本日令和4年9月28日、東京高等裁判所101号法廷にて、「主戦場」訴訟の控訴審判決が言い渡された。判決は、詐欺映画によって被害を受け権利を侵害された原告(山本優美子、藤岡、藤木俊一、ケント・ギルバート、トニー・マラーノ)の控訴を棄却し、原告の全面敗訴となった。
そもそも高裁は証拠調べなど実質的審理を行わず、判決文は一審の判決を追認し、ただなぞったに過ぎない文面であった。これでは三審制の意義はほとんど無いに等しく、国民の訴訟を受ける権利は著しく空洞化していると言わざるを得ない。訴訟経過も内容も、極めて不当な判決であった。
上告期限は通常の二週間後に追加して、さらに30日後とされた。外国人が原告に含められている場合の特例措置である。原告と原告弁護団は協議の結果、上告の有無を改めて弁護団において検討することとなった。
いずれにしても今回の不当判決は、明文化された「合意書」に明らかに違反してもこれを咎めないという、もはや法治国家とは言えないような内容である。この判決によって、独立系の作者によるドキュメンタリー映画の制作は、一般の協力が得られず困難になるだろう。二度と今回のような詐欺的行為による被害者を出さないよう、われわれは社会に広く、映画制作への善意の協力に潜む危険性について警告し訴えていく所存である。
また、上智大学については、学内の研究倫理に関する内規を破り、研究協力者の権利を平気で侵害する行為が許容される大学であること、しかもそれを司法においても是正できないことを示す判決が出たことによって、同大学の学生や大学院生の研究活動は今後一般からの協力が得られなくなるであろう。ここでも原告のような被害者を出さないように警告・宣伝することがわれわれの義務であると考えるからである。
以上の諸点は、朝日新聞記者のぶら下がり取材に応じた時にも話したことである。長い期間にわたって法廷の傍聴など、終始ご支援いただいた皆様に、原告団として心からお礼を申し上げます。
藤岡信勝