Monthly Archives: February 2016

外務省は国連への公式文書「国連の報告書・勧告は一方的/20万人は裏付けがない/性奴隷は不適切」をもっと発信してください

国連で慰安婦問題についてこれまで謝罪ばかりを繰り返してきた日本政府は、2014年8月の朝日新聞の吉田清治報道の取り消し以降、国連において事実関係をもってはっきり反論しています。
ただ、折角の反論が殆ど知られておらず、外務省のホームページにも非常に分かりにくいところに掲載されています。
これをもっと発信すべく、外務省や政府のホームページの目立つところに掲載すべきです。

なでしこアクションで日英対訳でPDFに纏めたものはこちら
http://bit.ly/2r7GMLT

*****************************************************************

外務省HPから
拷問禁止委員会の最終見解(CAT/C/JPN/CO/2)に対する日本政府コメント(和文仮訳)
より、慰安婦問題 箇所 以下抜粋

英語 Comments by the Government of Japan Concerning the Concluding Observations by the Committee against Torture (CAT/C/JPN/CO/2) 2015.4

———————————————————–
P12 第19段落 ※ 太字は、なでしこアクションによる

51.日本政府は,慰安婦問題そのものを否定したり矮小化したりする意図は毛頭ない。慰安婦問題に関しては,安倍晋三内閣総理大臣は,筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い,非常に心を痛めている,この点についての思いは,これまでも繰り返し表明されてきており,歴代内閣総理大臣と変わらない旨繰り返し述べている。

52.実際,日本は,慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であることから,日本政府及び日本国民のおわびと反省の気持ちをいかなる形で表すかにつき国民的な議論を尽くした結果,1995年7月19日,元慰安婦の方々に対する償いの事業などを行うことを目的に,国民と政府が協力して「アジア女性基金(AWF)」を設立した。具体的には,AWFは,韓国,フィリピン,台湾の元慰安婦(各政府・当局によって認定され,かつ本人が受取りを望んだ方々)に対し,「償い金」(一人当たり200万円)をお渡しし,最終的に285名(フィリピン211名,韓国61名,台湾13名)の元慰安婦が受け取った。また,AWFは,右に加えて,上記のそれぞれの国・地域において,医療・福祉支援事業(一人当たり300万円(韓国・台湾),120万円(フィリピン))も実施しており,インドネシアにおいては高齢者のための福祉施設整備のための財政支援を実施し,オランダにおいては,先の大戦中心身にわたり癒やしがたい傷を受けた方々の生活状況の改善を支援するための事業に財政支援を行った。政府は,AWFの事業に必要な資金として総額約48億円の拠出を行い,元慰安婦の方々への医療・福祉支援事業(総額約11億2,200万円)や国民からの募金に基づく「償い金」の支給等の基金事業に対して最大限の協力を行ってきた。韓国における事業としては,事業終了までに,元慰安婦合計61名に対し,民間による寄付を原資とする「償い金」200万円を支給し,政府拠出金を原資とする医療・福祉支援事業300万円を実施(一人当たり計500万円)した。さらに,「償い金」が提供された際,その当時の内閣総理大臣(橋本龍太郎内閣総理大臣,小渕恵三内閣総理大臣,森喜朗内閣総理大臣及び小泉純一郎内閣総理大臣)は,政府を代表して,自筆の署名を付したおわびと反省を表明した手紙をそれぞれの元慰安婦に直接送った(別添参照)。AWFは,インドネシアでの事業が終了したことを受け,2007年3月に解散したが,現在も,AWFのフォローアップ事業を行っている。

53.このように,日本政府及び日本国民の善意と真摯な気持ちを少しでも元慰安婦に届けられるよう官民が協力して立ち上げ,多くの元慰安婦にその思いを伝えた「アジア女性基金」の取組について,改めて注意を喚起したい。韓国では,同基金の事業を受け入れた元慰安婦や申請しようとする元慰安婦に対し,韓国内の一部団体から「ハラスメント」が行われ,さらに,同基金の事業を受け入れた元慰安婦は韓国政府が支給することを決定した「生活支援金」の対象外となった。このような理由から全員には受け取っていただけなかったことは残念(ただし,当時,韓国政府により認定を受けていた200名程度の慰安婦のうち,最終的に61名の慰安婦が受け取った)。このような点を含め,同基金の取組については改めて評価されるべきと考える。同基金のような元慰安婦支援事業は,日本が韓国に先がけて行ったものであることにも注意を喚起したい。

54.慰安婦問題を含め先の大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については,日本政府は米,英,仏等45か国との間で締結したサンフランシスコ平和条約及び二国間条約等に従って誠実に対応してきており,これらの条約等の当事国との間では,元慰安婦も含めて個人の請求権の問題については法的に解決済みである。特に,韓国との間では,日韓請求権協定第2条1が,「両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,1951年9月8日にサンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第4条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」と規定している。なお,我が国は,この請求権協定に基づき,韓国に5億ドルの資金供与及び3億ドルを超える民間信用供与を実施した。政府が供与した5億ドルは当時の韓国の国家予算の約1.6倍に相当した。上記の「アジア女性基金」は,この法的解決が行われていたにもかかわらず,日本側の善意の努力として行われたものである。

55.また,この機会に,これまでの国連特別報告者による報告書や人権条約委員会による非難・勧告には,一方的で裏付けの取られていない主張が記載されていることを指摘したい。例えば「慰安婦を強制連行した」とする唯一の証言者である吉田清治氏の証言や慰安婦の数字について「20万人」との数字が言及されたが,これまでこれらを積極的に報じてきた日本の大手新聞社が,2014年8月に吉田氏の証言に基づく記事について,証言は虚偽であると判断して取り消し,同氏に関する誤った記事を掲載したことについて謝罪した。また,同社は,慰安婦と「20万人」との数字の基になったと思われる女子挺身隊と慰安婦との混同を認めた。

56.1990年代初頭以降に行った調査で日本政府が発見した資料(対外公表済)の中には,軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった。また「20万人」という数字は,同新聞が慰安婦と女子挺身隊を混同して報じたことが契機に広がった数字であり,具体的裏付けはない。これらの誤った事実関係が国連における報告書や勧告の有力な根拠となっていることがあるのは大変残念。

57.日本政府が求めていることは,正しい事実認識に基づき,日本の取組に対して国際社会から正当な評価を受けることである。

58.これまでの歴史の中では多くの戦争があり,その中で,女性の人権が侵害されてきた。21世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大切であり,我が国としても全力を尽くしていく考えである。

59.最後に,そもそも,拷問等禁止条約は,日本が同条約を締結(1999年)する以前に生じた問題に対して遡って適用されないため,慰安婦問題を同条約の実施状況の報告において取り上げることは適切でないというのが日本政府の基本的な考え方である。また,同条約委員会の最終見解にある「性的奴隷」との表現については,日本政府として,1926年の奴隷条約の奴隷の定義について検討したが,当時の国際法上,奴隷条約第一条に規定された「奴隷制度」の定義に鑑みても,慰安婦制度を「奴隷制度」とすることは不適切であると考える。

*****************************************************************

上記と同内容の日本政府コメントが2015年3月社会権規約、同年7月自由権規約委員会にも提出されています。

■ 社会権規約委員会の最終見解(E/C.12/JPN/CO/3)に対する日本政府のコメント

英語 Comments on the Concluding Observations on the Third Periodic Report of JAPAN

■ 自由権規約委員会の最終見解(CCPR/C/JPN/CO/6)に対する日本政府コメント

英語 Comments by the Government of Japan on the Concluding Observations of the Human Rights Committee (CCPRIC/JPN/CO/6)

■ 女子差別撤廃条約第7回及び第8回政府報告審査(2016年2月16日、ジュネーブ)
質疑応答部分の杉山外務審議官発言概要

英語 Summary of remarks by Mr. Shinsuke Sugiyama, Deputy Minister for Foreign Affairs
in the Question and Answer session

【報告】慰安婦問題の他にどのような問題が検討されたか/ 国連 女子差別撤廃委員会 

「ニューヨーク ビズ 」の署名広告をご覧になった方ここをクリックしてください

*****************************************************************

ジュネーブの国連で開催された女子差別撤廃委員会63セッション(2月15日~3月4日)の日本についての検討会議(2月16日)に、慰安婦問題以外にどのようなことが話し合われたか。

会議傍聴に参加して下さった スイス在住のなでしこアクション仲間 から報告いただきましたのでご紹介いたします。
UN

*****************************************************************

女子差別撤廃委員会対日審査(2016年2月16日)で指摘された慰安婦問題以外のこと ~ その1

あれよあれよという間に、非嫡出子が嫡出子と同じ相続権を得るようになった。この背景には、何と言っても国連の強い後押しがある。

女子差別撤廃委員会対日審査で、日本はさまざまな「問題点(?)」を突きつけられた。余計なお世話もここまで来ると、単に「委員たちの戯れ言」として聞き逃すわけにはいかない。また、非嫡出子が同権を得たことを鑑みると、ウカウカしてもいられないというのが実感である。そこで、当委員会で日本政府がどのような指摘を受けたか、ここに記録を残し、ご興味のある方々にご報告差し上げたいと思うに至った。

委員たちは発言の中で、「驚いたことに!」や「何と!」を連発した。また、一度だけだが「この前言ったことを日本政府は未だ実行に移していない。」との、やや苛立った発言もあった。「やだ〜あきれちゃったわ〜うっそ〜まじ〜?何回同じ事を言わせるつもりなの?やる気あるの?私たちをナメてるの?」というのが、彼女たち(委員は男性1名のみであとはすべて女性)の本音だったにちがいないと報告者は推察する。

いずれにしても、日本人の感覚からすると高飛車な口吻だったことを前もって述べておく。おそらく、こういう言い方をすれば日本人はすぐに凹むということを計算に入れた上での演出だったと思う。

尚、当委員会に居合わせた方で、これから記す事柄に誤りや重要な事項の抜け落ちを見つけられた場合は、是非ご指摘いただきたい。

当委員会の委員が日本政府に対して突きつけた事項を列挙する。順序は報告者が重要だと思ったそれを優先する。

< 暴力 >
「強姦の定義を広めるべき。膣への挿入に合わせて肛門への挿入を加えることは勿論のこと、局部への接触も『強姦』に入れるべき。」
ここでは、強姦の罰則規定は十分なものか。また、未成年者に対する強姦の刑罰がより重いものになっているかが執拗に確認された。
「DVからの女性の救済は万全であるか。」

< 男女平等 >
「女性の地位が低い。」
ここでは、「000に女性が占める割合は00%である。」という例が延々と挙げられた。例えば、大臣に女性が占める割合は何%という具合である。
この事象の原因は「短大に進学する女性は多いが大学への進学者が少ないから。」とし、「女性の大学進学率を上げ、女性の職業選択の自由を広げるように。」と促した。さらに「特に、理科系学部への女性進学者を増やすこと。」と付け加えた。
ここで注目すべき点は、女性枠を設ける「クオータ制(Quota System)」という文言が一度しか発せられなかったことである。彼らは「クオータ制を早く設けろ。」と何回も言いたかったはずである。恐らく、この制度が「男女平等の理念に反する」と反論されることを避けたかったからではないだろうか。
「男女の役割が未だ未だ固定的である。」「夫婦間の育児や家事の分担が十分に行われていない。」

< 婚姻 >
「婚姻可能最低年齢が『男性18歳、女性16歳』であり、同じ年齢ではない。」
「選択制夫婦別姓を認めていない。」
ここで注目すべき点は、「夫婦同姓は大多数の国民が支持している。」と回答した日本政府に対して、「国民の気持ちの変化を待つのではなく、政府が率先して国民の意識を変えるように。」と促したことである。ここに国連の本音が見えた。
「女性の再婚禁止期間が180日から100日に短縮されたのは評価できるが、さらに再婚禁止期間を無くすように努力すべき。」
(注)法務省は平成28年2月18日の自民党法務部会で、現在は180日とされている女性の再婚禁止期間を100日間に改めるとともに、離婚時に妊娠していなければ直ちに再婚を認める民法改正案の概要を明らかにした。
「堕胎に夫の承諾を必要としているが、これは女性の自律を阻む。」
それなら、夫の気持ちはどうなるのだろうか?
「嫡出子と非嫡出子というように、子供を差別している。」
結局、「嫡出子」「非嫡出子」という言葉自体をなくせと言いたかったのだろう。

< 人権 >
「あくまでも被害者(この場合は女性)の『傷ついた』という気持ちを尊重するように。加害者(この場合は男性)の『そんなつもりはなかった。』という言い訳には重きを置かないように。」
これは極めて危険。このことはその2で述べる。

< 性教育 >
「行き過ぎた性教育にブレーキをかけようとする動きがあるが、若年層の妊娠を防ぐためにも、ブレーキをかけるのは正しくない。」

< 二重差別 >
「在日韓国朝鮮人、部落民、先住民族(アイヌ)、障害者、移民の女性は二重差別を受けている。」

< その他 >
「セクハラやマタハラ(職場での妊婦に対する嫌がらせ)への対応は十分か。」
「母子家庭や農業に従事する女性への支援は十分か。」
「ポルノへの規制は十分か。」
「同性愛者、両性愛者、性同一性障害者などの性的少数者の問題。」

女子差別撤廃委員会 委員

女子差別撤廃委員会 委員

—————————————————————————————–

女子差別撤廃委員会対日審査(2016年2月16日)で指摘された慰安婦問題以外のこと ~ その2

皆様は「痴漢えん罪保険(月額590円)」というのがあることをご存じだろうか。痴漢に間違えられた際に、弁護士の費用などに当てるのだそうだ。

今回の会議で、私は日本の左派の思惑をまざまざと感じた。「注文の多い料理店」というのがあったが、「注文の多い委員会」にマトモにつき合っていたらとんでもないことになる。どうなるかと言ったら、「電車内での強姦罪が成立」してしまう可能性が出て来るということである。

ここで、委員たちの発言を整理する。

1、「被害者(女性)の『傷ついた』という気持ちを尊重。加害者(男性)の『そんなつもりはなかった。』という言い訳には重きを置かない。」

これはどういうことを意味するかというと、「被害者(?)である女性の証言(?)に重きが置かれる」ということである。慰安婦問題も、この論理で一気に押し切られてきた。彼女たちが本当に慰安婦だったのか、彼女たちの証言に信憑性があるのかといった検証は、すべてすっ飛ばされてきた。彼女たちの「涙」に信憑性を見いだせということである。まさしく暴論だ。

ちなみに、電車内の痴漢事件もこの論理、つまり被害者の証言が優先されている。

2、「強姦の定義を広めるべき。膣への挿入に合わせて肛門への挿入を加えることは勿論のこと、局部への接触も『強姦』に入れるべき。」

ここで注目すべきことは、「局部への接触」が「手による」と限定されていないことだ。

電車内で「手」で接触するだけが痴漢行為ということであれば、両手を上げていれば痴漢えん罪を防げる。しかし、今は「からだを押しつけてきた!!!」でも痴漢行為として認められようとしている。

さらに、ふたりがグルになって被害者と目撃者(証人)を演じれば、簡単にインチキ痴漢行為が成立するわけだ。こうなると、痴漢えん罪を防ぐことは大変難しくなる。その上、局部への接触も『強姦』に入れるとなると、電車内で強姦罪が成立する。

フェミニズム思想は、もともと女性救済を目的にはしていない。ある別の目的のために、「目くらまし」として「女性」が使われているに過ぎない。上に挙げた委員からのアドバイスを受け入れてしまったら、左派にとっての敵(男性)を、いとも簡単に強姦犯として血祭りに上げることが可能になるわけである。

「男は狼なのよ、気を付けなさい〜」という歌があった。これは性教育に使える。「性教育をキチンとしろ。女性が強姦されてもいいのか。」と委員から問いつめられたので、私は次のような性教育(狼を寄せ付けない方法)を提言する。

1、売春婦ファッション及び売春婦のような化粧はしない。
2、夜遅くまで外でウロウロしない。
3、20歳以下の女性の飲酒と喫煙は厳禁。20歳過ぎても、外での飲酒と喫煙は極力控える。
4、電車内など、公共の場で化粧をしない。

以上のことを守れない女性たちは、強姦されたくらいで「傷ついた〜!許せない〜!」なんてしおらしいことを言える立場にはない。

以上

【解説】国連 女子差別撤廃委員会と慰安婦問題

「ニューヨーク ビズ 」の署名広告をご覧になった方ここをクリックしてください

*****************************************************************

※画像をクリックすると別ウィンドウで拡大で表示されます。
スライド1

スライド3

スライド2

【音声/日・英】日本政府代表団 外務審議官 杉山氏 答弁 (慰安婦問題の箇所のみ)/ 国連 女子差別撤廃委員会 2016.2.16

「ニューヨーク ビズ 」の署名広告をご覧になった方ここをクリックしてください

*****************************************************************

DSCN0850(0)

【日本語版】

 

【英語版】

 

*****************************************************************
<外務省 女子差別撤廃条約 より>

LA Times(2月8日付)「慰安婦」カリフォルニアの教科書上でいかに歴史がつくられていくかという教訓

「ニューヨーク ビズ 」の署名広告をご覧になった方ここをクリックしてください

*****************************************************************
【 日英対訳 】

Los Angeles Times  2016年2月12日
‘Comfort women’ and a lesson in how history is shaped in California textbooks.
「慰安婦」と、カリフォルニアの教科書上でいかに歴史がつくられていくかという教訓
http://www.latimes.com/local/education/la-me-comfort-women-curriculum-20160207-story.html

By Victoria Kim / Contact Reporter

After nearly a decade of delays, California educators released a draft guideline that will shape how history is taught to students across the state.
10年近くを経て、カリフォルニア教育関係者は、州全域の学生にいかに歴史を教えるかを形づくるガイドライン草案を発表した。

The nearly 1,000-page “History/Social Science framework” received little public attention and went largely unreported in mainstream media when it was announced in December.
千ページ近くの「歴史/社会学フレームワーク」は、12月に発表された時には一般の注目を引くことはほとんどなく、どこの主流メディアにも取り上げられることはなかった。

But in multicultural California, that hardly means it went unnoticed.
しかし多文化のカリフォルニアでは、誰の目にも留まらずにいたわけではない。

In Japanese and Korean communities on both sides of the Pacific, the guidelines have been breathlessly covered in news reports and generated rival petitions signed by thousands on each side.
太平洋両岸の日本人と韓国人コミュニティでは、ガイドライン(指導要領)は息つく暇もないほどニュースで報道され、両陣営で何千もの署名を集める戦いに発展した。

The brouhaha concerns two sentences describing what will be taught in 10th-grade world history classes about the women known as “comfort women,” who were coerced into sexual slavery in wartime brothels for Japanese soldiers during World War II. The passage has been met with celebration among Korean American groups that have campaigned to bring attention to the issue in the U.S., and concern from some Japanese groups that consider it an unfairly negative portrayal of their home country.
騒動は第二次大戦中に日本軍のための売春施設で性奴隷を強制された「慰安婦」として知られる女性達のことを高校生に教える2つの文に関してである。この問題が米国で注目されるべく運動を推進してきた韓国系米国人のグループは、慰安婦の記述を喜ばしく受け止め、日本人のグループには、公正を欠いた自分達の国を貶すイメージだと問題視するものもある。

The Japanese and Korean groups are only the latest to bring their historic contentions to California classrooms, where the subject of world history is increasingly entangled with questions of personal identity and family history rather than a set of supposed facts that designated experts hand down from ivory towers.
日本人と韓国人のグループは、象牙の塔にいる専門家の学説である一連の事実より、個人のアイデンティティや家族の歴史が問われる理由で世界史テーマがもつれることの増えているカリフォルニアの学校へ、自分達の歴史論争を持ち込んだ一番最後手だっただけだ。

Until recently world history focused mainly on European history in U.S. high schools. As the scope expands to other parts of the world, California classrooms are becoming battlegrounds in which recent immigrant groups wrestle over whether and how their ancestors’ stories are told to the state’s next generation.
最近まで、米国の高校では世界史は主にヨーロッパ史が中心だった。それが世界の他の地域にも及ぶにつれ、カリフォルニアの学校は、新しい移民グループが自分達の祖先の話が州にいる次世代にいかに語られうるかを争う戦場となっている。

In the years that the committee of educators has been working on the guidelines, Hindu and Sikh groups, Polish Americans and Persian historic societies have each come before the authors of the framework with requests on how their history is depicted.
教育委員会がガイドライン作成をしていたここ数年、ヒンドゥとシーク教のグループ、ポーランド系米国人とペルシャ史協会などが、自分達の歴史がいかに書かれているべきかの要請をフレームワークの執筆者達にそれぞれ提出している。

The community groups who spoke at public meetings about their history far outnumbered teachers or educational professionals, said Nancy McTygue, who co-chaired the committee crafting the framework until last year.
公開会議で自分達の歴史について話したコミュニティグループは、教師や教育の専門家を数で圧倒していたと、昨年までフレームワーク作成委員会共同議長だったナンシー・マクティグは述べた。

“People were angry, people were pleading. People were excited, happy. Every emotion you can think of,” said McTygue, herself a former teacher who has taught high school history. “History is an interpretive discipline, and everybody’s got their own interpretation.”
「彼らは怒り、嘆願し、また興奮し、喜んでいました。考えつく限りのあらゆる感情がありましたよ」自身が元高校の歴史教師であるマクティグは言った。「歴史とは解釈の教科です。みなそれぞれの解釈があるのです」

James Grossman, executive director of the American Historical Assn., said history should get revised as scholars and educators learn more about the world, and that the increased number of voices getting involved would ultimately be a blessing for California students.
米国歴史学会理事長ジェームス・グロスマンは、歴史は世界についてより多く学ぶ学者や教育者によって修正されるものであり、そのような声が増えるのはカリフォルニアの学生達にとっては喜ばしいことだと述べた。

“The conversation is going to be a hell of a lot more interesting and more contentious, but that’s a good thing,” he said. “The conversation is going to reflect a wider perspective on the past, wider number of sensibilities.”
「話し合いはさらにとてつもなく面白く、論争となりますよ。しかしそれはいいことです。話し合いは過去へのより広い視野、より広い感受力を反映していきます」

World historian Patrick Manning, a University of Pittsburgh professor, said the debates in California were a result of clashes between documented history and the communities’ collective memories, which inform questions of identity.
ピッツバーグ大学教授の世界史学者パトリック・マニングは、カリフォルニアでの討論は史実の歴史と共同体に蓄積された記憶、アイデンティティに係わる問いに答えるそれとの間の衝突がもたらしたものであると述べた。

“The depth and intensity of those debates is because of their memory – their feelings about the past – as much as it is about history,” he said.
「これら討論の深さと激しさは歴史についてであるが、同じぐらい彼らの記憶、過去に対する感情もかかわっている」

John W.I. Lee, a professor of ancient Greek and Persian history at UC Santa Barbara, reviewed the framework and submitted comments at the urging of a group of Persian parents. They were concerned that ancient history in the sixth-grade curriculum was told only from the perspective of the Greeks, demonizing Persians as “barbarians” without recognizing the political and cultural contributions of the Achaemenid Empire.
カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校、ギリシャ古代史とペルシャ史の教授ジョン・W.I. リーは、フレームワークとイラン系の親達のグループからの催促で出されたコメントを観閲した。彼らは6年生の古代史の内容がギリシャ人の視点からのみ語られており、アケメネス王国の政治的文化的遺業を無視してペルシャ人を「蛮族」と悪者にしていることを憂慮していた。

“When you have a state that’s as multicultural and multiethnic as California, of course it becomes an issue in the classrooms,” he said.
「カリフォルニアのように多文化多人種の州にいるなら、当然教室で問題になりますね」と教授は言った。

One of the parents, Jaleh Niazi, said she and others asked themselves if they were being biased by pride for their own culture. But after consulting scholars, they concluded there were historic inaccuracies to be corrected in depictions of ancient Persia and modern Iran, she said.
親グループの一人ジャレ―・二アジは、自分達が果たして自分達の文化へのプライドで偏った見方をしているか自問したと言った。しかし学者にも意見を聞いた上で、古代ペルシャと近代イランの解説には、修正されるべき歴史的事実誤認があるという結論に至った。

“We want our kids to take pride in what was good, and learn from what was bad,” said Niazi, a pediatrician who has two daughters in the 10th and eighth grades. “This is not only about my children. It’s important for California as a whole to know the world they live in.”
「子供達には自分達の良いものを誇りに思い、悪い事からは学んで欲しいのです」高1と中2の娘を持つ小児科医の二アジは言った。「うちの子供だけではありません。カリフォルニア住民全部にとって、自分達の住む世界を知ることは重要でしょう」

The new language on “comfort women” marks the first proposal to teach what has been a long-contentious political issue in East Asia in high school classrooms in the U.S. It has the potential to widely influence how textbooks address the topic.
「慰安婦」の新しい説話は、長い間続いている東アジアの政治問題を米国の高校で教える最初の提案を記すものだ。これは教科書がいかにそのテーマを扱うか、広く影響する可能性である。

The guidelines recommend that the subject of “comfort women” be taught to high schoolers “as an example of institutionalized sexual slavery, and one of the largest cases of human trafficking in the 20th century.”
ガイドラインは「慰安婦」について、「制度化された性奴隷の例と20世紀最大の人身売買の事例」として高校生に教えるよう推奨している。

The passages were incorporated into the draft framework at the urging of Korean community groups, authors of the guideline said. McTygue and Bill Honig, co-chairs of the History-Social Science subject matter committee, said they consulted the latest historical research and survivors’ testimony and concluded there was enough evidence for it to be taught in schools.
韓国人コミュニティグループが急き立てて、記述がフレームワークの草案へ取り入れられたと、ガイドライン執筆者は話した。歴史-社会学主題対象委員会共同議長ナンシー・マクティグとビル・ホニグは、最新の歴史研究と生存者の証言を考察し、学校で教えるのに十分な証拠があるという結論に至ったと述べた。

Honig said he believed the issue would be a valuable starting point for students to research and discuss the present-day problem of human trafficking.”Kids should know that this is a problem and it’s going on. It’s not just in Japan and Korea during World War II, it’s a bigger problem,” he said.
ホニグは、慰安婦問題は学生が現在の人身売買問題を調査し論じるための重要な出発点になるはずだと言った。

After the conservative Japanese newspaper Sankei reported on the new framework in December, under the tag “History Wars,” an online petition on Change.org has collected more than 5,000 signatures protesting the description. The petition asks that the passages be amended to also describe comfort women as “well-paid prostitutes” and that they also served Allied troops in Japan immediately after the war.
日本の保守系新聞産経が12月に「歴史戦」の名の下にこの新フレームワークを報じた後、オンライン署名サイトChange.org には論説に対する抗議の署名が5千人以上集まった。署名は慰安婦の記述も「高収入売春婦」と訂正し、また彼女たちは終戦直後の日本で連合軍にも性サービスを提供したことを解説するよう求めた。

The petition, which is predominantly signed by Japanese residents but also a few dozen Californians, says school textbooks should not be used as “propaganda advertisement.”
署名は主として日本人からだが、中にはカリフォルニア住民もおり、学校教科書は「プロパガンダ広告」に利用されるべきではないと訴えた。

Honig, who was sent a copy of the petition, said he was surprised the language would be controversial, especially given that the Japanese government has apologized.
署名書コピーを送られたホニグは、慰安婦の説話が問題視され、とりわけ日本政府が謝罪したことが論争になるとは、驚くしかないと述べた。

Hiroyuki Miyoshi, a Culver City computer programmer who signed the petition, said he was concerned his children will face animosity in school based on what he believed was an unsettled point of history.
オンライン署名をしたカルバーシティ在住のコンピュータープログラマー、ミヨシ・ハルユキは、この問題は歴史で疑義のあるところであり、これが原因で彼の子供達が学校で敵意に晒されるのを憂慮していると言った。

“In this situation I don’t think it’s fair to teach, when the conversation is still controversial,” said Miyoshi, 50, whose two younger children are in the fifth and sixth grades and will be taught under the new framework. He said he believed the issue was a matter between the two East Asian neighbors and had no place in California textbooks.
If the framework is adopted, Miyoshi said he would probably urge his children to do their own research rather than take in what they’re taught as fact.
「まだ論争が続いている時に、この状況で学校で教えるのは公平ではないと思います」新フレームワークに基づき教えられる5年生と6年生の子供をもつミヨシ(50)は言った。彼は、この問題は東アジアの二つの隣接国の事であって、カリフォルニアの教科書に載るものではないと言う意見だ。

“The U.S. has been drawn into this as a battleground for these memory wars,” said Daniel C. Sneider, associate director of research at Stanford University’s Shorenstein Asia-Pacific Research Center, who has studied depictions of World War II events in textbooks in the U.S. and elsewhere.
「米国はこの問題で記憶戦争の戦場に引きずり込まれた」と言ったのは、米国その他の教科書に掲載された第二次大戦の出来事の叙述を研究したスタンフォード大学ショーレンスタイン・アジア太平洋研究センター準局長ダニエル・C・シュナイダーだ。

He said he was “pleasantly surprised” by the inclusion of comfort women in the new California framework, and said it showed a broadening global perspective in how history is taught here.
彼は、新しいカリフォルニアのフレームワークに記された慰安婦の包括に”喜びをもって驚かされ”、ここでどのように歴史が教えられるかを通し、広がっているグローバルな視点を示した述べた。

Because California, along with Texas, is the largest buyer of textbooks, state guidelines will probably reverberate elsewhere, he said.
カリフォルニアはテキサスと並んで教科書の最大の買い手のため、州のガイドラインは他でも反響を呼ぶだろうとのことだ。

Phyllis Kim, an activist with the Korean American Forum of California, which has vigorously campaigned to bring recognition to comfort women, said the new framework was a step toward solidifying Korean Americans’ place in California.
慰安婦を承認させるため精力的に運動を推進してきたカリフォルニア韓国系米国人フォーラムの活動家フィリス・キムは、この新フレームワークはカリフォルニアの韓国系米国人が団結に向かう歩みであると述べた。

“When we immigrate, we bring our language, culture and history,” she said. “That’s the wealth that we bring into this state.”
「移民して来る時、われわれは自国の言葉、文化、歴史を伴って来ます。それは私達がこの州にもたらす財産です」とキムは言った。

victoria.kim@latimes.com
Twitter: @vicjkim