国連ジュネーブ 児童の権利委員会 参加報告と委員会見解書
山本優美子 (なでしこアクション代表)報告 2019.1.26 スイス、ジュネーブの国連パレ・ウィルソンにて開催された「児童の権利委員会80会期(CRC80)2019年1月14日~2月1日」の対日審査会(1月16・17日)に傍聴参加してまいりました。今回は私が副会長を務める「国際歴史論戦研究所 International Research Institute of Controversial Histories(iRICH)」から派遣という形の参加でした。 今回の対日審査会に向けて、なでしこアクションとして「海外在住の日本人児童の保護」というテーマで意見書を提出しました。作成に当たってはなでしこアクションを応援して下さる海外在住の方々、米国の「ひまわりジャパン」、豪州の「Australia-Japan Community Network」にご協力いただきました。 児童の権利委員会では、体罰、いじめ問題、非嫡出子・嫡出子差別、アイヌ・朝鮮・部落・LGBTの子どもの差別、児童虐待、教育、原発事故の影響、貧困、児童相談所、朝鮮学校、子供の連れ去り問題、ADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬問題、等々、子供の人権に関する様々なテーマが扱われます。 審査会は2日間で2回、各回3時間行われます。 一日目は、日本政府代表団(日本から18名)が、委員会から事前に出されていた質問に回答し、それに対して委員が質問。 二日目は、前日の質問に対して日本政府代表団が回答、委員がさらに質問する、という流れです。 日本からも沢山のNGOが参加していました。 特に目立っていたのは朝鮮学校関係の全員女性の十数名。半数は華やかなチマチョゴリを着て、「日本は過去の抑圧的な植民地支配に謝罪し、その子孫で被害者である在日朝鮮人の高校に無償化を適応してください」と主張するチラシを持参して委員らに訴えていました。 また、全日本教職員組合が、「子どもの権利を支える教職員の労働実態の悪化と権利侵害」を訴えるチラシを配布していました。 組体操の危険性について意見書を出したヒューマンライツナウの関係者も参加していました。実際は組体操については審査会では全く触れられていませんでした。 以下2月8日追記 ********************************************** 会期後、2月1日付けで委員会から日本政府に対して見解書(concluding observations 総括所見)と勧告(recommendations)が発表されました。 なでしこアクションから意見書を出した「海外在住の日本人児童の保護」について残念ですが、触れられていませんでした。 一方、 ・マイノリティであるアイヌ、部落、韓国などの本邦外出身者、移民労働者の子どもたち、LGBTI児童、非嫡出子、障害のある児童らに対する差別を解消し、認識を高めるプログラム・キャンペーンや人権教育を行う(4ページパラグラフ18-c) ・「授業料無償化」の基準を見直して朝鮮学校も対象にし、大学入学試験資格を差別の無くす (11ページ パラグラフ39-c) という勧告が出されました。 他に、 ・反差別 non-discrimination -反差別法の制定、非嫡出子の権利 ・児童の意見尊重 respect for the views of the child ・体罰(禁止) corporal punishment -あらゆる体罰の禁止 ・家庭環境を奪われた児童 children deprived of a family environment ・出産(生殖)と精神面の健康 reproductive and mental health -学校教育、HIV/AIDS、中絶非犯罪化、ADHD薬処方 ・少年法 juvenile justice について日本政府は早急に対策するよう委員会から勧告されました。 原文英語はこちらです。 […]