Daily Archives: February 4, 2011

議会での慰安婦論争3-箕面市議会議事録より

地方議会によっては、議事録が検索サイトで簡単に調べられます。

箕面市議会会議録検索システム http://www3.city.minoh.osaka.jp/discuss/index.html から抜粋した慰安婦についての討論部分をご紹介します。

平成21年  6月 定例会(第2回)-06月22日-02号

○議長(牧野芳治君)  次に、日程第40、議員提出議案第13号「「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」を議題といたします。
 議案を朗読いたさせます。事務局長 中腰勇雄君
 

◎事務局長(中腰勇雄君) 
  (議案朗読)
○議長(牧野芳治君) 提案者を代表して、松本議員から提案理由の説明を求めます。18番 松本 悟君
◆18番(松本悟君)民主党
 ただいま上程されました議員提出議案第13号「「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」につきまして、提案者を代表して、提案理由のご説明を申し上げます。
 なお、説明につきましては、まことに勝手ながら本文朗読をもってこれにかえさせていただきますので、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
 議員提出議案第13号
 「「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」
 かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、64年が経過する。しかし、いまだに戦争被害の傷は癒されていない。
 平成19年(2007年)7月にはアメリカ下院議会が、「日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議」を採択している。そして、アメリカの議会決議に続いて、オランダ、カナダ、EU議会などでも同種の決議が採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されている。
 日本政府としては、平成5年(1993年)8月に、当時の河野洋平官房長官が、「お詫びと反省の気持ちを申し上げる。そのような気持ちを我が国としてどのように表すかについては、今後とも真剣に検討すべきもの」という談話を発表しているが、何ら進展していない。
 よって、政府においては、河野談話に矛盾しないよう「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め、誠実な対応をされるよう要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成21年6月22日
                  箕面市議会
 以上のとおりですので、何とぞよろしくご審議の上、ご採択賜りますようお願い申し上げます。
○議長(牧野芳治君) これより質疑に入ります。質疑はありませんか。
  (“なし”の声あり)

○議長(牧野芳治君) ないようでございますので、これにて質疑を終了いたします。
 お諮りいたします。本件については委員会付託を省略いたしたいと存じます。これにご異議ありませんか。
  (“異議なし”の声あり)

○議長(牧野芳治君) ご異議なしと認めます。
 よって、本件については委員会付託を省略することに決しました。
 これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次発言を許します。

22番 内海辰郷君

議員提出議案第13号「「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」について、反対意見を申し上げます。
 地方自治法第99条は、議会は当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき、意見書を関係行政庁に提出することができると定めています。この公益に関する事件の解釈があいまいであり、広範囲なため、地方議会における意見書の乱発という事態を招いています。
 議会運営の教科書によりますと、地方議会の意見書提出権は、当該団体の公益に関する事件で重要なものについて、住民代表の議会として傍観するのではなく、何らかの意思を公的に表明することを目的として認められたものであり、100条調査権の発動と同程度の慎重さで意見書案の是非を審議すべきとうたわれています。とりわけ外交問題については、地方団体の事務ではなく、国で論議すべき事項であり、一般的には地方議会での意見書になじまないと指摘されています。(傍聴席より呼ぶ者あり)黙れよ。しっかり聞け。
 1960年代、日韓条約やベトナム戦争で意見書が乱発されたことに、当時の自治省から慎重な態度をとるべきとの通達がされています。外交に関してあえて意見書を採択する場合は、次の2つに限るべきだと存じます。
 米軍基地が存在しているような実際上の公益に関する問題が地方自治体に存在する場合と、つい先日採択した北朝鮮の核実験抗議、あるいは先ほどの核兵器使用禁止・廃絶のような全市民的な合意が得られ、緊急性、必要性があるものに限定すべきであると思います。
 冷静に考えてほしいんです。わかりやすく言えば、外交に関しては右から左、全く相反する考え方があります。今回、この意見書が通れば、市民の中の右から、左から、次々に出てくる可能性があります。住民のニーズをしっかり議論するところで、そんな国政のことにエネルギーを費やすことがあってはならないと私は思います。
 文教常任委員会で川上議員から発言がありましたが、この意見書採択を進めようとするある市民が、市内小・中学校を訪問して、教職員組合の組合員に面談を申し入れた事実が報告されていました。この種のことが今後も引き起こされる心配があります。
 今回の意見書は、文字どおり外交に属するものであります。国会で純粋に論議されるべきものであり、意見書として取り上げることに、そのことに疑問を覚えます。市民全体の合意が得られるものと、このことは到底思えません。私は、地方議会のあり方の原則を何より大切にしたいと思っています。
 今、私ども地方自治体は、地方主権、地方分権をめざし、できるだけ権限、財源を地方に移し、国は外交、防衛、安全保障、基本的社会保障や経済政策などに事務を限定すべきと主張しています。地方のことは私たち地方に任せなさい。国会は国政のことに専念しなさい。そう主張している者が、国政すべてに口を挟んでいくのでしょうか。守備範囲を間違えてはならないのです。筋を通す、軸をぶらさない、そんな日本語は死語になってしまったのでしょうか。
 最後に、意見書を議論する幹事長会議に参加する資格のない私から、まことに僭越とは存じますが、一言申し上げます。
 中央の政党から地方の政党へ、意見書のひな形がおりてくる。それを取り上げて、定例会ごとに3本、4本の意見書が採択されていく。それを受けた中央の関係行政機関では、この形式的な意見書がたなざらしにされていると仄聞します。意見書の乱発は、みずからの権威をおとしめることになっていないでしょうか。どうか100条調査権の発動同様、重要なものと考えていただき、箕面市議会では箕面市住民全体のニーズに関わるものしか取り上げない、そんな議会になっていくことを心から期待しながら、討論を終わります。

○議長(牧野芳治君) この際、傍聴人に申し上げます。
 箕面市議会傍聴規則により、傍聴席では静粛にすることが定められておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 

次に、14番 増田京子君

◆14番(増田京子君) 無所属の増田京子です。
 ただいまの議員提出議案第13号「「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」につきまして、賛成の立場で討論させていただきます。
 私は、こういう問題こそ地方から上げていくことが重要だと考えて、この意見書に賛成いたします。
 私は、昨年の宝塚市議会の3月議会で、この慰安婦問題の請願が議員26人中、反対がたった1人で採択され、意見書は全員異議なしで提出されたという情報を聞き、戦後64年になろうとしていますが、あの戦争の反省をきっちりするためにも、この問題は避けて通れない、何かできないかと思っていました。そして、箕面でも意見書が上げられればいいのだがと考えていましたが、そのきっかけがなく、やはり箕面市では無理なんだろうかと思っていた矢先、同じく昨年、2008年の9月ごろ、箕面市民の方がこの問題に対する要望書を議会に持って回られました。皆さんのところにも来られたと思います。
 そこで、これまでの国への法律制定の働きかけなど、細かく教えていただきました。その熱心な取り組みに呼応するように、これまで箕面市で平和への活動をされていた人たちと一緒に学習会などを開催され、また私も若い人たちに知っていただきたいと学習会を開催しました。そのときの講師の方もまだ大学生で、自分が大学で学んだことを実際に見てみようと、韓国まで行かれ、被害者の方たちと会われる中で、その学生さんは、ご自身が、私がその時代にこの国に生まれていたらと考えると、とても人ごととは思えないと、帰国後、多くの方にこの問題を知っていただきたいと、「女子大生と学ぼう慰安婦問題」というタイトルの本を出版されました。とてもわかりやすい本で、この意見書にも書かれております河野談話全文も掲載されています。
 こういう若い人たちとの出会いや、箕面でこれまで在日の運動をされている方とは違った箕面在住の在日の方たちとも知り合うことができ、さまざまな方とお話、また議論をしてきました。世界女性基金が設立され、一たんこの問題は解決したかのように思う人もいるようですが、やはりそれではいけないと、今でも多くの人たちが運動されていることも知りました。
 一方、この被害者の方々が高齢になり、事実を語れる人が少なくなってきていることを肌身で知り、私たち日本人がこの事実をしっかり受けとめ、そして、これからの戦争のない、平和を望むための行動として取り組むべき課題として、ぜひ早急にこの箕面市議会から意見書を上げていきたい、いかなければという意思が強くなりました。
 私はそういう思いで、今回議員提案をさせていただきましたが、その後もぜひ多くの議員の皆さんの賛同をいただきたいと交渉させていただいた結果、より多くの賛同が得られるという修正案が示されました。先ほどの意見書ですが、随分簡潔になった文書ではありますが、昨年9月から議会に来ていただいた市民の方々、あるいはこの問題に取り組まれている在日の皆さんからは、ぜひ慰安婦問題の意見書をこの箕面市議会で採択してほしいと強い要望を受け、また多くの議員の皆さんとも議論を重ねることによって、修正案を受け入れるために私たちの議員提案を取り下げさせていただきました。
 宝塚市の後、札幌市、清瀬市、そしてことしの3月には福岡市で採択されておりますが、この6月議会でも、私が知っている範囲ですが、東京では小金井市と三鷹市が採択予定と聞いております。三鷹市では請願がこの10日に採択され、あした23日に意見書が採択されるということです。大阪府内ではこの箕面市が初めてとなりますが、私は、戦争を二度と行わないためにも、そして日本政府の責任において被害者の方を救済するためにも、ぜひ一人でも多くの議員の皆さんの賛同をいただきたいと思います。
 そして、本日の毎日新聞、朝刊ですけれども、ここに「バターン死の行進」、これは旧日本軍がフィリピン、バターン半島で米捕虜や1万人以上を100キロ無理に歩かせ、少なくとも約800人の犠牲者を出したという事件ですけれども、これに対し、5月30日、日本政府として日本政府が初めて謝罪したとあります。これも2007年、今の意見書にありますが、2007年7月、米下院が従軍慰安婦問題で対日謝罪要求決議を採択したことによると言われておりますが、こうして時代は動いております。ぜひ慰安婦問題の一日も早い誠実な対応を求めるこの意見書採択が日本全国に広がっていくことを願って、賛成討論といたします
○議長(牧野芳治君) 以上で、通告による討論は終わりました。
 ほかに討論はありませんか。13番 中西智子君
◆13番(中西智子君) 市民派ネットの中西智子です。
 通告外ではありますが、議員提出議案第13号「「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」について、ただいまの議論を踏まえまして、賛成の立場で一言意見を述べさせていただきます。
 この意見書の趣旨と意義は、過去に犯した戦争と植民地支配による国家の犯罪、重大な人権侵害について正式に国が犯罪を直視し、真摯に謝罪することと賠償を行い、かつ二度と同じ過ちを犯さないよう歴史的事実を風化させず、後世に伝えていくこと、被害者の名誉回復にあると考えています。その意味において、この意見書が地方自治法第99条の趣旨になじまないとする意見については同意しかねます。
 地方自治法第99条では、意見書の提案権が定められており、社会公共の利益に関することについて、議会としての意思を決定し、国や県などの機関に意見書を提出することができます。その意味で、このたびの意見書がふさわしいものではないという意見には賛同できません。なぜならば、私たちが過去の痛ましい戦争の歴史、植民地政策がもたらしたアジア諸国の辛苦と向き合うことは、地方自治体においても重要かつ密接な関わりがあります。この意見書を採択することは、教育現場で行う歴史教育にも大きく関わることであり、学校、庁内、各施設をはじめ、至るところで歴史を風化させることなく、平和を希求し、女性に対する性暴力を根絶させること、在住の外国人に対する人権、人の尊厳についてしっかりと取り組む自治体であることを再認識し、宣言することになるからです。これは、日本国籍を有する市民にとっても重要な取り組みであり、また外国人市民との信頼関係を築く上でもプラスの要因となります。
 なお、私は、国連ILOからの勧告及びオランダ、カナダ、EU議会やアメリカ下院決議があったからではなく、日本人の主体的立場で誠実に我が国の過去の戦争責任と向き合い、ジェンダーの視点からも、日本軍慰安婦問題の立法解決の促進を求めるこの意見書に賛成するものです。
 私は、すさまじい被害を受けた元日本軍慰安婦の方々からお話を聞く機会がありました。余りにもむごい性暴力と、被害者であるにもかかわらず、戦後も差別的で理不尽な中傷に耐えねばならなかった長く孤独な人生を思うとき、ハルモニたちにかける言葉が見つかりませんでした。
 今回、4会派からの議員提出議案として、この意見書を提案することができたことは、内容的には最大公約数となりましたが、大いに評価したいと思います。この箕面での取り組みが、北摂をはじめ各地へ広がることを願ってやみません。残念ながら、今回提案会派とはならなかった議員の皆さまにもご賛同いただきますよう呼びかけまして、簡単ですが、私の討論といたします。

○議長(牧野芳治君) ほかに討論はありませんか。
  (“なし”の声あり)
○議長(牧野芳治君) ないようでございますので、これにて討論を終了いたします。
 よってこれより、議員提出議案第13号「「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書」を採決いたします。
 本案を原案どおり採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
  (賛成者起立)

○議長(牧野芳治君) 起立者多数であります。
 よって、本案は原案どおり採択されました。

大阪府大阪市会に質問状を出しました

※大阪市会からH23年2月9日付けで回答が届きました。 こちらをご覧ください。

議事録は議会のサイトに検索システムがあればキーワードで読みたい部分が抽出されます。大阪では平成22年第3回定例会(平成22年9・10月-10月13日)で慰安婦意見書が可決された際、異議ありの声もあったようですが、多数賛成で討論は特になくあっさり決まったようです

○議長(荒木幹男君) 日程第25、議員提出議案第45号、日本軍「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書案を議題といたします。
◆57番(松崎孔君)民主
 動議を提出いたします。ただいま議題となりました議員提出議案第45号については、委員会付託を省略、原案どおり可決されることを望みます。
○議長(荒木幹男君) 57番議員の動議に御異議ありませんか。
     (「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり)
○議長(荒木幹男君) 異議がありますから起立により採決いたします。57番議員の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
     (賛成者起立)
○議長(荒木幹男君) 多数であります。よって議員提出議案第45号は委員会付託を省略、原案どおり可決されました。

以上議事録より

 

意見書

日本軍「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書

 平成22年10月13日可決

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、
総務大臣、外務大臣、厚生労働大臣 各あて

  かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、65年が経過する。しかし、いまだに戦争被害の傷は癒されていない。日本軍「慰安婦」問題は、その象徴的な被害であり、人間としての名誉と尊厳を著しく傷つけられた被害者の思いは筆舌に尽くしがたいものがある。

 日本政府としては、1993年8月に、当時の河野洋平内閣官房長官がお詫びと反省の気持ちを述べ、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかについては、今後とも真剣に検討すべきものという談話を発表しているが、何ら進展していない。

 よって国におかれては、河野談話に矛盾しないよう慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復とともに、今日なお存在する女性への暴力・人権侵害の解決に向け、誠実に対応されるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

大阪市会

 

質問状

大阪市議会 様

質問状

『日本軍「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書』について

平成23年1月31日

 

平成22年10月13日に大阪市会にて可決された『日本軍「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書』について大阪市会及び意見書案を提出された議員先生方にお尋ねいたします。

この意見書は、苦しい歴史を生きたアジア各国の女性に配慮した内容であり、大阪市が平和と人権と女性を大切にする自治体であることが理解できます。この意見書が周知されることを望みますが、文中疑問に思う箇所がございますので、質問させていただきます。

 

質問

1.『日本軍「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書』は(別添1)の通りで間違いございませんでしょうか。間違いなければ次にお尋ねします。

 

2.意見書では、『被害者の尊厳回復』を『強く要望』していますが、国が被害者の尊厳を回復する というのは具体的にどのようなことか説明願います。

 

3.地方自治法第99条には、『普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。』とありますが、この意見書が大阪市の如何なる公益に関する事件であるか説明願います。

 

以上3点につき、ご多忙とは存じますが、大阪市会、及び意見書案を提出された議員先生方に平成23年3月1日までに郵送にて回答いただきたく、お願い申し上げます。

回答が出来ない場合、または遅れる場合も同期日までに郵送にてご連絡いただけますよう重ねてお願い申し上げます。

以上

大阪府吹田市議会に質問状を出しました

H23年2月28日付で回答が届きました 

—————————————————————————-

神谷宗幣 議員(吹田新選会)が大変立派な反対討論をされていました。が、賛成者多数で原案どおり意見書が可決されてしまいした。

神谷議員のブログから http://www.kamiyasohei.jp/morning.php?blogid=2&archive=2010-03

②吹田市議会にて、いわゆる「慰安婦」救済の意見書可決 またまた、情けない意見書が国に上がってしまいました。 河野談話やアメリカ下院の決議書などを根拠に、慰安婦問題の早期解決を国に求める意見書が可決され、吹田市議会の名前で国に上がってしまいました。 提案したのは共産党、賛成に回ったのは民主党、市民自治、市民ネットの合計20名。

 反対、退席したのは、新選会、自民党、公明党、有沢議員、生野議員の合計15名。

反対意見は、吹田新選会から出しておきました。

慰安婦 反対意見.pdf – 163.0 KB

 

 

 

意見書

「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書

 

 かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、64年が経過する。しかし、いまだに戦争被害の傷は癒されていない。

 2007年(平成19年)7月にはアメリカ下院議会が、日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議を採択している。そして、アメリカの議会決議に続いて、オランダ、カナダ、EU議会などでも同種の決議が採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されている。

 日本政府としては、1993年(平成5年)8月に、当時の河野洋平内閣官房長官がお詫びと反省の気持ちを述べ、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかについては、今後とも真剣に検討すべきものという談話を発表しているが、何ら進展していない。

 よって、本市議会は政府に対し、河野談話に矛盾しないよう慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め、早期に解決するよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 平成22年3月26日

                         吹田市議会

 

質問状

吹田市議会 様

質問状

『「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書』について

平成23年1月31日

 

平成22年3月26日に吹田市議会にて可決された『「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書』について吹田市議会及び意見書案を提出された議員先生方にお尋ねいたします。

この意見書は、苦しい歴史を生きたアジア各国の女性に配慮した内容であり、吹田市が平和と人権と女性を大切にする自治体であることが理解できます。この意見書が周知されることを望みますが、文中疑問に思う箇所がございますので、質問させていただきます。

 

質問

1.『「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書』は(別添1)の通りで間違いございませんでしょうか。間違いなければ次にお尋ねします。

 

2.意見書では、『2007年(平成19年)7月にはアメリカ下院議会が、日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議を採択している。』として、米国決議を肯定的に取り上げています。

この米国決議文には『日本政府による強制的な軍隊売春制度「慰安婦」は、「集団強姦」や「強制流産」「恥辱」「身体切断」「死亡」「自殺を招いた性的暴行」など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつである。』と書かれています。(別添2)

吹田市議会は、この記述を含め、米国決議内容を事実として信用した上で意見書に加えたのでしょうか。説明願います。

 

3.地方自治法第99条には、『普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。』とありますが、この意見書が吹田市の如何なる公益に関する事件であるか説明願います。

 

以上3点につき、ご多忙とは存じますが、吹田市議会、及び意見書案を提出された議員先生方に平成23年3月1日までに郵送にて回答いただきたく、お願い申し上げます。

回答が出来ない場合、または遅れる場合も同期日までに郵送にてご連絡いただけますよう重ねてお願い申し上げます。

以上

 

別添2

別添2)

 アメリカ合衆国下院121号決議

2007年7月30日

  1930年代から第2次世界大戦までの間、日本政府は、「慰安婦」と呼ばれる若い女性たちを日本軍に性的サービスを提供する目的で動員させた。日本政府による強制的な軍隊売春制度「慰安婦」は、「集団強姦」や「強制流産」「恥辱」「身体切断」「死亡」「自殺を招いた性的暴行」など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつである。

 

 日本の学校で使われている新しい教科書は、こうした慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の 日本の戦争犯罪を矮小化している。また、最近日本には、慰安婦の苦痛に対する政府の真摯(しんし)な謝罪を含む河野洋平官房長官による1993年の「慰安婦関連談話」を弱めようとしたり、撤回させようとしている者がいる。

 

 日本政府は1921年に「婦人および児童の売買禁止に関する際条約」に署名し、2000年には武力紛争が女性に及ぼす影響についての国連安保理決議「女性、平和及び安全保障に関する決議第1325号」も支持した。下院は、人間の安全と人権・民主的価値・法の統治および安保理決議第1325号に対する支持など、日本の努力を称える。米日同盟はアジア太平洋地域での米国の安保利益のいしずえで、地域安定と繁栄の根本だ。冷戦後、戦略的な環境は変化したが、米日同盟はアジア太平洋地域で政治経済的な自由、人権と民主的制度に対する支持、両国国民と国際社会の繁栄確保をはじめ共同の核心利益と価値に根ざす。下院は日本の官僚や民間人らの努力により1995年、民間レベルの「女性のためのアジア平和国民基金」が設立されたことを称える。同基金は570万ドル(約7億円)を集め、日本人たちの贖罪の意識を慰安婦に伝えた後、2007年3月31日に活動を終了した。

 

 以下は米下院の共通した意見である。

 

1、日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまでアジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、日本軍が強制的に若い女性を「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。

 

2、日本の首相が公式声明によって謝罪するなら、これまで発表した声明の真実性と水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。

 

3、日本政府は「日本軍が慰安婦を性の奴隷にし、人身売買した事実は絶対にない」といういかなる主張に対しても、明確かつ公式に反論しなければならない。

 

4、日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育をしなければならない。

 

下記サイトに原文があります

http://en.wikisource.org/wiki/United_States_House_of_Representatives_House_Resolution_121

大阪府堺市議会に質問状を出しました

※堺市議会からH23年2月10日付けで回答が届きました。 こちらをご覧ください。

地方議会によっては、議事録が検索サイトで簡単に調べられます。堺市議会では慰安婦意見書についての反対討論が活発でした。特に水ノ上成彰 議員が頑張っていました。しかし、賛成多数で可決されてしまいました。

水ノ上成彰 議員ブログ 「堺市議会の汚点!!平成22年3月29日堺市議会において『日本軍慰安婦についての意見書』が可決される!!」
http://www.mizunoue.com/iannfu%20monndai.htm

 議会での慰安婦論争 1 – 大阪堺市議会議事録より  
議会での慰安婦論争 2 – 大阪堺市議会議事録より

 

意見書

「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書

 

かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、64年が経過する。しかし、いまだに戦争被害の傷は癒されていない。

 平成19年(2007年)7月にはアメリカ下院議会が、「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議」を採択している。

 そして、アメリカの議会決議に続いて、オランダ、カナダ、EU議会などでも同種の決議が採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されている。

 わが国においては、平成7年(1995年)7月19日、日本政府のイニシアチブにより、「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)が設立され、国民から寄せられた募金総額5億6500万円余は、フィリピン、韓国、台湾における285名の元「慰安婦」に「償い金」として届けられたという経緯があった。

 しかし、平成21年(2009年)7月には国連女性差別撤廃委員会第44会期の最終見解においても、第37項では「慰安婦」の状況に対処するために、日本政府がいくつかの措置を講じたことに留意するが、第二次世界大戦中に被害者となった「慰安婦」の状況の恒久的な解決策が見出されていないことを遺憾に思い、学校の教科書からこの問題への言及が削除されていることに懸念を表明するとしており、さらに第38項においては、日本政府が「慰安婦」の状況の恒久的な解決のための方策を見出す努力を早急に行うことへの勧告が改めて表明された。

 よって、国及び政府においては、「慰安婦」問題の真相究明、被害者の尊厳回復とともに、女性に対する暴力などの今日なお存在する女性の人権侵害の解決に向け、誠実な対応をされるよう要望する。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 平成22年3月29日

                                 堺 市 議 会

質問状

堺市議会 様

質問状

『「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書』について

平成23年1月31日

平成22年3月29日に堺市議会にて可決された『「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書』(別添1)について堺市議会及び意見書案を提出された議員先生方にお尋ねいたします。

この意見書は、苦しい歴史を生きたアジア各国の女性に配慮した内容であり、堺市が平和と人権と女性を大切にする自治体であることが理解できます。この意見書が周知されることを望みますが、文中疑問に思う箇所がございますので、質問させていただきます。

 

質問

1.『「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書』は(別添1)の通りで間違いございませんでしょうか。間違いなければ次にお尋ねします。

 

2.意見書では、『平成19年(2007年)7月にはアメリカ下院議会が、「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議」を採択している。』として、米国決議を肯定的に取り上げています。

この米国決議文には『日本政府による強制的な軍隊売春制度「慰安婦」は、「集団強姦」や「強制流産」「恥辱」「身体切断」「死亡」「自殺を招いた性的暴行」など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつである。』と書かれています。(別添2)

堺市議会は、この記述を含め、米国決議内容を事実として信用した上で意見書に加えたのでしょうか。説明願います。

 

3.地方自治法第99条には、『普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。』とありますが、この意見書が堺市の如何なる公益に関する事件であるか説明願います。

 

以上3点につき、ご多忙とは存じますが、堺市議会、及び意見書案を提出された議員先生方に平成23年3月1日までに郵送にて回答いただきたく、お願い申し上げます。

回答が出来ない場合、または遅れる場合も同期日までに郵送にてご連絡いただけますよう重ねてお願い申し上げます。

以上

別添2

別添2)

 アメリカ合衆国下院121号決議

2007年7月30日

  1930年代から第2次世界大戦までの間、日本政府は、「慰安婦」と呼ばれる若い女性たちを日本軍に性的サービスを提供する目的で動員させた。日本政府による強制的な軍隊売春制度「慰安婦」は、「集団強姦」や「強制流産」「恥辱」「身体切断」「死亡」「自殺を招いた性的暴行」など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつである。

 

 日本の学校で使われている新しい教科書は、こうした慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の 日本の戦争犯罪を矮小化している。また、最近日本には、慰安婦の苦痛に対する政府の真摯(しんし)な謝罪を含む河野洋平官房長官による1993年の「慰安婦関連談話」を弱めようとしたり、撤回させようとしている者がいる。

 

 日本政府は1921年に「婦人および児童の売買禁止に関する際条約」に署名し、2000年には武力紛争が女性に及ぼす影響についての国連安保理決議「女性、平和及び安全保障に関する決議第1325号」も支持した。下院は、人間の安全と人権・民主的価値・法の統治および安保理決議第1325号に対する支持など、日本の努力を称える。米日同盟はアジア太平洋地域での米国の安保利益のいしずえで、地域安定と繁栄の根本だ。冷戦後、戦略的な環境は変化したが、米日同盟はアジア太平洋地域で政治経済的な自由、人権と民主的制度に対する支持、両国国民と国際社会の繁栄確保をはじめ共同の核心利益と価値に根ざす。下院は日本の官僚や民間人らの努力により1995年、民間レベルの「女性のためのアジア平和国民基金」が設立されたことを称える。同基金は570万ドル(約7億円)を集め、日本人たちの贖罪の意識を慰安婦に伝えた後、2007年3月31日に活動を終了した。

 

 以下は米下院の共通した意見である。

 

1、日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまでアジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、日本軍が強制的に若い女性を「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。

 

2、日本の首相が公式声明によって謝罪するなら、これまで発表した声明の真実性と水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。

 

3、日本政府は「日本軍が慰安婦を性の奴隷にし、人身売買した事実は絶対にない」といういかなる主張に対しても、明確かつ公式に反論しなければならない。

 

4、日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育をしなければならない。

 

下記サイトに原文があります

http://en.wikisource.org/wiki/United_States_House_of_Representatives_House_Resolution_121

議会での慰安婦論争 2- 大阪堺市議会議事録より

地方議会によっては、議事録が検索サイトで簡単に調べられます。

堺市議会会議録検索システム http://www12.gijiroku.com/sakai/ から抜粋した慰安婦についての討論部分をご紹介します。

平成22年第 2回定例会-03月29日-05号

◆46番(小郷一君) (登壇)去る25日に開催されました本委員会の審査結果について報告いたします。
 本委員会に付託されました案件は、平成21年議員提出議案第26号日本軍「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書でありまして、本意見書に対して、委員から修正案が提出され、お手元に配布しております審査結果報告書のとおり修正して可決されました。
 なお、本意見書及び修正案に対して、まず、自由民主党・市民クラブ及び自由民主党堺市議団を代表して、委員から、今回、市民の方々から堺市議会に対し、慰安婦問題について意見書提出の要望があった。これまで日本政府は、慰安婦問題に関して、平成3年12月以降、全力を挙げて調査を行い、平成4年7月、平成5年8月の2度にわたり調査結果を発表、資料を公開し、内閣官房において閲覧に供してきた。また、平成5年の調査結果発表の際に表明した河野洋平官房長官談話において、この問題は多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとし、心からおわびと反省の気持ちを表明し、以後、日本政府は機会あるごとに元慰安婦の方々に対するおわびと反省の気持ちを表明をしてきた。
 慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であることから、日本政府及び国民のおわびと反省の気持ちをいかなる形であらわすかについて国民的な議論を尽くした結果、平成7年7月19日、元慰安婦の方々に対する償いの事業などを行うことを目的に、財団法人女性のためのアジア平和国民基金が設立された。日本政府はこの問題に対する道義的責任を果たすという観点から、同年8月、アジア女性基金の事業に対して必要な協力を行うとの閣議了承を行い、アジア女性基金が所期の目的を達成できるように、その運営経費の全額を負担し、募金活動に全面的に協力するとともに、その事業に必要な資金を拠出する等、アジア女性基金事業の推進に最大限の協力を行ってきた。
 また、日本政府は、女性に対する暴力などの今日なお存在する女性問題を解決すべく積極的に取り組んでいくことも、将来に向けた日本の責任であると考え、アジア女性基金が行ってきた女性問題の解決に向けた諸活動に、政府の資金を拠出する等の協力も行ってきた。
 国際的には、我が国の慰安婦問題に対する以上のような取り組みは、平成9年8月、国連人権委員会の下部機関である差別防止・少数者保護小委員会において、本問題の解決に向けてこれまでなされた前向きの措置であると評価する趣旨の決議もなされている。さらに、平成10年のクマラスワミ報告書にも、我が国の慰安婦問題に対する取り組みを歓迎すべき努力と評価をしており、本問題に関する日本のこれまでの取り組みに対し、国際社会が一定の理解を示していると考えられる。今日的な女性問題に関する国際的な相互理解の増進という観点からも、大きな意義があると考える。
 しかしながら、先の大戦において不幸に直面した女性はこれだけではない。何よりも多くの日本人女性が、中国大陸、太平洋諸島において、女性として最悪の辱めを受けたことは紛れもない事実である。中でも、沖縄戦などにおける米兵による日本人女性に対する辱めは、人権上、絶対に許されるものではなく、いまだ陳謝の言葉すらない。また、我が国は北朝鮮による拉致問題という人間の尊厳、人権及び基本的自由の重大の明白な侵害である重要課題にも直面している。
 もとより、歴史認識は国や人種・宗教が変われば、その評価は変わるということが世界の常識ではあるが、日本人として、同じ日本人が受けた許せぬ問題に毅然として対応できていないにもかかわらず、他国からの圧力により、日本政府の解決すべき課題を誤った方向に進めてしまう決議要請には賛同できないとの意見表明がありました。
 続いて水ノ上委員から、もともとこの慰安婦問題は吉田清治氏が私の戦争犯罪・朝鮮人強制連行という著書を出版し、その中で著者自身が韓国に行き、女性を強制連行し、慰安婦にしたという本人の証言から始まっている。それをもとに韓国では、映画を制作し、それが全世界に発信され、そしてそのイメージが非常に強くなった。しかし、著者の吉田氏は、これは創作であると認め、慰安婦問題はうそから始まった問題ということができる。その後、慰安婦と言われる方々から証言が出されたが、その証言も内容がころころと変わる。どれが正しい証言なのかわからず、また、目撃者も私の知る限りいない。すなわち、確定的な事実がなく、この問題が進められている。
 さらに、河野元官房長官の談話は、河野官房長官の歴史観と韓国政府との交渉及び16人の元慰安婦と言われる方の証言をもとに発表され、その中で官憲が直接加担して進めたこともあるとされている。
 そして、この吉田証言とそれに付随する映像または証言の中身、また河野談話が相まって、現在の慰安婦問題が進められている。日本軍の慰安婦、日本軍の相手をした慰安所だけが悪者にされてきたわけである。
 そういう歴史的事実からかんがみると、今回提出された慰安婦問題の意見書については、そもそも慰安婦問題ということから賛成できず、日本共産党堺市議会議員団が出した意見書については、河野談話の矛盾した内容にかんがみても、河野談話自体が怪しいのに、それに追従する意見書は言語道断と思っている。また、修正案が提出されているが、先ほど質疑の場で議論したように、慰安婦問題の定義がはっきりしていない。何を解明するのか、そのことも明言しない意見書を可決しても、その効力には疑問がある。
 したがって、求めるべきは吉田証言が本市の議決にどれだけ影響があるのか、また、河野談話の影響があるのは明らかだが、河野談話の真相を究明することがこの慰安婦問題の核心であり、この真相究明の後に、日本軍の慰安婦が是か非がということを判断するべきであり、この意見書及び修正案については反対するとの意見表明がありました。
 続いて、日本共産党堺市議会議員団委員から、この意見書はさきの12月議会で動議が出され、できれば全会一致で解決したい、そのための協議をしたいということで継続審議となった。私どもはその動議を受け入れ、この間、協議を進めてきた。
 今回提出された修正案であるが、提案委員から、我々の会派が提出した意見書と違う部分もあるとの発言があったが、まず1つは、慰安婦問題の真相究明、被害者の尊厳回復とともに、女性に対する暴力などの今日なお存在する女性の人権侵害の解決に向け、誠実に対応されるよう要望するという内容になっている。私たちは、被害者の声に耳を傾け真相を究明すること、これはそのとおりだと考えるし、この点は一致をしている。また、慰安婦問題の責任を認め、公式謝罪と補償、これは議論のあるところかもしれないが、被害者の尊厳回復には当然含まれるという解釈をしている。さらに、過ちを繰り返さないため、学校教育で史実を教えるという項目については、この修正案の文案にもあるとおり、平成21年7月、国連女性差別撤廃委員会第44会期の最終見解の条項38項の慰安婦の状況の恒常的な解決のための方策を見出す努力を早急に行うという点で言えば、この女性差別撤廃委員会の最終見解において、締約国が慰安婦の状況の恒常的な解決のための方策を見出す努力を早急に行うことへの勧告を改めて表明し、さらにこの取り組みには、被害者への補償、加害者の訴追及びこれらの犯罪に関する一般国民に対する教育も含まれるという点を、この修正案の中で紹介をしていることは一定の評価をする。
 そして、総じて考えた場合に、継続審議となった経過と意見の食い違いはあるとしても、最大公約数でこの問題を一歩でも進めて、堺市議会として意見を表明する、国に求めていくことは非常に大事である。そういうことから、この修正案に同意するとの意見表明がありました。
 以上で本委員会の報告を終わります。

○議長(星原卓次君) 以上で委員長報告は終わりました。
 ただいまの委員長報告に対する質疑に入ります。質疑はありませんか。
   (「なし」と呼ぶ者あり)
 質疑なしと認めます。
 これより討論に入ります。
 通告がありますので、順次発言を許します。16番西林克敏議員。

◆16番(西林克敏君) (登壇)先ほど、議会運営委員長から委員会報告の中で、我が会派の意見報告がありましたが、この問題の方向性を誤らせないためにも、再度、自由民主党・市民クラブを代表いたしまして、慰安婦問題についての討論を行わさせていただきたいと思います。
 これまでの日本政府は、慰安婦問題に対して、平成3年12月以降、全力を挙げ調査を行い、平成4年7月、平成5年8月の2度にわたり調査結果を発表、資料を公表し、内閣官房において閲覧に供してまいりました。また、平成5年の調査結果発表の際に表明した河野洋平官房長官談話において、この問題は多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとして、心からのおわびと反省の気持ちを表明し、以後、日本政府は機会あるごとに元慰安婦の方々に対するおわびと反省の気持ちを表明いたしてまいりました。
 この官房長官談話に端を発し、今日の慰安婦問題に続くと考えられるのですが、当時の官房副長官であった石原信雄氏が後に新聞のインタビューに答え、河野談話は政府の調査によって導き出されたものではなく、談話発表直前に韓国で行った元慰安婦16人からの聞き取り調査であったと語り、韓国側の強い要請で結論を導き出したことがうかがい知れるところであります。
 しかしながら、現実的には、日本政府及び国民のおわびと反省の気持ちをいかなる形であらわすかにつき国民的な議論を尽くした結果、平成7年7月19日、元慰安婦の方々に対する償いの事業などを行うことを目的に、財団法人女性のためのアジア平和国民基金が設立されました。日本政府は、この問題に対する道義的な責任を果たすという観点から、同年8月、アジア女性基金の事業に対して必要な協力を行うとの閣議了解を行い、アジア女性基金が所期の目的を達成できるように、その運営経費の全額を負担し、募金活動に全面的に協力をするとともに、その事業に必要な資金を拠出するなど、アジア女性基金事業の推進に最大限の協力を行ってまいりました。また、日本政府は、女性に対する暴力などの今日なお存在する女性問題を解決すべく、積極的に取り組んでいくことも将来に向けた日本の責任であると考えて、アジア女性基金が行ってまいりました女性問題の解決に向けた諸活動に政府の資金を拠出するなどの協力も行ってまいりました。
 国際的には、我が国の慰安婦問題に対する以上のような取り組みは、平成9年8月、国連人権委員会の下部機関である差別防止・少数者保護小委員会において、本問題の解決に向けてこれまでになされた前向きの措置であると評価する旨の決議がなされております。さらに平成10年、クマラスワミ報告書にも、我が国の慰安婦問題に対する取り組みを歓迎すべき努力と評価しており、本問題に関する日本のこれまでの取り組みに対して、国際社会が一定の理解を示しているものと考えられます。今日的な女性問題に関する国際的な相互理解の増進という観点からも、大きな意義があり、慰安婦問題については一定の解決を見たと判断できるものであります。
 加えて、さきの大戦において不幸に直面した女性はこれだけではありません。何よりも多くの日本人女性が中国大陸、太平洋諸島において、女性としての最悪の辱めを受けたことは紛れもない事実としてあります。中でも、沖縄戦において、米兵による日本人女性に対する辱めは戦前だけではなく戦後も行われ、人権上、絶対に許されるものではなく、いまだに陳謝の言葉すらありません。また、現在、我が国は北朝鮮による拉致問題という日本の尊厳、人権及び基本的自由かつ重大な人権侵害である問題にも直面いたしております。
 もとより、歴史認識は、国や人種、宗教が変わればその評価は変わるということが世界の常識でもあります。日本人として、同じ日本人が受けた許せ得ぬ問題に毅然として対応できていないにもかかわらず、歴史的に十分な確証もなく、他国からの圧力により今日の繁栄を築いていただきました英霊をことさらおとしめるような、日本人として進むべき道を誤った方向に進めてしまう意見書には賛同できないことを申し上げまして、討論とさせていただきます。

○議長(星原卓次君) 2番土師純一議員。

◆2番(土師純一君)会派に属さない議員(みんなの党・堺)
 (登壇)議員提出議案第26号「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書について、自由民主党堺市議団を代表いたしまして意見を申し上げます。
 慰安婦問題に関しましては、これまで議会運営委員会において継続して議論してまいりました。しかし、まだまだ議論し尽くしているとは言えず、なおかつ国民的議論、合意形成もなされているものではありません。もちろん、慰安婦として心に傷を負った方々に対し、深く同情するものに変わりありません。あくまでも、政府見解は、慰安婦の募集について軍当局の要請を受けた経営者の依頼により、あっせん業者らがこれに当たることが多かったが、その場合も戦争の拡大とともに、その人員の確保の必要性が高まり、そのような状況のもとで、業者らが、あるいは甘言を弄し、あるいは畏怖させるなどの形で、本人たちの意向に反して集めるケースが数多く、さらに官憲等が直接これに加担するなどのケースも見られたとし、国家の関与は明示されていません。
 また、一部政府の補助金で設立された財団法人女性のためのアジア平和国民基金、アジア女性基金は、国家の責任と国民一人一人の責任の区別をあいまいにしたまま国民から募金を募り、元慰安婦の方々に補償を呼びかけています。これらは一方では批判の対象になっており、国論を二分するような激しい論争が起きています。
 いずれにいたしましても、これらの状況を顧みると、元慰安婦の方々にとっても悲劇を生む結果になりかねないものだと思います。なお、政府は、女性に対する暴力などの今日なお存在する女性問題を解決すべく、積極的に取り組んでいます。
 したがいまして、慰安婦問題に関しましては非常に慎重に扱わなければならないものであり、現政権においてめざすべき国家像が示されていない中、本意見書が提出されることはまことに遺憾であり、拙速過ぎるもので、反対せざるを得ません。今後、なお引き続きの協議を行っていくべきであることを申し添え、意見表明とかえさせていただきます。

○議長(星原卓次君) 3番水ノ上成彰議員。

◆3番(水ノ上成彰君) (登壇)プロジェクト堺の水ノ上成彰でございます。
 ただいま議題となりました議員提出議案第26号「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書の修正案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 この意見書は、大きく分けて前段と後段の2つの部分で構成されています。前段は、冒頭2行のさきの戦争に対する歴史認識の部分でございます。また後段は、慰安婦に対する認識と政府に対する要望の部分です。前段と後段に分けて考察し、討論をいたします。
 まず、前段部分のかつての戦争に対する認識ですが、意見書ではかつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、64年が経過する。しかし、いまだに戦争被害の傷は癒されていないと、日本が一方的な加害者としてアジア各国を侵略し、植民地戦争を遂行したとする、いわゆる東京裁判史観を前提にしています。たった2行といえど、非常に重要な部分であります。
 まず、この意見書を討論するに当たり、この歴史認識に対して我々の立場を明らかにしなければなりません。あの戦争は侵略戦争であったのかどうか。東京裁判は、一言で言えば戦勝国の日本に対する一方的断罪であり、国際法に違反する無効裁判であります。欧米列強が、自分たち白人社会のアジア植民地支配を帳消しにし、有色民族の国として唯一白人支配に刃向かってきた日本の解体を目的として偽造した復讐劇でございました。
 しかし、裁いた英米を初めとする連合国側の関係者や欧米諸国の識者でさえ、後に東京裁判の違法性を告発しています。ここで詳細を述べる余裕はありませんが、東京裁判の有名なパール判事のみならず、レーリング判事、ウエッブ裁判長、キーナン検事も違法裁判であることを認めました。何よりも、GHQの最高司令官のマッカーサーが東京裁判は誤りであったと証言したことが決定的でした。このように、日本を裁いた側の連合国では、東京裁判が誤りであったことは周知となっております。不思議にも、裁かれた側の日本人がそのことを認めようとせず、提案されている意見書の冒頭のように自国を責め続けています。
 さて、それでは、アジア各国は大東亜戦争をどのようにとらえているのか。意見書のように日本を一方的な加害者として断罪しているのか。第二次世界大戦が始まる前まで、世界に有色民族の国で独立を保っていたのは実質的に日本だけでした。アジア、アフリカ、南アメリカなどは、ほとんどの有色民族は欧米列強の植民地となり、差別をされ、筆舌に尽くしがたい搾取、暴力、屈辱を長く受け続けていました。
 意見書では、かつての戦争において日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えたと言っておりますが、日本軍が戦ったのは、アジア各国を植民地とする米・英・仏・蘭の軍隊であって、アジアの住民と戦ったのではありません。唯一戦ったと言えるアジア人は中国国民党軍ですが、現在、歴史の研究が進む中、日中戦争も中国国民軍側から仕掛けられたことが明らかになりつつあります。
 先の大戦がアジアの多くの人々に勇気と希望を与え、日本に対する賞賛の声は数え切れないほどあります。幾つかご紹介いたします。タイ国元首相ククリックド・プラモード氏は、日本のおかげでアジアの諸国はすべて独立した。日本というお母さんは難産して母体を損なったが、生まれた子どもはすくすくと育っている。今日、東南アジアの諸国民が米英と対等に話ができるのは、一体だれのおかげであるのか。それは身を殺して仁を成した日本というお母さんがあったためである。12月8日は我々にこの重大な思想を示してくれたお母さんが、一身を賭して重大な決意をされた日である。我々はこの日を忘れてはならない。
 また、インドネシア元情報宣伝相のブン・トモ氏は、我々アジア・アフリカの有色民族は、ヨーロッパ人に対して何度となく独立戦争を試みたが、全部失敗した。インドネシアの場合は350年間も失敗が続いた。それなのに、日本軍が米・英・仏・蘭を我々の目前で徹底的に打ちのめしてくれた。我々は白人の弱体と醜態ぶりを見て、アジア人全部が自信を持ち、独立が近いと知った。一度持った自信は決して崩壊しない。日本が敗北したとき、これからの独立は自力で遂行しなければならない、独力でやれば50年はかかると思っていたが、独立は意外にも早く勝ち取ることができた。そもそも大東亜戦争は我々の戦争であり、我々がやらなければならなかった。そして、実は我々がやりたかった。それなのに、日本だけに担当させ、少ししかお手伝いできずにまことに申しわけなかった。
 そして、最後に、インドの極東国際軍事裁判判事パール氏は、要するに、欧米諸国は日本が侵略戦争を行ったということを歴史にとどめることによって、みずからのアジア侵略の正当性を保持すると同時に、日本の17年間の一切を罪悪と烙印することが目的であったに違いない。私は1928年から1945年までの17年間の歴史を2年7カ月かかって調べた。その私の歴史書を読めば、欧米こそ憎むべきアジア侵略の張本人であることがわかるはずだ。それなのに、あなた方はみずからの子どもたちに、日本は犯罪を犯したのだ、日本は侵略の暴挙をあえてしたのだと教えている。満州事変から大東亜戦争に至る真実の歴史を、どうか私の判決文を通して十分研究していただきたい。日本の子どもたちがゆがめられた罪悪感を背負って、卑屈、退廃に流されていくのは、私は平然と見過ごすわけにはいかない。誤られた彼らの宣伝の欺瞞を払拭せよ。誤られた歴史は書きかえなければならない。これは昭和27年11月5日広島高等裁判所での講演で話されたことです。
 このような証言は数多くあります。日本はアジア各国を侵略しようとして戦争を始めたのではなく、主に米国に追い詰められたあげく、みずからの独立を守るため、またアジアの解放のために立ち上がったのです。このようなことに耳を傾ける日本人は残念ながら多くありません。戦後の日本人がGHQによる教育政策により、徹底的に贖罪意識をすり込まれたからです。ですから、このような意見書が提出されたんだと思います。
 もちろん、反対の立場の意見も承知しておりますが、少なくとも日本だけが一方的な加害者というわけではありません。本日提案されている修正意見書は、3月25日の議会運営委員会において、日本共産党が提出した意見書に対し、山口典子委員より修正案という形で提出され、その修正案を公明党会派、民主党会派、共産党会派の議会運営委員が賛成したことにより可決されたといういきさつがあります。そもそも、日本共産党が提出していた意見書には、このような大東亜戦争の歴史認識など書かれておりませんでした。修正案は、冒頭にこのような歴史観を挿入することにより、さらに我々にとって悪質になったと思っております。
 折しも、一昨日、私は大阪市住之江区にある大阪護國神社に参拝をしてまいりました。大阪護國神社には、大阪府出身で明治から大東亜戦争まで祖国のために戦い散華された10万5,600柱余りの英霊が祭られています。そのうち堺市出身の英霊は3,266柱、私はこの方々すべては悠久の大義、すなわち日本の独立を守り、アジアを欧米諸国から解放するために命を投げ出された方であると信じております。彼らが命を捨てても守ったものは、祖国であり、家族であり、そして郷土でした。
 しかるに、どうして我々の祖先を踏みにじるような意見書がこの堺市で提案され、可決されようとしているのか。たった2行とはいえ、重大な問題だととらえております。この堺市議会には、私が今まで尊敬をしてまいりました保守系の先輩議員が多数いらっしゃいます。この方々はこの意見書にどうされるのか。私はしっかり注視していきたいと思います。みずからの議員としての信念に間違いがないか、問うていただきたい。
 以上から、まず、この意見書冒頭の東京裁判史観に基づく歴史認識は非常に偏ったものであり、到底賛同できるものではないということを申し上げます。
 次に、後段の慰安婦問題についてですが、まず、2007年7月にアメリカ下院議会で採択された旧日本軍が女性を強制的に性奴隷にしたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議を引き合いに出されていますが、この意見書を提案された方、または賛成される方は、まずこの決議の内容をご存じなんでしょうか。
 原文から、冒頭の部分を紹介いたしますと、1930年代から第二次世界大戦までの間、日本政府により強制された軍事売春である慰安婦制度は、その残酷さと規模の大きさにおいて前例のないものと見られるが、それは集団レイプ、強制堕胎、性的屈辱、性暴力を含み、結果として、身体障害、死亡、最終的に自殺にまで追い込んだ20世紀最大の人身売買事件の一つであったとしております。これを聞いて、どう思われるでしょうか。全くの事実無根のでたらめであるということは疑いようがありません。
 そもそも、アメリカにこのようなことを言われたくはない。アメリカは、大東亜戦争において日本に原爆2発を落とし、30万人の市民を殺りくし、東京大空襲でも一夜にして10万人の市民を焼き殺しました。その90%以上が女、子どもです。これをホロコーストといわずして何がホロコーストでしょうか。それに対して、今まで一言の謝罪もありません。そのほか、日本人捕虜の虐待は数知れず、戦後日本に進駐してからは、アメリカは東京都に対し、アメリカの兵隊のための慰安所をつくれと命令を出しました。アメリカは、非占領国に女を出せと命じた国であり、日本の女性こそアメリカ軍の性奴隷とされたのでありました。こんなアメリカにでたらめな決議書を決議され、なおかつそれを押しいただいて、このような意見書を提出しようとしている。我々はこのことに我慢がなりません。
 なぜ今さらこのような慰安婦問題が取りざたされるのか。日本では、官憲による強制はなかったと完全に論破されています。このアメリカ発慰安婦問題は、中国の対日政策による問題です。この中心となっているのがマイク・ホンダというアメリカの下院議員。中国系の反日団体、世界抗日戦争史実維護連合会などから多額の政治献金を受けているものであり、実質的にホンダ議員は、中国のための活動を米国議会で行う工作員とみなしてよいと言われている人物であります。わざわざそのような者の片棒を担ぐ必要があるのでしょうか。慰安婦問題のうち、官憲の強制性については捏造であるということが国内では証明され尽くしていますが、ここで簡単に慰安婦問題の経過を私なりにまとめて申し上げます。
 1983年に吉田清治という元陸軍軍人が、私の戦争犯罪・朝鮮人強制連行という本を出版し、その中で軍の命令により済州島で女性を強制連行し慰安婦にしたという体験を発表したことによって、大きな問題となりました。現在では、吉田清治氏の証言はすべてでっち上げということがはっきりしており、本人もそれを認めております。この吉田氏の著書が発表され、朝日新聞が数度にわたり報道したことにより、政治問題化され、韓国内に元慰安婦という女性から数々の証言が出て、さらに大きな問題となっていきます。
 そして、1992年、宮沢喜一首相が韓国訪問時、韓国大統領との会談において謝罪をし、翌1993年、河野洋平官房長官が談話を発表しました。この河野談話は、閣議決定でもなく、国会決議でもありません。この河野談話は、官憲が強圧によって慰安婦を生み出した、また軍による強制の意思が働いたことを公に認める内容であり、今も取り消されておりません。河野談話は、客観的な証拠資料が何一つ存在しない中、韓国政府の強い要請と16人の元慰安婦の証言のみで結論づけられたものですが、いまだに一切が公開されておらず、証言には疑問があると言われています。そもそも、日本側に反問も検証も許されない中で行われた聴取であり、客観性は全く担保されておりません。河野官房長官個人の偏った歴史観が大きく影響した発言に過ぎないのです。
 以上から言えることは、この日本軍の慰安婦問題はすべてはうそから始まったということであります。アメリカやオランダ、カナダ、EU議会または国連での日本軍の慰安婦批判の決議または勧告の内容はすべて、この吉田証言に基づく慰安婦の軍による強制連行のイメージと河野談話がベースになっており、その内容は全くでたらめであると断言して差し支えないと言えます。ですから、我々日本人は何も臆することなく堂々と反論したら済む話であり、このような決議をもって、日本人があわてて市議会で意見書を提出するものではありません。
 日本軍慰安婦に関する意見書は、多くの自治体で日本共産党により提案され、残念なことに既に15以上の自治体で採択されています。慰安婦問題は過去に決着がついている問題であり、今さらわざわざ取り上げる必要は全くありません。それが全国的に取り上げられるようになったのは、2007年のアメリカ下院議会の決議の採択がきっかけであります。先ほど申し上げたとおり、中国の影響によるもので、国内で日本共産党がこれを機に全国展開しており、堺のように日本共産党のお先棒を担いで修正案を提出するところもあります。
 私は、この意見書は堺市議会で絶対採択してはならない意見書であると断言いたします。日本共産党の全国展開の運動に乗ってはならないということです。冒頭申し上げたとおり、東京裁判史観に基づく歴史観を堺市議会の意見としてはならないからであります。この意見書が万が一採択されるようなことがあれば、堺市議会にとって取り返しのつかない汚点を残すことになります。私は、誇りに思う祖先の名誉を守りたい。先ほども申し上げましたが、堺市には3,266柱の英霊がいらっしゃいます。その方々に感謝を申し上げるとともに、英霊の名誉を守らなければなりません。歴史を捏造し、いわれもなき罪をかぶせてまで、我々の祖先をおとしめることに、断固として反対の意を唱え続けます。政治は今の自分の立場のみを考えて行うのではなく、過去に生きた人の意思を十分尊重し、未来に生きる人たちの模範となるような判断をしなければなりません。
 最後に申し上げたい。論語に君子は和すれども同ぜず、小人は同ずれども和せずとあります。人格者は和やかな人間関係の構築に心がけるが、その場の空気に左右されて無責任な賛同はしないということであります。どうか、心ある議員の皆様に和すれども同ぜずという態度をとっていただくことを切にお願いを申し上げて、以上をもって私の反対の討論といたします。

○議長(星原卓次君) 9番田中丈悦議員。

◆9番(田中丈悦君)会派に属さない議員(スタンス明確市民派) (登壇)田中丈悦でございます。
 ただいま議題となりました議員提出議案第26号「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書案につきましての、私のほうからの意見を申し述べたいというふうに思います。
 本意見書案は、日本軍慰安婦問題につきまして、なおこれらの問題が解決されていないという観点から提出をされました2009年7月の国連女性差別撤廃委員会第44会期での最終見解をもとに、誠実な対応を政府に求めようとするものであります。また、2008年3月の宝塚市議会から今日まで、河野洋平官房長官談話に基づく真相の究明と被害者の名誉回復をもとにして、閣議決定などによる公式な謝罪と償い、歴史教科書への記述を初めとした歴史の継承を求めることなどが盛り込まれた20にわたる意見書、決議が全国の自治体議会で採択をされてきているのであります。
 一方、既にお話が出てますとおり、河野談話につきましては、申し上げるまでもなく、業者による甘言、強圧による本人たちの意思に反して集められた例や、官憲等が直接これに加担したことの確認と募集、移送、管理等につきましても、これらが当時の日本軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたこととして確認をしたところでございます。
 一方、この間の経過におきましては、女性基金を初めとした償い事業におきまして、該当の被害女性の皆さんの中で、この助成金等の問題について大変大きな議論と深い亀裂を生じさせてきているところでもございます。これらにつきましての事実の経過、この変遷につきましても、極めて深刻な議論が行われてきたところでございます。
 そしてまた、私たち堺市議会におきましても、たしか記憶のするところ12名であったと思いますが、2008年6月に被害証言者として来られ、その際、市議会を訪問されましたイ・ヨンスさん、キル・ウオノグさんのお2人のお話をお伺いをしたところでもございます。このお2人の話からは、まさに当時の本人の意思に反して、慰安所へと強圧的に連れていかれる状況や、あるいは慰安所におけるその生活の状況、人間としての心身を深く傷つけられた当時の状況と事実について、私たちはお話をお伺いすることができたわけでございます。既に80歳を超えている、大変失礼な言い方でございますけども、彼女たちの言う、残り時間はそう長くはない。私たちの人生の最後の1つの希望である。幼いときに日本軍に踏みにじられ、奪われた名誉と人権を取り戻すこと、このことが最後の希望であるという言葉、そしてまた、日本政府がこれらの真実を正しく明らかにして、公式な謝罪と法的な償いを行ってほしい。再び私たちのような被害者が生まれないようにしてほしいという言葉を聞いたわけでございます。私たちは、こうした彼女たちの思いと願いにこたえるという、その努力を行う義務があるというふうに考えております。
 こうした立場に立ちまして、多くの自治体議会での意見書、決議で表明されています被害者への謝罪と償い、歴史教育が盛り込まれてないという点、あるいはまた12月議会で提案されましたこの意見書案につきましてのもとの表題の日本軍「慰安婦」という、この表題から今日、日本軍という文言が省かれている点、こうした点につきましては、私は留意を残し、加えまして国連女性差別撤廃委員会の最終見解の38には、本意見書案の問題解決の勧告の後に続きまして、これらの取り組みとして、被害者への補償、加害者の訴追及びこれらの犯罪に関する一般国民に対する教育が含まれるとの文言が続けられていることを補強して申し上げ、こうした立場から、本意見書案につきましては、同意賛成するとの私の意見表明をいたしまして討論といたします。以上です。

○議長(星原卓次君) 以上で討論は終わりました。
 これより本件を採決いたします。本件については、委員長報告のとおり可決することに賛成の議員の起立を求めます。
   (賛成者起立)
 起立多数であります。よって、本件は委員長報告のとおり可決されました。