ジャーナリストの大高未貴様より 掲載の承諾いただきました
日中韓「慰安婦」謀略ネットワークとその虚妄 (正論 2013年1月号)
大高未貴
9月4日の朝日新聞を見て驚いた。29面とはいえ、紙面の4分の1を使った「元慰安婦写真展 第二弾」という記事が目に飛び込んだからだ。そこには見覚えのあるメガネをかけた男性の写真も添えてある。筆者は本誌9月号で「お粗末 ニコン“慰安婦”写真展騒動を嗤う」という拙文を掲載したが、間違いない、同じ安世鴻なる韓国人写真家による、同じ写真展なのだ。
しかしニコンの写真展からわずか2カ月後、しかも新宿のニコンの会場から電車で20分程度のところで、何故同じ写真展を開くのか?
その疑問を解く前に筆者が全開のニコン写真展を何故批判したかを簡単に説明しておく。詳しくは本誌9月号を読んでいただくしかないが、指摘したのは2点。安氏は表現の自由を弾圧されたと叫ぶが、ニコンが写真展の中止要求をしたのは、無料であるニコンの会場を使用するにあたって、規約に違反する行為(営利活動)の疑いが生じたからであること。写真展に登場する老婆が、いつ、どこで安氏の撮影に応じたのか、写真に説明がないため一切わからず「田舎の貧しい老婆たち」というタイトルでも充分通用する代物だったこと。以上を踏まえ、「表現の自由」に問題をすり替えたプロパガンダ展ではないか、と結論付けたのだ。
実際安氏は朝日新聞のインタビュー記事に6月中に2回も登場しているし、有楽町の外国人記者クラブでは会見まで開いている。ニコンの写真展は無事開催できたし、表現の自由の抑圧や言論弾圧はどこにもなかったのだ。
ところで「第二弾写真展」を報じる朝日新聞を読み進める内に、安氏の写真展はプロパガンダ運動ではないか、という疑問は確信に変わった。というのも、武蔵大学の永田浩三教授が、写真展開催に尽力したとあったからだ。永田教授はNHKの元プロデユーサ―。天皇陛下に“死刑宣告”をし、大顰蹙を買った極左グループ(なんと北朝鮮の工作員まで出席していた)の素人模擬裁判「女性国際戦犯法廷」を取材し、「問われる戦時暴力」のタイトルでNHKで放映した番組の担当プロデユーサ―。しかも、それから4年も経った05年、「政治家の圧力で番組内容を改編させられた」と涙ながらに訴え、朝日VS NHKの誤報論争を引き起こした人物だ。
更に「女性国際戦犯法廷」をしかけたバウネット・ジャパンは番組が改変されたことに対してNHKを被告として裁判を起こしたが、最高裁で敗訴している。こうした背後の仕掛け人達の正体がわかったとしたら、やはりもう一度『慰安婦写真展』に出かけていかざるおえない。
今回の会場となった江古田にある『ギャラリー古藤』は、武蔵大学の目の前。ギャラリーを運営しているという女性に写真展開催の経緯を聞くと、「武蔵大学の永田浩三教授(表現の自由を守る市民30人の実行委員長)から頼まれて開催しました」と答えた。慰安婦問題については「あまり良く知らなかったから、これを機会に勉強している最中なんです。永田先生は先日も学生さんをたくさん連れてきましたよ」という。
そして展示された写真には、出身、名前(日本名も含む)、慰安婦になった年齢などが小さくつけられていた。しかし彼女達が、どういう形で日本軍に強制連行されたのかという説明は相変わらずない。慰安婦は組織的に強制連行されたかどうかが問題なのであって、単なる娼婦であるなら、売春が合法であった当時としてはまったく問題がない。この辺を意識的に混同しているのも気になるが、もし後者であって、言葉巧みに老婆達を撮影し、好評したのであれば、逆の意味で重大な人権問題でもある。
・慰安婦写真展の背後に蠢く反日日本人を撲滅せよ!
筆者が訪ねた9月5日は、ちょうどバウネットジャパン共同代表の西野瑠美子氏が講演をしており、狭いギャラリーは40人ほどの人達で埋め尽くされていた。西野氏は慰安所に群がる日本兵などの写真をスライドで見せながら、慰安婦の悲劇を感情的かつ情緒的に訴え続けた。その中で、唐突に「慰安婦はアジアに限らず沖縄の守備隊だった32軍司令部の中にもいたのです。しかし自衛隊OB会の隊友会の方が慰安婦などいなかったなどと言いだして、32軍に慰安婦がいた事実が黙殺されようとしています」と切り出したのだ。再び自分の原稿で恐縮だが、32軍司令部については正論 月号で「沖縄に“慰安婦”が飛び火!“32軍司令部”をめぐる言論暴力の嘘」という記事を発表していただけに、聞き捨てならず、西野氏に質問した。
―32軍の慰安婦についてですが、この事に関して、当時32軍に従軍看護婦として働いていた沖縄在住の伊波苗子さんという女性が“慰安婦などいなかった”と証言していますが、この伊波さんの証言をどう捉えますか?
西野「伊波さんの証言は私もネットで見ました。しかし、、、恐らく、彼女は慰安婦を見ていなかったのだと思います。知らなかったのでしょう。慰安婦がいたということは、沖縄の史家や沖縄タイムス、琉球新報などが指摘しています」。
この西野氏のもの言いには一日本人女性としても、激しい憎悪を抱かずにはいられなかった。西野氏の発言は、伊波さんの証言を知っていて検証もせず、伝聞だけで勝手に「彼女は慰安婦を見ていなかっただけだ」と結論付けたからだ。
伊波さんは32軍にほんの数日間だけ従軍していたわけではない。総司令官の牛島満大将(中将?)が最後に摩部仁の丘で切腹するまで約半年間、ずっと32軍と行動を共にし、おそらく現在、沖縄戦の生存者の中で、第32軍司令部の動向に最も詳しい人物なのだ。現に正論の筆者の記事の発表後、琉球新報ですら伊波さんを訪ね、彼女の証言を載せている。
講演終了後、西野氏に慰安婦問題について取材を申し込んだが「私は他にも仕事をしていて忙しいので、遠慮させていただきたい。詳しいことは本にすべて書いてあるのでそれらを読んで下さい」と断られた。そこで、「今後、韓国軍がレイプしたベトナム女性との間に生まれた混血児ライタイハンについても調査する予定がありますか?」と問うと「そのことは既に韓国の退役軍人が行っています」と逃げた。これも嘘だ。ライタイハンについては韓国のハンギョレ新聞社が発行する週刊誌『ハンギョレ21』が長年の韓国のタブーを打ち破って記事にしたが、怒り狂った退役軍人達が新聞社を襲撃し、機材を破損させるなどして再びタブーとなり、以後真相究明されていない。
この日、永田教授は自身のHPの中で、講演会終了後の打ち上げで西野氏と撮影した写真などをアップし、ブログの最後をこう締めくくっている。『大阪市の橋下市長は、かつての河野談話の否定論者だ。そんな見苦しい政治家が、未来の総理候補として、期待を集めている。この現象はなんだろう。
きょうの西野さんのお話では、2007年の安倍晋三氏の「狭義の強制性」はなかったという発言と、まったく同じだという。私も同感だ。日本政府や軍は、強制的に植民地・朝鮮の女性に甘言を弄し、何も知らせないまま、彼女たちを慰安所に送りこんだ。そうしたふるまいは、「拉致」問題と相似形だ。なんとか、最終日まで、たくさんのお客さんに見てほしい。』
このもの言い、事実無根の強制連行、慰安婦問題を既成事実化することによって拉致問題を相対化させようという北朝鮮の言論工作そのままである。果たしてこんな人物が日本の大学で教鞭をとり、朝鮮学校のごとく学生達を洗脳し、武蔵大学で問題にならないのだろうか?
・会場で配られた資料の中に「多くの朝鮮人慰安婦は、日本の敗戦時、現地に置き去りにされました。これは朝鮮人慰安婦に特徴的な被害です。その理由を国外移送、性的奴隷、民族差別の視点からみていきましょう」というものがあった。安氏の写真展に登場するのはすべて中国東北部の朝鮮女性だが、ちょっと待って欲しい。あの敗戦時、中国東北部ではソ連軍が乱入し、民間の日本人も男性は惨殺され、女性はレイプされた上に惨殺され、家財産も強奪され、日本軍兵士は60万人もシベリアのラ―ゲリーに強制連行された。そんな阿鼻叫喚の中で「現地に置き去りにされた」もないだろう。
そもそも何故彼女達が中国東北部にいたのかも検証されなければならない。
1932年に発行された『政界往来』という雑誌の中に『鮮娼!これでも人間か?』と題された元「時事新報記者」中西伊之助氏の記事がある。中西氏は、満州事変直後、凶暴な中国東北の軍閥の敗残兵が無辜の朝鮮人農民にたいして行った残忍なふるまいを調査するために東北部を飛んで歩き、鮮妓の実態に驚いて筆をとっている。
簡単に要約すると、南北シナ、南北満州からシベリアの国境付近まで、約6万人もの朝鮮人の若い女性が娼窟で働かされていると義憤をこめながら指摘している。又、それらの地域で働いていた日本人の娼妓は朝鮮人の娼妓に駆逐されてという。そして中国東北部で朝鮮人の娼妓が多い理由として、朝鮮農民の窮乏を挙げている。窮乏した朝鮮農民の娘達を二束三文で売り買いし、時には拉致までして業者が売りとばすのだが、肝心なのはこれらの業者は日本人ではなく、朝鮮人や中国人であったということだ。
『村には満州や天津方面に女を斡旋する人が(これは朝鮮人です)、いました』という朝鮮娼妓の証言がある。むしろ日本の憲兵がこういった悪質な人身売買に目を光らせていた事実がいくつも書かれている。例えば『こういった朝鮮人の女衒は“ある者は地方の軍警や巡警と結託して、アフリカ黒奴隷を白人が狩 するように鉄砲とサーベルで威嚇して拉し去るのがある。日本の憲兵の手の及ばない地方は随分あるのだ”。又、顔も見知りの軍警や巡警に一家もろとも拉致監禁され、後に一人だけ、麻袋に詰められて2日間も馬車につまれて天津に売られた娘の話が出てくるが、その時の業者は 『天津まで出れば占めたものです。日本の警察権なんかは租界内だけで、賄賂さえ払えば堂々と連れて歩けます』と嘯くのだ。こうした輩を中西氏は『東亜大陸の自奴隷狩』と糾弾している。
又、中国人が朝鮮人に対して横暴な振る舞いをすることにも触れている。奉天の郊外にある朝鮮人部落の花柳界は安普請ながらも純日本式の料理店風にしてあり、その理由についてこう述べている。『朝鮮人達は、朝鮮本国では卸ってその反対だが、足を一度でも大陸に踏み込むと、断然日本式であるということだ。これは顧客を多く日本人から取ろうとする関係もあろうが、鮮娼達も、日本人に極めて親愛の風を見せる。そして彼女らの服装はしごく日本服であり、稀に洋服を見るが、不思議に朝鮮服を着ないことである。こうして彼らは(これは一般にも)、日本人であることをほこりにしているが、これが中国人側の反感を抱かれる原因となっていることは争われない』。
中西氏が現地報告した当時の事情は、安氏の「写真展」でばら撒かれている資料では“民族差別”としてこんな風に説明されている。『慰安所では日本人女性のようにふるまうことを強要された 朴頭理さんは、フジコと名付けられ、イラッシャイマセ、アリガトウゴザイマシタ、オサケ、米などの日本語を使わされ(略)日本の着物を着せられたり、日本人女性に似せるために髪を切られたりしました』ということになる。当時、日本人が上客であれば、当然の営業行為だが、それが民族差別となるのだから、実にご都合主義のすり替えだ。
中西氏は寄稿文の終わりで、7,8才の女の子を連れた40前後のみすぼらしい格好の朝鮮人男性に「シナの兵隊に身ぐるみ奪われた。この娘を10円で買ってくれないか。大きくなったら妾にすればいいじゃないか」と嘆願され、2円を男の手に握らせ、奉天の駅に急いだというくだりで終わらせている。
写真展の最終日、永田教授の講演会があるというので、電話で参加申し込みをしたのだが、断られてしまった。
仕方なく、さる新聞社の若手記者に取材を依頼した。彼は立場上、名刺も出さず潜入したのだが、永田教授は風邪をひいたとかで講演会には出なかったという。安氏と永田教授の代理として講演をした女性の話の内容は「慰安婦を売春婦だなどと糾弾する日本の右翼達は、自分達の歴史の恥部を直視できずに、慰安婦問題を糾弾し、言論弾圧をしている」などと述べていたそうだ。そして彼が、展示されている写真のキャプションを撮影していると、いきなり4人の40代くらいの男に胸ぐらをつかまれ、会場の外に連れ出された。そこで顔を至近距離まで近づけられ、いまにも殴りかからんばかりの形相で威嚇されたという。「もし僕が女性であれば相当なトラウマになっていたと思います。慰安婦の人権を訴える会場で、そんな人権侵害を受けるとは思いもよりませんでした」と彼は呆れる。
ところで、何故永田教授らが執拗に出来としても規模としても大したことのない「写真展」にこだわるのかと考えているうち、ある一致に気付いて、少し戦慄した。
永田氏が4年も前の番組改変について、涙ながらに訴えた05年は、日本が国連の安全保障理事国入りを表明し、韓国・中国が猛反発、中国の各都市では大規模な反日運動が繰り広げられた年だ。また北朝鮮との拉致問題も糾弾していた。
つまり日中、日韓、日朝関係が不穏な空気に包まれていたのだ。そして今年、韓国の李明博大統領が竹島に上陸し、日本は国際裁判所に提訴、中国とは尖閣をめぐって、いつ武力衝突が起きてもおかしくない程の状況だ。更に北朝鮮との新たな交渉も始まっている。
そして、永田氏の「涙の会見」も、安氏の「写真展」も朝日新聞が実質支援している。これを偶然の一致と見ていいのかどうか。筆者にはいずも日本人の自虐意識を扇動して、ナショナリズムの高揚を抑止するような工作に思えて仕方がない。つまり、ある意志の下で繰りひろげられる国内世論撹乱である。勘ぐり過ぎであれば幸いだが、読者の皆さまはどう思うだろうか?
大高氏の本記事は慰安婦問題抗議メール作成にあたり何度も参考にいたしました。
wamが3月にパリセーズの慰安婦記念碑を訪れたのはNYからの帰りとか。相変わらず国連の人権局をはじめ工作しているのでしょう。
かたや安氏はNYでネット慰安婦館を立ち上げるとの記事を目にしました。日本ではこれらの団体が一体となって暴力的事件も発生させていることを、国連やNYメディアに向け伝えるべくメール文作成中です。
大変面白い論文をありがとうございます。
中西伊之助氏の記事等をもとに、一般向けの映画等が出来るといいですね。アカデミー賞が狙えるぐらいのやつ。そして、その史実を捻じ曲げ、捏造して、日本という国を貶めようとする民族や、左翼日本人が活動する現代につなげていく。
非常に面白い作品になると思います。
大高氏の論文は、興味のある人は読んで感謝しますが、一般大衆は読まないと思います。やはりそれを咀嚼して面白くして大衆にアピールしないと。
いくら私たちが正しくても、大衆が世論を形成するわけですから。
昨日(H26.1/29)の「ミヤネ屋」では、NHK会長の会見発言問題で
この永田浩三氏を出演させ、慰安婦問題に関わっていることは伏せて、
Nスペやクローズアップ現代を制作した実力派プロデューサーとして
紹介していました。
私は彼の言い方や内容に偏向を感じ、
調べたらこの記事に行き着きたので、「やっぱりな…」って感じです。
番組で取り上げたのが、会長の慰安婦発言問題なのに、
人選に偏りがあること、
更に最も重要なプロフィールの隠蔽について
番組やスポンサーに抗議しましたが、
この記事のおかげで、よりはっきりした意見を伝えることができ、
とてもありがたかったです。