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AJCNレポート: 海外メディアは慰安婦問題日韓合意をどう報じたか? -日本人が知らない歴史戦完敗

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Australia-Japan Community Network(AJCN) 代表 山岡鉄秀 氏より「AJCNレポート: 海外メディアは慰安婦問題日韓合意をどう報じたか?-日本人が知らない歴史戦完敗-」(2016年1月7日)をご紹介します。

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AJCN Sydney

2016年1月7日

 

AJCNレポート: 海外メディアは慰安婦問題日韓合意をどう報じたか?

-日本人が知らない歴史戦完敗-

山岡鉄秀

性犯罪と幼女誘拐の国、日本

1月2日付でリリースした「AJCNの見解」で報告しました通り、2015年12月28日の慰安婦問題に関する日韓合意を受けて、海外メディアはこぞって「日本がついに戦時中の性奴隷制度を認めて謝罪した」と報じました。その後、数多くの方々から具体的な例を教えて欲しいとの要望を頂きましたので、メンバーで手分けして調査した結果をご報告します。

想像以上の日本非難の洪水に、精神衛生上、非常にきつい作業となりました。もちろん、これは本来、在外公館の仕事です。しかし、外務省は調査をしても一般国民に知らせることはしませんし、結果にフィルタリングをかける可能性もあります。国内のメディアは「報道しない自由」を行使して、ほとんど実態を伝えていません。結果として、「日本国内でしか通用しない議論に終始する」結果に陥ることになります。AJCNは、日本国民に幅広く実態を理解して頂き、先の見解書の中で日本政府にAJCNが求めている適切な対応をしていただくためにもこの声明文第二弾を出すことにしました。

 

我々が調査した限りでは「日本政府は潔く謝罪した。韓国は受け入れるべきだ」と主張する海外メディアは皆無でした。すべてのメディアに共通しているのは「日本政府がついに性奴隷制度を認めた、その多くは韓国人女性だった」との断定で、これまで日本の民間団体による反論で消えかかっていた20万人強制連行という言葉も亡霊のように蘇っている、ということです。中には、10代のうら若き処女を拉致、強制的に売春させ、果ては殺したというような酷い話まで載っているケースも複数あり、その傾向は時を追って過激度を増しつつあります。最近顕著になっている中国からの「40万人強制連行説」が散見されるのを見ても、日本を悪魔化し、孤立させたい勢力から強力なプロパガンダが行われていることが推測されます。また、案の定、韓国以外の国にも賠償すべきだという論調が目立ちます。以下、海外報道の一部をご紹介します。

 

2015-12-28 The Guardian (Australia)

日本政府は、女性の性奴隷化に軍が関与していたことを認めた。日本統治下の朝鮮半島で強制的に売春をさせられた女性の数には論争があるが、活動家らは20万人と主張している。1995年には民間によるアジア女性基金が設立され、個人からの寄付を集めたが、多くの女性は「日本政府からの直接の支払いではない」として受け取りを拒否した。わずかに約260名の元性奴隷が各200万円相当の現金を受け取った。

 

2015-12-28 BBC Web版(Asia

第二次大戦中、約20万人の女性が強制的に日本軍兵士相手の性奴隷にされたと推定されている。多くは韓国人だった。岸田外相は記者団に対し、「日本は1993年の河野談話を始め、これまで何度も戦時中の性奴隷に関する責任を認めて謝罪して来た」と語った。

 

2015-12-28 Wall Street Journal (World-Asia)

日韓両政府は、日本兵によって性奴隷として使用された韓国人女性を巡る数十年に渡る論争を終わらせることを目的とした合意に達した。女性の数を確定する資料は存在しないが、主流派の学者は2万人から20万人と推定している。元慰安婦達は、10代の女性が強制されたり、騙されて日本兵向けの慰安所に入れられたと一貫して述べている。

 

2015-12-30 The Sun (UK)

一日に40人の男とセックスさせられた。ついに日本がおぞましい慰安婦制度について謝罪した。生存者のチョンオクサンは、朝鮮半島北部のハンヨン県の自宅から警官によって誘拐された時、まだ13歳だった。多くの被害者は14歳から18歳だったが、その理由は軍が処女を欲していたからだ。誘拐に抵抗した家族は殺されたケースがあった。

 

2015-12-30 The Sydney Morning Herald (Australia)

日本軍は大戦中に豪州の領土だったパプアニューギニアでも女性の組織的な性奴隷化を行ったが、戦後の裁判で告訴しそびれている。何十万という実例の証拠があるので、今から豪州や先進国が日本を追求、糾弾して行くべきだ。

 

2015-12-31 CNN (U.S.A.)

上海師範大学のSu Zhiliang教授によれば、実際の被害者数は40万人に上り、そのうち20万人は無給で売春を強要された中国人であった。

 

2015-12-31 Counterpunch (Website)

いわゆる慰安婦制度は、計画的に組織された何十万という若いアジア女性の性奴隷化である。最初は通常の売春だったものが、女性の性搾取を目的とした巨大な産業に成長した。ホロコーストに匹敵する強姦、人身売買、監禁、拷問のシステムであった。

 

2015-01-01 New York Times, To the editors (U.S.A)

生存者の証言によれば、この残酷なシステムの標的は生理もまだ始まっていない13,14歳の少女だった。彼女たちは積み荷としてアジア各地の戦地へ送られ、日常的に強姦された。これは戦争犯罪のみならず、幼女誘拐の犯罪でもある。

 

2016-01-03 Ottawa Citizen (Canada)

多くの被害者は14歳から18歳の少女で、軍の狙いは処女だった。抵抗する家族は殺されるケースもあった。41万人の少女や女性が誘拐され、生存者は46人のみ。安倍の謝罪は誠意がなく、安部の妻は戦争犯罪者を奉る神社に参拝した写真を公開している。10億円は生存者を黙らせるための安い賄賂だ。

 

謝罪は罰を受け入れること

国際社会でうっかり謝罪すれば、許されるどころか、ここぞとばかりに集中砲火を浴びることになります。謝罪すればするほど事態が悪化したという過去の教訓に全く学んでいないと言わざるをえません。

ここ豪州でも豪ビショップ外相は合意を歓迎する正式発表メモの書き出しで次のように述べています。

Australia welcomes the announcement on 28 December by the Governments of Japan and Korea regarding comfort women. The widespread use of sexual slavery brought great suffering and personal trauma to many women during the wartime period.

 

「オーストラリアは日本政府と韓国政府が慰安婦問題について合意したとの12月28日の発表を歓迎する。戦時中広範に行われた性奴隷の使用は、数多くの女性に多大な苦難と個人的なトラウマをもたらした

 

ビショップ外相はSex slaveryの表現を使い、明らかに、日本政府が慰安婦は性奴隷であったと認めたとの認識を示しています。ここで日本の草賀大使が即座に「日本政府は元慰安婦の方々に深い同情と感謝の念を持っていますが、慰安婦は性奴隷ではありません」と訂正しなければ、日本政府はビショップ外相の認識が正しいと認めたことになります。日本大使館の迅速な対応を要望します。

 

1月6日には、これまで平和だったクイーンズランド州ブリスベン市で、日本領事館の前で日本政府を非難するデモが行われました。

 

円満な解決も事実検証も興味が無い人々

AJCNの活動の中で痛感したことは、韓国側は問題の円満な解決など望んでいないばかりか、事実の検証にも興味が無い、ということです。慰安婦問題を利用して、歴史的に蓄積した民族的鬱憤を晴らすのが目的であり、慰安婦問題が解決したら困るという勢力が存在します。今まで韓国政府は、反日教育を強化しつつそのような勢力を利用、支援しながら、政治に対する不満を日本に向けさせ、慰安婦問題を政治的カードに使って来ました。そういう人たち、政府を相手に、謝罪して和解しようとするのはナイーブも過ぎるというものです。相手は必ず、日本政府の理不尽な要求のせいで円満な解決が不可能になったと言い出すでしょう。韓国や中国に反日を止めさせるには、「この手はこれ以上通用しない」と思わせる以外には不可能です。それを可能にさせるのは「事実」をベースにしたタイミングを逃さない反論です。オバマ大統領は来日時のコメントからも、明らかに韓国側の主張を鵜呑みにしており、今回もその認識に基づいて日本政府に圧力を掛けたと推測されますが、外務省はオバマ大統領に一度でも説明を試みたのでしょうか?

 

日本政府は今すぐ、「何を認め、何を認めていないのか」を説明、立ち位置を明確にし、韓国の反日は日米豪を離反させたい中国に政治利用されているので、安易な日本批判は中国の覇権主義を利すると、アジア太平洋のステークホルダーである米国と豪州政府に説明すべきです。そして、官民一体となって、迅速に海外メディア対策を実施しなくてはなりません。メディアを放置すると、国民の突き上げを受けた政府が日本に懲罰的な行為を取らざるを得なくなる可能性があります。

 

国民の覚醒だけが最後の砦

日本はすでに激しい情報戦という名の戦争の渦中にあります。目的のない戦争はありません。日本を犯罪国家として貶め、孤立させ、やがて支配下に置こうと目論む勢力と、まるでその意向に沿うかのように、日本の名誉回復の努力を灰燼に帰そうとする勢力に挟撃されているかのように見えます。平身低頭して、事なかれ主義で経済活動だけに勤しんでいれば良かった時代はとうに過ぎ去りました。この無防備国家日本が、米国の影響力が低減するに伴い苛烈さを増す国際社会で生き残っていけるかどうかは、一重に国民の意識の覚醒にかかっていると言っても過言ではありません。政治的妥協の為に、日本を幼女誘拐性犯罪国家と自ら認めることは、「現実優先の政治決断」とは程遠いものです。海外で活動するAJCNは、そのことを強く日本国民の皆さまにお伝えしたいと思います。

 

追記;

AJCNは結成当初より、オーストラリア人の多大なる支援を受けて来ました。今回の合意を受けて、彼らから次のようなメッセージが送られてきています。

「日本と日本人のために、自分の忙しい時間を使ってどんなに一生懸命頑張っても、日本政府が真実ではないことをあのようにあっさり認めて謝罪してしまうなら、あとは日本政府に責任を取ってもらうしかない」

 

 

補足;最低限具体的に説明すべき点

1.Sexual slaves およびSexual slaveryはcomfort womenの実態から乖離した政治的プロパガンダである。英語ではCamp followerまたはProstitution at Warであり、実態を示すエビデンスとしては1944年の米軍によるミャンマーで保護した慰安婦に聞き取り調査を行ったReport49などがある。

2.軍の関与とは以下の通り。

1)慰安所のモニター、悪質な業者の取り締まり、指導

2)慰安婦の衛生管理

3)慰安婦および慰安所の安全の確保

2.慰安婦は給与を受け取っていた数多くのエビデンスがあり、その額も年収10万米ドル単位であり奴隷の言葉は当てはまらない。現在価値で2016年度韓国朴大統領の年俸2130万円に相当する。(ソウル聨合ニュース1月7日)

3.慰安婦の数には多数の説があるが、韓国人がマジョリティと言うことはできない。日本人がそれよりも多い半数ほどを占めていたと言う説が有力である。

4.慰安婦に関連する日本軍による組織的戦争犯罪のエビデンスは存在しない。

2007年に公表されたアメリカ政府IWG(Interagency Working Group )報告書は、ナチスや日本の戦争犯罪に関する情報が記されている可能性のある、各省庁のあらゆる機密文書850万ページ以上を3000万ドルの経費と7年の歳月をかけ調査した結果をまとめたものだが、日本軍が慰安婦を強制連行したことを示す証拠は何一つ見つけられなかった。日本政府も日本の公文書を調査したが同様の結果を得ている。

5.慰安婦の年齢は、当時日本政府が批准していた「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」に基づき22歳以上として、違法な業者を日本の警察が取り締まっていた。業者による募集ポスターによれば17歳18歳も募集されているがこれは違法であり、11歳から14歳がいたというのは韓国側の主張に過ぎないが、朝日新聞が報道した「慰安婦と挺身隊の混同」から生じた誤解も含まれる。

慰安婦問題日韓合意に関するAJCN の見解

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Australia-Japan Community Network(AJCN) 代表 山岡鉄秀 氏より「慰安婦問題日韓合意に関する AJCN の見解」(2016年1月2日)をご紹介します。

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2016年1月2日

慰安婦問題日韓合意に関するAJCNの見解

AJCN 代表 山岡鉄秀

昨年末に突如結ばれた慰安婦問題を巡る日韓合意について、豪州にて直接中韓反日団体と対峙し、一年半に及ぶ攻防の末に慰安婦像設置を阻止したAJCNの見解を申し述べます。

中国が覇権主義を隠さず、南シナ海や尖閣諸島で緊張が高まる最中、アメリカが日韓の関係改善と長年の対立点である慰安婦問題の解決を強く求めてきたのは安全保障上当然の成り行きと言えます。日本政府が一定のタイムリミットの中で政治判断を迫られる厳しい状況に追い込まれることは想像に難くありません。

しかし、ここで留意すべきことがあります。当然ながら、アメリカはあくまでも自国の利益を考えているのであって、日本の名誉回復になど興味がありません。日本に大幅に譲歩させ、韓国民をなだめ、満足させることによって東アジアの安定を維持することが米国の利益に繋がるという論文が随分前からフォーリンアフェアーズなどに掲載されていました。最近でも、エズラヴォーゲル氏が「日本は何が正しいか、正しくないかという立場ではなく、隣の国とうまくやっていくために何が必要かを考えて、もっと低姿勢になるべきだ」と大学での特別講義で述べています。
livedoor news/2015年10月24日 7時0分 NEWSポストセブン )

このようなコンテクスト上であっても、もし日本に自国の名誉と国民を守る決意があるのなら、絶対に死守しなくてはならない線があります。それは、明らかに事実に反した事柄は認めないということです。

たとえば、少なくとも朝鮮半島や台湾で、軍隊による組織的な強制連行が無かったことは、左派の学者も朝日新聞も認めていることです。また、慰安婦像はあどけない少女がモチーフとなっていますが、これは明らかに「小学校6年生の少女数人が勤労奉仕の名目で徴用されたが、実は前線で日本軍兵士の性奴隷にされた(朝日イブニングニュース1992年1月16日)」という完全な誤解と誤報に基づき創作されたイメージです。挺身隊に徴用された少女達は全員無事だったことが確認されているのに、日本の非道を糾弾するためのツールとして使用され続けています。

言い換えると、日本として、譲れる点と譲れない点を明確にする、すなわち、自分の立ち位置を明確にしてアメリカに説明しなくてはなりません。それは勇気がいり容易なことではありませんが、それこそが政治家と外交官の役割であり、それを放棄したら永遠に日本の名誉を回復することなどできません。

しかし今回、日本政府は、その努力を完全に放棄してしまいました。驚くべきことです。

今回の合意を支持する人たちは、「高度な政治判断により、韓国政府に重い宿題を課した。反日団体を説得できず、この問題を蒸し返したら、非難されるのは韓国政府だ。安倍首相はそこまで考えて決断した」と主張しています。実際、韓国政府が必死になって何度も国民に理解を求めながらも、挺隊協から猛反発を食らっている姿を見れば、ボールは韓国側のコートにあるという主張はその通りです。結局説得に失敗して、この合意は流れてしまうかもしれません。そうなれば、韓国政府の過失です。それは理解できます。

ただ、その一方で、日本のメディアが伝えず、ほとんどの国民が気付いていないことがあります。それは、今回の合意と岸田外務大臣と安部総理の談話を受けて、世界中のメディアが一斉に「日本政府が、第二次大戦中に20万人のアジア人女性を性奴隷として強制連行し、人権を蹂躙した事実を認め、韓国政府に10億円を支払うことに合意した」と報じていることです。これはそのまま、アメリカをはじめとする各国政府の見解となります。「とうとう認めたか、初めから抵抗なんぞしなければ良かったものを」という解釈です。日本のメディアは「(米紙は社説で)画期的な合意をサポートする。解決が遅れたのは歴史を書き換えようとした安倍首相と右派の政治的盟友らの責任だと述べている」(日韓首脳の努力「賞賛に値」=慰安婦問題合意でー米誌社説 時事通信2015年12月31日木曜日)というような報道しかしないので、「20万人の強制連行と性奴隷化」というプロパガンダが歴史上の事実と認定されたと報じられていることに気付く日本人は少ないでしょう。合意を歓迎し、米国内の韓国系団体が反発していることに自制を求め、「米国内でも合意への支持 と完全な履行を強く望む」と訴えた米国務省のトナー副報道官は12月29日の記者会見後の質疑応答の中で次のように語っています。

「我々、アメリカ合衆国は、何度も言っているように、第2次大戦中の日本軍による性的目的のための女性の人身売買は、恐るべきひどい女性の人権の侵害であった。」
We’ve stated many times – the United States – that the trafficking of women for sexual purposes by the Japanese military during World War II was a terrible, egregious violation of human rights.

 日本政府の声明には強制という表現はなく、法的責任も認めていないと主張する方もいらっしゃいますが、それは残念ながら国際的には全く通用しません。なぜなら、岸田外務大臣による発表を英語で読んだら、日本が犯罪国家であったと全面的に認めたとしか読めず、強制や法的責任などの言葉の有無は無関係になってしまうからです。今回の合意の証人であるべきあるべきアメリカの報道官が上記のように述べているのですからなおさらです。

日本語による表現と、外務省によるその英訳では、ニュアンスに大きな隔たりがあることを以前から指摘して来ましたが、全く顧みられていないことに愕然とします。

慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題
The issue of comfort women, with an involvement of the Japanese military authorities at that time, was a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women

この部分だけで十分アウトです。軍による甚だしい女性の人権侵害が行われたと認めたのですから、これまでの全ての糾弾(強制連行、性奴隷化)を認めたと同義と解されます。

安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。
As Prime Minister of Japan, Prime Minister Abe expresses anew his most sincere apologies and remorse to all the women who underwent immeasurable and painful experiences and suffered incurable physical and psychological wounds as comfort women.

これは河野談話以前から使われている常套句ですが、日本人のほとんどは抒情的な日本語の原文しか読まないでしょうが、外国人は英語の方しか読みませんので、当然英語のニュアンスで理解します。英文を日本語に訳し直せば、こんな感じになります。

安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として、計測不可能な苦痛に満ちた経験をされ、治癒不能な肉体的および精神的な傷を負った方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。

言うまでもなく、おわびは謝罪であり、国際社会では謝罪するということは罪を認めることと同義であり、計測できないほどの苦痛を与え、治癒不可能な傷を肉体的にも精神的にも与えたと認めるならば、拷問したと言っているのと同じです。これではクマラスワミ報告も認めていると解釈されても仕方ありません。これらの表現は以前から使われているのですが、今回は責任を認めた一文の中で明確に軍の関与によると認めてしまったので、強制では無かったと主張しても、軍が虐待して人権を蹂躙したことに変わりはないと反論されるのが目に見えています。今後、海外の教科書にも「日本政府が正式に認めた」と書かれていくでしょう。つまり、これまで、民間が必死の思いで積み上げてきた「事実誤認の訂正と日本の名誉回復」の努力を完全に粉砕してしまったわけです。これから手をこまねいて何もせず時間が経過すれば「日本政府は強制連行は認めていない、慰安婦は性奴隷ではない」と主張するのは非常に困難になってしまいました。

AJCNは、豪州に慰安婦像が建ち、中韓反日団体の主張がまかり通ることによって、日系人とその子女が不当な差別やいじめに遭うことを防ぐために戦いました。その間も日系人に対する脅迫事件や差別的行為を経験しました。慰安婦像が建ってしまった北米では、すでにいじめや嫌がらせが起きているが、日系人は泣き寝入りしていると伝えられています。日本政府は「計測不可能な苦痛に満ちた経験と治癒不能な肉体的、精神的な傷」が何を意味するのか、日本軍が何を行ったのか、「関与」の具体的な内容とともに海外および日本国民に明確に説明する責任があります。直近の世論調査でも「慰安婦問題について日本は譲歩する必要なし」が日本国民の多数意見であることが明らかになっています。このままでは、「将来の世代に謝罪させない」どころか「将来の世代に濡れ衣を着せ続け、反論の機会を奪い、民間レベル、個人のレベルで言われなき汚名に対する謝罪を子や孫に続けさせる」ことになりかねません。

今回の日韓合意は、例えるならば「犠牲フライ」のようなものです。ランナーがホームに生還できるかどうか、まだわからないのですが、日韓合意の中で「日本の悪行」というone outは確定してしまいました。そして、そのone outは、ほとんどゲームオーバーに等しいものです。たとえ韓国政府レベルの反日活動封じ込めに成功しても、日本軍が20万人を拉致して性奴隷にしたというプロパガンダを日本政府が事実として認めたという致命的な失点は確定し、民間団体レベルの反日活動に大儀を与え、日韓国民相互の憎悪をさらに増幅していくでしょう。

20万人の強制連行、小学生慰安婦、性奴隷などはプロパガンダと知りながら、そのすべてを認めて謝罪するような発言をしてしまう政府は、世界広しと言えども日本政府ぐらいなものでしょう。政治的妥協の判断と言っても、実害が甚大過ぎます。そして、その影響をもろに受けるのが、現地でのマイノリティである我々のような海外在住者です。

実は、被害を受けるのは、日本人や日系人だけではありません。ストラスフィールド市に住むある韓国人家族では、反日団体の主張を真に受けた父親が激昂し、「韓国に帰って軍隊に入って日本と戦う」とわめきだし、子供が怯えて家庭が不和になるということがありました。その父親はおそらく、挺身隊に徴用された小学生まで慰安婦にされたと信じこんだのでしょう。このように、物事を曖昧なままに放置すると、無関係な現代の韓国人まで苦しむことになってしまうのです。

抽象的な言葉の羅列で妥協点を探ろうとしても、事態が悪化するばかりなのは、これまでの経験で十分に学べたはずです。我々AJCNは、常に自分たちの立場を明確にし、論理的に辛抱強く説明することで幅広くコミュニティの支持を得てきました。(非敵対的合理主義)

10億円払って、大使館前の慰安婦像も撤去されず、海外での反日活動と慰安婦像設置が継続し、日本軍による20万人強制連行と性奴隷化が日本政府公認の事実として確定してしまったら、目も当てられません。日本政府は、政治判断という名の元に曖昧な表現を続けるのは止めるべきです。一貫した原理原則に基づき、意見の不一致や決裂をも恐れずに相対する勇気をもって、初めて国際社会に理解され、意味のある政治判断ができるようになるでしょう。世界は戦国時代に逆行し、情報戦は厳しさを増すばかりです。祖国日本が一日も早く、自国の名誉と国益を守れる普通の国になることを切に願う次第です。

以上

豪州ストラスフィールド8月11日市議会 慰安婦像否決

慰安婦記念碑(像)は6-0で否決

豪州現地で反対運動をリードしたAustralia-Japan Community Network(AJCN)の皆様、それを支援してくださった多くの皆様、有難うございます!

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Extraordinary Council Meeting – Comfort Women Statue

COUNCIL RESOLUTION

Council at its Extraordinary Meeting on 11 August 2015 resolved:
“That Council take no further action concerning a Comfort Women Memorial as the proposal does not meet the criteria of Council’s Memorial Policy.”

Voting was unanimous.

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Australia-Japan Community Network(AJCN)ブログより
8月11日慰安婦像設置に関するストラスフィールド市特別市議会の結果報告 
AJCN山岡鉄秀代表からのメッセージ 
2015年8月11日開催ストラスフィールド市特別市議会の結果 
ストラスフィ-ルド市慰安婦像設置問題に関する豪メディア記事のご紹介  

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<ニュース>
Sydney Morning Herald 8/16/2015
Threats, insults and tyres slashed in Strathfield over planned comfort women memorial

中央日報日本語版 2015年08月12日
豪での慰安婦少女像建立が白紙化…「多文化社会の葛藤を触発させるおそれ」

ourstrathfield.com.au 11/08/2015
Victory for democracy as comfort women statue fails to get the go-ahead

産経 2015.8.11 20:27 【歴史戦】
慰安婦像設置案を全会一致で否決 シドニー郊外の市議会で豪州初の判断 「反日運動で地域分断」懸念も

時事通信 8月11日(火)
豪州初の慰安婦像認めず=シドニー近郊の市が議決

zakzak夕刊フジ2015.08.11
慰安婦像設置の可否を決定へ 日本人や日系人が猛反発 豪ストラスフィールド市

シドニーフリーペーパーCHEERS「従軍慰安婦像をシドニーにも設置?」特集

シドニーフリーペーパーCHEERSに掲載された「従軍慰安婦像をシドニーにも設置?」特集。
3回に亘って掲載されました。
非常に充実した濃い内容ですので、海外における慰安婦問題についてご興味ある方は是非ご一読ください。

第一回「プロジェクト主要メンバーの最側近にインタビュー&歴史検証」
http://cheers.com.au/entertainment/interview/964/

第二回「ストラスフィールド市議会が4月1日に公聴会を開催!」
http://cheers.com.au/entertainment/interview/965/

第三回「慰安婦像が子供に与える影響&専門家による歴史検証」
http://cheers.com.au/entertainment/interview/976/

オーストラリアJCNから最新情報(2014年5月28日)

オーストラリアで慰安婦像反対に立ち上がったJapan Community Network(JCN)から最新情報(2014年5月28日受信)です。

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JCN_logo

ストラスフィールド(Strathfield)でこう着状態に陥った中韓反日団体が、周辺のカウンセルや、他の州に標的を分散しようとしているとの情報が入っています。注意が必要です。中韓反日団体はもともと、ストラスフィールドの次はキャンベラとメルボルンと明言しています。

JCNはすでにメルボルンやブリスベン、ゴールドコースト在住の方々からご連絡を頂いておりますが、シドニー以外でも、モニタリングと政治家への陳情を始める必要があるかと思います。つまり、各州で、危なそうなカウンセルを中心にモニターし、慰安婦像設置の申請がないか問い合わせをし、州の議員や、市長に面談して、人権擁護の観点から絶対反対の意思を明確に示していくのです。後手に回るのは良くありません。ただ、その際に、個人でバラバラに動くよりも、日本人コミュニティを代弁する体裁が重要です。(それがJCNを立ち上げた理由です)

もし、現地の日本人会などが受け皿となってくれればいいのですが、往々にして「政治的なことには関与できない」とか、「韓国人の会員もいる」などと言って積極的に動こうとしないケースが多くみられます。その場合は、有志でJCNの支部を結成して、情報を共有し、手分けして作業に当たるのがいいかもしれません。

ある程度の人数が集まるようであれば、こちらから人を派遣して、説明会兼勉強会を開催する用意があります。各州の方にはぜひ考慮して頂きたいと思います。また、日本の方にも、モニタリングのヘルプなどを手伝って頂けたら非常に助かるのではないでしょうか?鍵は、モニタリング、Proactiveな陳情、市のポリシーのチェックです。

中韓は徹底的なロビーイングを得意としており、ストラスフィールドでも、同地域選出の州議会議員と連邦議員が、中韓団体に完全に取り込まれていたことが発覚しました。しかし、我々が反対の声を挙げたところ、突然「そういうものには反対です」などと言を翻していました。もともと二枚舌なのでしょうが、日本側から毅然とした反対意見が出るとは思わず、中韓の票を頂こうとしていたのでしょう。「少数派の人権をないがしろにするのは許せない」と言われると、彼らも動きづらくなってしまいます。沈黙は無抵抗であり、無抵抗は敗北の甘受になるのが国際常識です。

日本人が最も苦手とする分野なのかもしれませんが、平和は天然所与のものではありません。平和は努力して獲得するものだと、我々日本人も学ばざるを得ない時代となってしまいました。豪州全体でネットワークをつくり、協力して事に当たる体制を作らないと、北米のようにあちこちに飛び火してしまう危険性があります。これはストラスフィールドだけの問題ではありません。ぜひ、豪州全体(できれば含むニュージーランド)の問題として考えましょう。

※JCNと連絡を取りたい方はなでしこアクションへの問い合わせフォームでご連絡下さい