内でインタビューを受け、トニー氏は、2017年1月の来日の際にトニー氏と私で、上智大学に車で出向き、教室内でインタビューを受けた。

F. フィルムの構成: 内容は、切り取りを基にして、我々側の出演者たちを「リビジョニスト」「ディナイアリスト」その他、様々なレッテル貼りをして、嘲笑の対象にするという構成になっている。

G. 日本会議と安倍首相への虚偽による批判: 日本会議に関しても、憶測を基にした事実に完全に反する内容が語られており、日本会議が訴訟を起こしてもおかしくない内容であった。

これには、一緒に試写会・記者会見に行った高橋史朗教授もかなりご立腹であった。

実際のフィルムが手に入れば、詳細に分析し、反論と訴訟の両面での反撃が可能であると考えるが、現時点では、試写会のみであるので、非常に難しい。

H. 資金面での疑惑:  アシスタント・プロデューサーが韓国人であること、キックスターター(クラウドファンディング)では、260万円しか集まっていないこと、この260万円(実際には手数料を引くと230万円)で、3年間を制作一本に費やしたこと、釜山の映画祭で最初に上映したことを考えれば、韓国政府や日本基督教団から支援を受けている、挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)(現在の正義連=日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)または、国連慰安婦を性奴隷と言い換えた戸塚悦郎(当時弁護士)がエージェントを務めているとされる中国系の「世界抗日連合」(=世界抗日戦争史実維護連合会)の様な団体が、このデザキ氏の生活や収入を保証したとしてもおかしくはないだろう。

I. 複数のバージョンの存在疑惑: 一部の関係者の情報によれば、釜山の映画祭で上映されたバージョンと日本で公開されたバージョンには、いくつかの部分で異なっているとのこと。これが事実であれば、複数のバージョンが存在していることになる。

J.WAM このフィルム内で「アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館(WAM)」の渡辺美奈氏は、「1億円貰っても、性奴隷は性奴隷だと思います」と言っていた。

話は、憲法改正にまでおよび、護憲論者の意見が紹介され、さらに最後には憲法改正に反対するという内容で締めくくられており、慰安婦とはかけ離れた内容で、ドキュメンタリーと銘打っているが、単なる反日左翼の「低質なプロパガンダフィルム」であり、ユーチューブに趣味で掲載する程度のとてもドキュメンタリーとは言えない作品である。

K.フィルムの中のデザキ氏本人の発言: 「公正なドキュメンタリー」と銘打ったが、実際には、フィルムの随所でデザキ氏本人のナレーションで、自分の意見を挿入し、聴衆を誘導している。例えば、「改憲して軍隊を持つと戦争になる」と、共産党員同様な意見を述べている。

また、我々側を当て馬に使うことを初めから画策していたという事がわかるのは、我々の出演時間と反対側の出演時間に大きな差がある事を見ても理解出来る。 我々の主張を永遠と左翼学者や活動家に反論させるというスタイルであるので、当然、左翼側の出演時間が10倍ほどあるのではないかと言うくらいに長い。

L.欧州の日本領事館に関与 デザキ氏が欧州の大学で試写会を行うときに、デザキ氏に対して欧州の領事館が「私に接触をはかってきた」と発言している。

国名、大学名、領事館名などは、明らかにされていないが、この問題を日本政府がコントロールし、我々がそれに基づいて動いているとの完全に間違った「印象操作」を行っている。

M.教科書問題に言及 国連等で活動している左翼の活動家が多く取りあげる「日本の歴史教科書」に関する問題に言及している。

中学生の歴史教科書に以前は慰安婦問題の記載があったが、ある時期以降、日本政府の圧力により慰安婦問題が教科書から消えた。「日本政府が検閲を行っている」というような左翼独特の「印象操作」がなされている。

また、カリフォルニア州の11年生の教科書に慰安婦問題が追加されることが決定された際に、日本政府がマグロウヒル社に対して抗議を、歴史を歪曲しようとしているという「印象操作」を行っていた。

N. 上智大学の中野晃一教授との関係

中野晃一氏は、『平成31年4月14日に【戦争をさせない1000人委員会・立憲フォーラム】 安倍政治を終わらせよう!4.19院内集会』において、次のように話している。

「私はこの映画に出ているだけではなくて、私の教え子でして、修士の院生だったんですね。オリジナルカットのものが、あの、修士論文に代わる学位を取るための制作物で、えー、ちょっと変わってるんですよね。

こう言うのをやりたいと言って、面白いことを考えるなとですね。それで、こう言う人たちをインタビューしたいと言って、本当にインタビューしちゃって、本当にビックリしたんですけれども、なかなか、こう、あのー、この右翼側を含めて凄いメンバーになっていますので・・・中略・・・

元々ユーチューバーで動画を載せていた経験はあるのですけども、そんな彼がですね、作りました。

それで、あのー、韓国にも取材に行って、アメリカでも取材をして、英語版、日本語版、韓国語版を作って、えー、釜山の映画祭で、昨年ですね、えー、正式に招待をされて出して、えー、明日から、東京ではイメージフォーラムという渋谷と青山の間くらいですかね、映画館で上映が始まることになっています。

映画の組み立てとしては、いわゆる歴史修正主義者がですね、まっ、その、あのー、色んな事を言っている人たちと、それと、あのー、林先生であるとか、吉見先生であるとか、あるいは、渡辺美奈さんとかですね、まぁ、専門家の方で、色々と調べてこられた方が、次々と出てくる感じなんですけれども、で、まぁ、あの、見た人に自分で判断して下さいと言う仕掛けになっているんですが、

まー、正直申し上げて、やっぱり、あのー、あの人達が言っている事を聞いていると、どんどん、自分で墓穴を掘っていると、奇妙な面白味があったりして、なかなか、この顔見てると苦痛だなという人たちが出てくるんですけど、如何に荒唐無稽で馬鹿げたことを言っているのかという、

ま、今になって騙されただ何だとか言っているんですけど、全部、自分が喋っている話なんですね。で、自分で話している話で如何に、こう、デタラメなのかと言うのが、色々、こう、見えてくると言うような仕掛けになっていますので、2時間が割とあっという間に過ぎるっていう風に思いますから、

是非、近いとこからご覧いただけたらと思います。慰安婦問題は海外では韓国に限らず、人権の問題、女性の権利を侵害した戦時性暴力の重大な問題であるということで理解されていて、そう言う意味で、単なる歴史問題ではなく、今も続く政治問題であり人権問題であるとの理解がされている訳ですが、

残念ながら日本においては、ほとんどの人は何も知らない、えー、場合によっては本当にあのー、歴史修正主義で、まぁ、あのー、色んな形で、色んなところでまき散らされている、間違った知識というものが広まっちゃっているというが現実だという風に思いますので、この部分で私達が後を持つということをしていかなければ、なかなかこの先はないかなと言う風に思っています。」

< 関連記事 >

韓国・中央日報
https://japanese.joins.com/article/299/252299.html

朝鮮日報
映画「主戦場」/ミキ・デザキ監督インタビュー

沖縄タイムス
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/408020

中日新聞
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019041201001008.html

上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/domestic/culture/124495

時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=20190412_252299&g=cnp

共同通信
https://this.kiji.is/489179515886486625?c=39546741839462401

シネマカフェネット
https://www.cinemacafe.net/movies/29211/

< 登場人物その他 >
監督・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ
プロデューサー:ミキ・デザキ ハタ・モモコ
アソシエイトプロデューサー:カン・ミョンソク
音楽:オダカ・マサタカ アニメーション:1K FILMS
製作:ノーマン・プロダクションズ

出演:トニー・マラーノ aka テキサス親父 藤木俊一 山本優美子 杉田水脈 藤岡信勝 ケント・ギルバート 櫻井よしこ 吉見義明 戸塚悦朗 ユン・ミヒャン イン・ミョンオク パク・ユハ フランク・クィンテロ 渡辺美奈 エリック・マー 林博史 中野晃一 イ・ナヨン フィリス・キム キム・チャンロク 阿部浩己 俵義文 植村隆 中原道子 小林節 松本栄好 加瀬英明 他

< 参考 >
上智大学 比較文化研究所 http://icc.fla.sophia.ac.jp
Institute of Comparative Culture Public Events 2017-2018
http://icc.fla.sophia.ac.jp/html/events/e_2017-2018.html

ワークショップ 詳細
ICC/Japan Focus Workshop Contemporary Crisis in the Asia-Pacific
12:00-18:00/ July 1st (Sat), 2017 /Sophia University, Building 10, 3F, Rm 301 and 407 http://icc.fla.sophia.ac.jp/html/events/2017-2018/170701_Japan_Focus.pdf

映画「主戦場」 大学院生の学術研究の正体は左派のプロパガンダ映画

映画「主戦場」に抗議します!から「映画「主戦場」 大学院生の学術研究の正体は左派のプロパガンダ映画」の記事を転載いたします。

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新しい歴史教科書をつくる会会報誌『史』135号(令和元年7月号)

山本 優美子(なでしこアクション代表)

去る5月30日、日本プレスセンター会議室にて「映画『主戦場』に抗議する出演者グループ」(加瀬英明、ケント・ギルバート、櫻井よしこ、藤岡信勝、藤木俊一、トニー・マラーノ、山本優美子)の共同声明「映画『主戦場』の上映差し止めを求める-上智大学修士課程卒業制作を擬装し商業映画を制作した出崎幹根の違法行為について-」の発表記者会見を行いました。メディア関係者およそ50名が参加し、立ち見が出るほど。各メディアからは質問が続出しました。

取材を受けた経緯

記者会見から三年前に遡る2016年5月、私は「件名:上智⼤学院の出崎幹根のドキュメンタリーインタビューご協⼒のお願い」というメールを受信しました。メールは丁寧な日本語で、こう書いてありました。

「私は日系アメリカ人で、現在上智大学で大学院生をしております。

慰安婦問題をリサーチするにつれ、欧米のリベラルなメディアで読む情報よりも、問題は複雑であるということが分かりました。慰安婦の強制に関する証拠が欠落していることや、慰安婦の状況が一部の活動家や専門家が主張するほど悪くはなかったことを知りました。私は欧米メディアの情報を信じていたと認めざるを得ませんが、現在は、疑問を抱いています。

大学院生として、私には、インタビューさせて頂く方々を、尊敬と公平さをもって紹介する倫理的義務があります。これは学術研究でもあるため、一定の学術的基準と許容点を満たさなければならず、偏ったジャーナリズム的なものになることはありません。公正性かつ中立性を守りながら、今回のドキュメンタリーを作成し、卒業プロジェクトとして大学に提出する予定です。」

私は卒業プロジェクトに協力することにし、同年6月に東京四谷の上智大学の一室で出崎氏と仲間の大学院生二人から取材を受けました。

その後、卒業プロジェクトが完成したという連絡はなく、私は取材のことも忘れていました。

卒業プロジェクトのはずが釜山国際映画祭に

それから二年以上たった2018年9月に突然、出崎氏から監督した映画『主戦場』が「10月7日に釜山国際映画祭において公開」というメールが届きました。そして今年2月には「4月20日(土)から東京・渋⾕を⽪切りに、全国で順次公開していきます」というメールが届きました。

映画を見ましたが、「学術研究」、「尊敬と公平さをもって紹介する倫理的義務」、「公正性かつ中立性」からかけ離れていることに驚きました。

映画は冒頭で慰安婦の強制連行と性奴隷説を否定する私や保守系の人たちを画面いっぱい大きな文字で「右翼」、「ナショナリスト」、「歴史修正主義者」、「歴史否定主義者」とレッテルを張って進行します。映画の終盤では私たちを「人種差別主義者、性差別主義者、ファシスト」と強く印象付けます。そして最後には慰安婦問題からかけ離れて日本の保守による陰謀論に脱線し、日本の再軍備化の問題にすり替わり、最後のナレーションで出崎氏はこう語ります。

「日本にとっての再軍備は、米国が始めた戦争で戦うことを意味する。だから、自らに問うてほしい。本当に私の国の戦争で戦いたいのかと。」

この映画は、安倍政権や日本の保守を叩きたい人たちの妄想プロパガンダ映画です。保守が嫌いな一部の人にとっては面白いかもしれませんが、とても学術的ドキュメンタリー映画と言えるものではありません。

映画監督は中野晃一教授の教え子

私も他の保守系の出演者も、公正で中立で学術的で偏向してないはずの上智大学院生の卒業プロジェクトに協力したのです。この映画はそうした私たちの好意を裏切るもので、学生が大学の名前を利用してこのような道義に反することをすべきではありません。出崎氏らは上智大学の信用を落とす行為をしたことを自覚しているのでしょうか。

出崎氏は中野晃一教授の教え子でした。映画にも出演している中野教授は映画公開の直前、「安倍内閣打倒」を掲げた集会で映画を宣伝しています。講演では、保守系の出演者を右翼、歴史修正主義者と呼び「なかなかこの顔見てるのは苦痛だなっている人たちが出てくるんですけれども、いかに荒唐無稽で馬鹿げたことを言っているのか」と語っています。たとえ思想が違っても、自分の教え子の学究のために取材に応じてくれた人たちに対して非常識、失礼な発言ではないでしょうか。

反撃はこれから

この映画は日本語版に加えて、韓国語版、英語版もあり、海外でも上映予定されています。私たちはこれからしっかりと抗議、反論していかなくてはなりません。

様々なメディアがこの映画について報じています。中には私たち「映画『主戦場』に抗議する出演者グループ」に批判的な報道もありますが、私たちはブレることなく毅然と行動してまいります。

「主戦場」監督への反論文 「ニューズウィーク日本版」七月九日号

映画「主戦場」に抗議します!から「「主戦場」監督への反論文」の記事を転載いたします。

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「ニューズウィーク日本版」七月九日号(七月二日発売)

藤岡信勝(教育研究者)

★8月29日、ケント・ギルバート他5名が、代理人弁護士を通して、上智大学に「通告書」を内容証明郵便で送りました。6月21日、研究上の不正行為を告発する窓口として指定されていた大学の監査室に被害を申し出たにも関わらず、一切無視されてきたので、やむを得ず取った手段でした。

すると上智大学は一転して対応を変え、9月4日、学長名で「調査委員会」を設置したので、学内手続きの必要から委員について異議があれば7日以内に異議申立書を提出せよと求めてきました。わずか1週間の猶予しかありませんでしたが、期限の11日、上智大学研究推進センターに出頭し、事務の担当者にA4・6ページの文書を手交して来ました。調査委員会なるものの実態については、いずれ書くことになるでしょう。(9月12日、藤岡信勝記)

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大学院生の卒業制作を名乗り「合意書」にも違反ー議論を呼ぶ慰安婦映画の「出演者」がデザキ監督に反論

本誌「ニューズウィーク日本版」の19年6月25日号に「『主戦場』の新たなる戦場」というタイトルの記事が掲載された。筆者は朴順梨(以下、人名は全て敬称略)で、今後はこの記事を「朴レポート」と呼ぶことにする。

私・藤岡は、自分の意思に反してこのドキュメンタリー映画に「出演」させられている者の一人だが、藤岡のインタビューが入場料1800円で一般の劇場で上映される商業的目的の映画に使われるとは夢にも思わなかった。寝耳に水である。

慰安婦問題の最も大きな論点は、慰安婦は単なる売春婦であったのかそれとも性奴隷だったのかという問題だ。映画は「慰安婦=性奴隷」説に立ち、この説に反対する人物に「歴史修正主義者」などのレッテルを貼っている。

そこで、映画の中でこの種の不当な扱いを受けた櫻井よしこ、ケント・ギルバート、加瀬英明、トニー・マラーノ、藤木俊一、山本優美子、藤岡信勝の7名は連名で共同声明を発表し、5月30日に抗議の記者会見を開いた。

それに対しこの映画の監督ミキ・デザキは私たちの記者会見の同日、同時刻に合わせてYouTubeに反論の動画を流し、さらに6月3日には配給会社「東風」の役員や弁護士と共に対抗する記者会見を開いた。朴レポートはデザキサイドに立って書かれたものである。

本稿では当事者の一人として、この記事に反映されたデザキの主張に対し、2つの論点に絞って反論したい。他の論点については、紙幅の都合で別の機会に譲る。

●「卒業制作」の触れ込みで

第一の論点は、インタビューが何を目的にしてなされたかという問題である。デザキは藤岡あての最初のメールで、上智大学の大学院生を名乗り、インタビューの目的を次のように書いてきた。

「卒業制作として、他の学生と共にビデオドキュメンタリーを製作しておりまして、ドキュメンタリーは『歴史認識の国際化』をテーマとしています。ご承知の通り、現在、慰安婦問題には多くの国々が関わっています。問題に関わっている方々やその活動について学ぶと共に、権威でいらっしゃる藤岡先生のような方からもご見解をお聞かせ願いたく存じております」

歯の浮くようなお世辞はともかく、かつて大学教員のはしくれであった藤岡も学生を指導していた時には、外部の方々にいろいろお世話になった。だから、大学院生の卒業研究のためなら協力しなければならないと思ったのだ。

山本優美子に対するメールは、もっと詳細にその目的を述べていた。

「これは学術研究でもあるため、一定の学術的基準と許容点を満たさなければならず、偏ったジャーナリズム的なものになることはありません」「公正性かつ中立性を守りながら、今回のドキュメンタリーを作成し、卒業プロジェクトとして大学に提出する予定です」

このように、私たちは例外なく、「学術研究」「卒業制作」「卒業プロジェクト」であると説明されて、その前提で協力し、文書にサインしたのである。「出来がよければ、映画祭への出品や一般公開も考えている」と伝えたとデザキは言うが、藤岡は一切聞いていない。

ところが、朴レポートでデザキは、承諾書・合意書には「学術プロジェクトとは一切書かれていない」とシラを切っている。アプローチの段階では、商業映画であることを隠蔽し、映画を公開するときは、それが大学院の卒業制作であることをあくまで隠す。これはデザキの企画が初めから巧妙に仕組まれたものだったことを疑問の余地なく示している。

第二の論点は、デザキの行為が合意書に明白に違反しているという問題である。

藤岡はデザキの研究的な誠実さを一貫して疑わなかったが、一度だけ不審の念を抱いた瞬間があった。それは、インタビューのあとデザキが契約書にサインを求めた時だった。〈大学院修士課程修了に必要な卒業制作であると言っておきながら、人に契約させるとは何事だ〉と藤岡は腹の中で思った。

それで、「そういう契約書にサインすることは趣味に合わない」と言って文書を見ることもせずにサインを拒否し、学生たちを追い返した。藤岡らを騙し商業映画をつくろうと企んでいたデザキは困ったのだろう。指導教官から「承諾書への藤岡のサインなしには卒業制作を続けてはならない」といわれた、修士を期限までに修了できない、と泣き落とし作戦に出た。

それでも藤岡が無視すると、今度は、デザキが藤木俊一と交わした「合意書」を送ってきて、これで何とかサインしてほしいと懇願した。読んで見ると、藤木が全面的に書き換えた「合意書」は、取材される側の権利も書かれていて、よく出来ている。それで藤岡は妥協して、合意書にサインしたのである(詳細は「月刊Hanada」8月号の拙論を参照)。

●明白な「合意書」の違反

デザキによる合意書の違反は、2点ある。順番に説明しよう。

①5項違反
合意書5項には次の規定がある。「甲[デザキ]は、本映画公開前に乙[藤岡]に確認を求め、乙は、速やかに確認する。」

本映画とはデザキの「卒業制作」を指す。それ以外の話は全く出ていなかったのだから、これ以外の解釈はあり得ない。ここで「公開」とは、作品が修士課程の修了を認めるに足る水準の内容であるかどうかをコースの教授陣が審査するために上映することである。紙の論文なら「提出」のみでよいが、ビデオ作品だから上映して「公開」しなければ内容を評価することは出来ない。「公開」には、学内で学生を対象に上映することも含まれる。その公開の「前に」映画を見せる、というのが5項の規定の意味である。

ところが、18年5月21日にデザキから送られてきたのは「映画」ではなく、「映画の中で使用する[藤岡の映像の]クリップ」だった。それでも、藤岡はクリップを見て感想を言うつもりだったが、多忙に紛れて期限の2週間が経ってしまった。その時藤岡は、どうせ映画が送られて来るのだから、その時に自分の映像も見ることができる、と軽く考えていた。

しかし、その後デザキは映画の映像を送ってこなかった。ただ、藤岡はデザキを疑っていなかったから、特に請求して送信を急がせることもせず、そのうちこのことは忘れてしまっていた。もしこの時、映画を見ていたら、「歴史修正主義者」などのレッテル貼りを絶対に見逃したはずがない。当方から請求しなかったからといって、5項の「不作為」がゆるされるものではない。

②8項違反
合意書の8項には、「甲[デザキ]は、撮影・収録した映像・写真・音声を、撮影時の文脈から離れて不当に使用したり、他の映画等の作成に使用することがないことに同意する」と書かれていた。藤岡は、デザキの「卒業制作」には協力したが、商業映画に使用してよいという許可を与えたことは一切ない。藤岡の許可なく、無断で、勝手に藤岡のインタビュー映像等を自分の商業映画に使ったデザキは、「他の映画等の作成に使用することがないことに同意する」という合意書の禁止規定に明白に違反している。これでデザキはアウトなのだ。

「主戦場」指導教官・中野晃一上智大学教授の責任 月刊Hanada2019年9月号掲載

映画「主戦場」に抗議します!から「「主戦場」指導教官・中野晃一上智大学教授の責任」の記事を転載いたします。

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月刊Hanada2019年9月号掲載

新しい歴史教科書をつくる会副会長
藤岡信勝

●被害者七名の「共同声明」

日系二世で、アメリカ国籍を有するノーマン・ミキ・デザキ(Norman Miki Dezaki/日本名・出崎幹根)が、上智大学の大学院生の肩書きをフルに利用した詐欺的な手口で、「慰安婦=性奴隷説」を否定する保守系論者を人格攻撃するドキュメンタリー映画「主戦場」を製作したことを前号で述べた

 被害者八名のうちの七名は見解を「共同声明」としてまとめ、去る五月三十日、日本記者クラブで開催した記者会見にて公表した。なお、藤岡のもとにデザキは「出崎幹根」という日本名を名乗って現れたので、以下では、原則としてその日本名を用いることにする。

 共同声明のメイン・タイトルは「映画『主戦場』の上映差し止めを求める」で、サブタイトルは「上智大学修士課程卒業制作を擬装し商業映画を制作した出崎幹根の違法行為について」となっている。署名者は、加瀬英明、ケント・ギルバート、櫻井よしこ、藤岡信勝、藤木俊一、トニー・マラーノ、山本優美子である。

 A4判十ページの共同声明の小見出しは、次の通りである。

 (1)商業映画への「出演」は承諾していない

 (2)「大学に提出する学術研究」だから協力した

 (3)合意書の義務を履行せず

 (4)本質はグロテスクなプロパガンダ映画

 (5)ディベートの原則を完全に逸脱

 (6)目的は保守系論者の人格攻撃

 (7)デザキと関係者の責任を問う

 これによって、おおよその内容を覗うことが出来るだろう(共同声明のテキストの全文は、ネット上で読むことが出来る)。

なお、共同声明に署名しなかった一人は衆議院議員の杉田水脈で、杉田の場合、仮に不本意な映像を撮られたとしても、国会議員として肖像権の主張には一定の制約があることから、他の七名の民間人とは立場が異なるという事情によるものだった。

●出崎と配給会社を提訴

 タイトルが示す通り、共同声明の趣旨は、映画「主戦場」の「監督」である出崎(当時は上智大学大学院生)の、真の目的を隠した詐欺的な取材方法と、映画の中で被害者らに対し「歴史修正主義者」などの不当なレッテルを貼るなど、被害者らの人格を侮辱したことを問題としたもの。

 これに対して出崎は、映画の配給会社である合同会社東風(代表社員・木下繁貴)と、弁護士・岩井信とともに、六月三日、東京弁護士会館で記者会見を開き、被害者側の共同声明に反論するとともに、上映差し止め要求に対して明確な拒否回答を行った。

 こうしたことから、被害者側は受けた被害の深刻さに鑑み、六月十九日、東京地裁に民事訴訟を提起する訴状を提出し、その後、地裁内の司法記者クラブにて記者会見を開いた。

 原告は共同声明に署名した七名のうち、ケント・ギルバート、トニー・マラーノ、藤岡信勝、藤木俊一、山本優美子の五名で、櫻井よしこ、加瀬英明は諸般の事情で原告には加わらなかった。被告はノーマン・ミキ・デザキ(出崎幹根)と合同会社東風で、請求は、

 ①ドキュメンタリー映画「主戦場」を上映してはならない

 ②被告らは連帯して、原告ケント・ギルバートと同トニー・マラーノに対して、それぞれ五○○万円を支払え

 ③被告らは連帯して、原告藤岡信勝、同藤木俊一、同山本優美子に対して、それぞれ一○○万円を支払え

 ④訴訟費用は被告らの負担とする

 ⑤右の①から④につき仮執行宣言を求める

というものである。

請求原因の理由は、(1)被告が原告トニー・マラーノのYouTube動画を本件映画において無断で使用したことは、原告マラーノ、同藤木(藤木はマラーノの動画を日本向けに編集する「テキサス親父日本事務局」の事務局長で、マラーノの動画の共同著作権保持者)の著作権を侵害する不法行為であること(2)原告らは意図に反して本件映画に「出演」させられているが、そのことによって原告らにも著作権が生じ、原告らは被告の学術研究及び卒業制作のためにインタビューを受けることに合意していたにもかかわらず、被告が原告らに無断で不特定多数に商業的に公開する映画に使用したことは、承諾書・合意書で定めた義務に反する違法行為であり、かつ、原告らの著作権、肖像権、同一性保持権を侵害する不法行為でもあることなどである。

●決着がついた慰安婦論争

出崎は映画「主戦場」の監督として、今や「慰安婦=性奴隷」派からは、慰安婦問題復活の救世主であるかのようにもてはやされている。ネットでも紙媒体でも、「映画に感動した」「出崎監督は素晴らしい人だ」「この映画を観て、やっと溜飲を下げた」などの熱烈なラブコールがあがっている。ツイッターなどでの称賛の文言があまりにワンパタンなので、多数の人間に指示し組織的に投稿させているという見方も生まれているほどだ。

 ようするに、今や出崎は慰安婦問題の逆転を狙う勢力の期待を一身に集めた、「慰安婦=性奴隷」派の寵児となっているのだ。

 なるほど、出崎に対し、それらの賛辞を浴びせている人々の気持ちも分からないではない。慰安婦問題については、これが日本社会の政治的・社会的問題として提起された一九九一年以来、幾多の論争が積み重ねられてきた。

 その中で早くも一九九二年には、歴史家の秦郁彦が、韓国・済州島の現地調査によって詐話師・吉田清治の「慰安婦奴隷狩り」体験記の嘘を暴いた。また、朝鮮半島現代史の研究者・西岡力は、元慰安婦を自称する韓国人老女へのインタビューなど徹底的な調査によって、元慰安婦の誰一人として軍や官憲による「強制連行」の事実を整合的に証言できた者がいないことを立証した。

 こうして、一九九二年段階ですでに、「慰安婦強制連行説」が虚構であることは、学問的・実証的には結論が出ていたのであった。

 さらに、同時期の日本政府の調査によっても、一九四四年十月のビルマにおける日本軍慰安所と慰安婦に関する米陸軍心理作戦班の作成した公文書によって、「彼女らは軍に付いて歩く売春婦に過ぎない」ことが明らかにされていた。

 さらにさらに、今では「慰安婦=性奴隷説」を唱え続けるほとんど唯一の歴史研究者と言っていい吉見義明だが、一九九六年十一月三十日に放映されたテレビ朝日の番組「朝まで生テレビ!」で、他ならぬその吉見が「朝鮮半島では強制連行の証拠はない」と言い放ったのである。これで、慰安婦論争は事実上、「ジ・エンド」となったのだ。

 「強制連行はなかった」という仮説をもって調査する者は、強制連行の証拠を探すに際してそれほどの熱意を持てないのが人情だが、吉見はその正反対で、相当の執念をもって慰安婦強制連行の証拠を探したはずだ。その吉見ですら見付けることができなかったのだから、他の者については何をかいわんや、強制連行の証拠を発見する見込みはない。

●「四つの自由」論の愚劣

慰安婦強制連行説が頓挫すると、どうしても慰安婦問題をネタに日本を糾弾したい者たちは、二つのコースに分かれることになった。というか、論理的に考えて二つの道しかないのである。一つのコースは、あくまで事実の世界にとどまって、証拠を朝鮮半島の外に探し、証拠らしきものを「製造」することだ。

 実際にこの道をたどったのが、インドネシアを初めとする東南アジアの各地に出かけていった弁護士や活動家の一群である。

 もう一つのコースは、強制連行の話は諦める代わりに、言葉の定義を変えることだ。いわば、事実の世界から逃避して、概念いじりをすることによって自分たちの日本国家糾弾の正当性を維持しようとするものである。この道を行ったのが吉見義明だった。

 彼は、軍慰安婦の境遇が「性奴隷」であったということを強調し、「奴隷」の概念を恣意的に変えてしまおうとする。吉見の提唱する「四つの自由」論は、こういう問題意識から吉見がこしらえ上げたものだった。

 吉見のいう四つの自由とは、居住の自由、外出の自由、接客の自由(=接客拒否の自由)、廃業の自由を指す。吉見によれば、この四つの自由がない者は「奴隷」であると定義される。それゆえ、日本軍の慰安所は「性奴隷制度」であったとする。

 もしそうだとすると、遠洋航海に出る漁師は、吉見の定義によって「奴隷」となる。遠洋航海では何ヶ月も船に乗ったきりだから、居住の自由などあるはずがない。外出の自由も、廃業の自由もない。

 ただし吉見の定義では、四つの自由の全てが失われていなければ奴隷とは言えないのか、それとも一つでも失われていれば奴隷になるのか判然としない。それによって、戦地の軍慰安婦の位置づけがまるで変わってくる。

 もし、四つとも自由が失われていることが条件ならば、軍慰安婦は断じて奴隷ではない。前出の米軍の公文書によれば、ビルマのミートキーナの慰安所にいた慰安婦には、外出の自由も、接客の自由も、廃業の自由もあったからだ。ただし、居住の自由はなかった。戦地だからこそ慰安婦に自由に住居を選ばせたら危険この上もなかっただろう。

 こんなことは、愚にもつかない言葉の遊びに過ぎない。こんな「理論」を大真面目に振り回して、「慰安婦=性奴隷説」を喜ぶ読者にリップ・サービスしているのが吉見義明の実像である。

 吉見は映画「主戦場」のなかで、唯一「歴史家」の肩書きで遇され、出崎は吉見のご託宣を押し抱き、その言葉の一言一句が真理であるかのように扱われているが、その理論の実体は、右のような愚かなシロモノである。

●なぜ反日左翼の寵児なのか

ところで、行動的な学者でもある吉見は、「慰安婦=性奴隷」説をひっさげて、異論を唱える人を狙い撃ちにする名誉毀損訴訟を行ってきた。しかし吉見の提訴は、一審から三審までの全てで敗北した。元朝日新聞記者の植村隆が櫻井よしこと文藝春秋を訴えた訴訟でも、去る二○一八年十一月九日、一審の札幌地裁で櫻井側の完全勝訴の判決が出たばかりである。その他、一連の慰安婦訴訟では、「性奴隷」派は連戦連敗である。

 司法分野だけではない。二○一六年二月、ジュネーブの国連人権理事会で、外務省の担当者は、「強制連行説」も「性奴隷説」も「慰安婦二○万人説」も、いずれも根拠がないとして否定したのである。行政が初めて真っ当なスタンスンに立ち返った瞬間だった。

 その二年前の二○一四年八月には、崩壊した吉田清治の証言の扱いについて頬被りを決め込んできた朝日新聞までもが、ついにその誤りを認め、のちに謝罪するにいたったのである。これはまさに、慰安婦問題で日本を糾弾したい勢力にとって、致命的な打撃となる出来事だった。

 このように、論争に負け続けて気息奄々だった「慰安婦=性奴隷」派にとって、出崎のドキュメンタリー映画の出現は干天の慈雨であり、出崎は彼らの希望の星となった。

 最近、映画「主戦場」に関わる記事を特集した月刊誌『創』八月号では、「メディアが慰安婦問題をタブーにしてきた」などとしきりに述べられているが、この論評は的外れである。メディアが慰安婦問題を取り上げなくなったのは、右に見たように、もし取り上げると朝日新聞の二の舞になりかねないからだ。

だから、右の展開を体験していない、アメリカ国籍の外国人でもある出崎が反日左翼の寵児となったのである。しかし、映画「主戦場」が実質的に何を成し遂げたのかといえば、善意の保守系の言論人を誑かして血祭りに上げたことである。

 映画「主戦場」のインターネットのサイトには、映画の予告編がアップされているが、そこで前面に押し出されているのは、櫻井よしこを筆頭に、ほとんど専ら保守側の人物である。これらの人々は、出崎の映画の宣伝の出汁にいいだけ使われていることがわかる。

 映画の入場者の多くを占めるであろう左翼・リベラル系の人々や、海外の反日ジャーナリストは、映画の中でにっくき保守系の連中が嘲笑・侮辱されていることに快哉を叫んだ。四月四日、外国特派員協会における試写会に出席した、原告の一人である藤木俊一は、試写会の様子を次のようにレポートしている。

「このフィルムは、われわれに先にインタビューし、それに対して左翼が反論を行っているので、完全に『一方通行』の内容となっており、各段階で(強制か否か、高給取りだったか否かなど)左翼・朝鮮人たちが、われわれ側の発言を覆した部分で終わっており、その度に会場の白人たちが大歓声を上げるという異様な雰囲気の試写会であった」

 その反面、この映画が何か新しい材料を提供したり、何らかの論点を解明したりしたかといえば、そうした成果は何一つない。

 例えば「慰安婦二○万人説」の検討にしても、吉見は仮定の数字をいろいろこねくり回しているが結論は曖昧のままであり、そこで上げた数字は多数の仮定の積み重ねの上に立って、数万人のオーダーのものであり、その発言の中に二○万人説を正当化するに足るものは何もなかった。

 この点に関連して、ここで重要な論点を提示しておきたい。六月三日の記者会見で、会場から「歴史修正主義者」の定義を聞かれた出崎は、「慰安婦は二○万人で、強制連行され、性奴隷であったというのが世界の通説だ。この通説に反対する者は歴史修正主義者である」と答えた。

 そうすると、「強制連行」の証拠がないと言い、「二○万人説」を映画で言わなかった吉見は「歴史修正主義者」になる。それだけではない。監督の出崎も、映画で「二○万人」という結論を出さなかったのだから、立派な「歴史修正主義者」である。

 その他、映画に登場する多数の左翼活動家も「歴史修正主義者」である。WAM(女たちの戦争と平和資料館)の渡辺美奈などは映画の中で、「大きい数字が出てくると、すぐにそれを言いたくなるが、そうしてはならない」と戒める発言をしている。彼女もまた「歴史修正主義者」である。  出崎がいかに無責任で、物事の論理的帰結に関心を持たない、その場その場でいいかげんなことを言って恥じない、デタラメな人物であるかがよくわかる。

●第二の「クヒオ大佐」?

出崎の人物像を知る上で欠かせないのは、ユーチューバーとしての過去である。JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)の英語の補助教員として来日し、「Racism in Japan 日本に人種差別はありますか?」という動画をつくって高校生に与えた話はすでによく知られているし、出崎自身が映画の冒頭で使っている。

 しかし、日本の国籍を持たず、日本の教員免許を持たない出崎が、このような社会的問題に関わる私見を生徒の前で開陳すること自体、問題である。彼の行動は、JETプログラムの趣旨を汚すものである。

 また、出崎が女装して日本の若い女性の口まねをし、日本人女性を侮辱する動画をつくっていたこともよく知られている。藤岡もこの動画を見たが、最後に卑猥な言葉を絶叫するシーンで終わっていた。

 このことについては、本誌六月号でも山岡鉄秀が書いているので繰り返さない。今出崎は、この動画を著作権を理由に消し回っている。各種SNSでも、リンクが貼られている先を見ると、「この動画はMedama Sensei から著作権の侵害を申し立てられていますので、削除します」などのメッセージが出て視聴がブロックされる。Medama Senseiとは、出崎のユーチューバーとしてのペンネームである。

 自らトニー・マラーノの動画を商業映画に無断で使用して作者の著作権を侵害しておきながら、自分の動画については著作権を主張して削除を求める。とんでもない御都合主義だ。

 ここではさらにもう一つの、別の問題を指摘しておこう。

 映画「主戦場」は四月二十日から渋谷の映画館で一般公開されたのだが、その宣伝のため出崎は各種のメディアに登場した。ラジオでもいくつかの番組に出演した。

 ①四月二十四日、TBSラジオ「荻上チキ Session22」という番組で、出崎は梁澄子(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表)とともにゲストとして出演した。

 ②四月二十五日、JーWAVE のJAM THE WORLD という番組で、ニューススーパーバイザーの堀潤がインタビューした。

 私が聞いたのは右の二つのラジオ放送の録音なのだが、極めて不自然に感じたことがある。出崎が藤岡のところに取材に来た時は、彼はごく普通の日本語を話す青年だった。なぜか、出崎は藤岡に対するメールでは、自分がアメリカ国籍を持つアメリカ人であることを一切述べていなかった。だから、藤岡は彼を普通の日本人だと思い込んでいたのである。

 しかし、①のラジオ番組で彼は日本語が出来ないふりをし、わざわざ通訳をつけて番組を進行させていた。ところが質問者が日本語で質問すると、間髪を入れず英語でいきなりベラベラと話し始める。それを通訳が日本語にする。出崎は完璧なバイリンガルである。だから、日本語が分からないというのは演技なのだ。不自然極まりない。

 ②の番組も通訳付きで始まった。ところが、しばらくすると、質問者が右に書いたのと同じ問題に気付いたらしく、いきなり「出崎さん、あなた、日本語が分かるのでしょう?」と言った。不意を突かれて戸惑う様子が聞こえ、出崎は「ええ、まあ、少しは話せますけど・・・」と、いかにも日本語を習いたてのガイジンがしゃべるようなたどたどしい日本語で答えた。それ以後、番組は日本語で会話が進行した。

 日本社会には、ときどき日本語と英語の狭間を利用した詐欺師が出現する。生粋の日本人でありながらカタコトの日本語を話す米軍の特殊任務を帯びたパイロットに擬装して、日本人の女性を次々にだました「クヒオ大佐」という結婚詐欺師がいた。 出崎は、気に入らない某出版社の取材を断るのに、自分は日本語ができず、通訳の手配がつかないという理由を使っている。こういう調子で、都合よく英語と日本語を使い分ける。こういう部分だけを取り出せば、出崎は第二の「クヒオ大佐」といえるかも知れない。

●不誠実な上智大学

上智大学には「学術研究倫理ガイドライン」(平成二十二年制定)がある。その前文では、「イエズス会の設立による本学は、カトリシズムの精神に基づき、学術の中心として真理を探究し、文化の発展と人類の福祉に寄与する研究活動を行ってきた」と宣言し、「研究活動には高い倫理性が求められている」としている。

 対象となる「研究者」には、研究活動に従事する限りにおいて学生も含まれる(2項)。また、「研究を指導する立場にある者は、不正行為が行われないよう、指揮下にある研究活動及び研究者等の管理、配慮を行う」(4項)としている。

 「上智大学における研究活動上の不正行為の防止に関するガイドライン」(平成二十八年制定)では、告発窓口に関する規定があり、「研究活動上の不正行為に関する告発は、監査室で受け付けるものとする」となっている。

 そこで、藤岡は山本優美子の協力のもとに、六月二十一日、告発窓口の置かれた監査室に電話をし、担当者の男性に約三十分にわたって事情を説明した。当方の希望は、学長または研究倫理担当の副学長に面会し、事情を訴える機会を得るためのアポを取ることだった。それは、大学が正確な事情を知って主体的に問題を処理することを期待しての行動だった。

 しかし、担当者は、「不在で連絡がとれない」→「連絡がついたが、検討中で返事ができない」→「面会希望の件を取り上げるかどうかも含めて検討中である」→「いつまでに回答出来るか約束はできない」といった調子で何日も費やし、大学トップの誠意ある態度がうかがわれなかった。この上は、別の方法で大学としての責任を問うしかない。

●いかなる責任を取るのか

ここで、大学がこの種の出来事についていかなる責任を取るべきかについて考えるために、「首都大学ユーチューブ事件」を取り上げてみよう。

 平成二十二年(二○一○年)六月、首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコースに所属する四年生の二人の男子学生は、卒業制作として動画作品の製作に携わっていた。

 彼らは、かねてからニセの街頭募金活動をやったり、商店に飛び込んでアポなしでインタビューを行う様子などを、ユーチューブに投稿していた。いわゆるユーチューバーだったわけだ。

 さて、その卒業制作だが、彼らは「ドブスを守る会」と称して道行く女性たちにインタビューを行い、その容姿について無礼な論評をし、その女性の反応の一部始終をビデオカメラに収めるということをやっていた。当時の新聞から、その様子を描写した記事を引用する。

〈「写真撮らせてもらえますか?」

 「・・・なんか雑誌ですか?」

 「(撮影が終わり)ありがとうございました。タイトルはドブスを守る会です」

 「・・・写真、消してもらっていいですか? 自分のことブスだと思ってないし、そんなふうに使うんだったら最初から言うべきだと思います」

 「ありがとうございます。やっと、こういった反応が撮れました」〉(「卑劣な『ドブス』動画の中身」夕刊フジ平成二十二年六月十九日付けに掲載)

 被害に遭った女性は、判明しているだけで六人で、そのうち少なくとも二人の女性の動画がユーチューブに投稿されていた。学生らは、この不謹慎な会をつくった動機について、動画の冒頭で「ドブスが絶滅の危機に瀕している。わが国から消えゆくドブスの姿を収めた写真集を作り始めた」と説明していた。

 これに激怒した一部のネットユーザーは学生らの素性をばらしたが、学生らは動画を削除した上でミクシーなど会員制サイトを退会した。そして、個人名や大学名が書き込まれたネット掲示板の管理人には、自分たちの行為を棚にあげて「著しく個人の利益を損なう」などの理由をあげ、削除申請までしていた。

 この行為について、前掲夕刊フジには、学生らの行為が刑法上の名誉毀損罪または侮辱罪に該当し、民事訴訟でも肖像権や人格権侵害などで慰謝料を請求できる、との弁護士のコメントが載っている。

 抗議が殺到した首都大学東京は素早く対応し、「大学としては女性の人権を無視した行為を重くとらえ、全てが明らかになった時点で対応を決めます」との見解を発表した。

結果はどうなったか。

 六月二十四日、動画の制作に携わった二人の学生には退学処分が言い渡された。処分の理由は、①映像作品を完成するという名の下に、被写体となった方々に対し公然と人権侵害をしたこと②映像を作品として公開することにより、被写体となった方々の精神的苦痛を増大させたこと③首都大学東京の社会的信用を失墜させたこと、の三点であった。

 また、教員に対しても、七月六日、動画制作に携わった学生の指導教員に対しては諭旨解雇が言い渡された。処分の理由は、①平成二十二年六月に、自らのゼミにおいて、先般退学処分とした学生が卒業制作に関連して作成した映像を視聴した際、その内容の不適切さを認識し、当該学生が企図したインターネット上の動画サイトへの投稿については制止の指示をしたものの、製作の継続については容認するかのような発言を行うなど、その教育指導が不十分であった。その結果、本学の社会的信用の著しい失墜など、重大な事態を招いた②今回の不適切な映像についての問題発覚後、上記の経緯と異なる虚偽の報告を行った、の二点であった。 「首都大学ユーチューブ事件」は、藤岡らが被害を受けた今回の事件との細部に至るまでのあまりの類似に一驚する。上智大学はその名誉を問われ、出崎の指導教官で、出崎のインタビューを指導しただけでなく、彼の商業映画の宣伝まで買って出ていた中野晃一は、その責任を問われているのである。