カナダでの慰安婦問題の動き(2007~2023)

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カナダ・トロント在住のマリノフ利江さんが纏めて下さった「慰安婦問題 ‐カナダでの動き)」をご紹介します。
日本ではあまり知られていませんが、カナダでも慰安婦問題の浸透が深刻な状況です。

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慰安婦問題 ‐カナダでの動き⁻ 2023.1

平成19年

(2007)

11月28日

カナダ下院で日本政府に謝罪を求める動議を全会一致で可決
安倍首相(当時)の強制の証拠はない、という発言に対し、1993年の河野談話を後退させるもの、とカナダ放送協会 (Canadian Broadcasting Corporation、CBC)が報道。

Comfort women’ ask Canada to press Japan for apology
https://www.cbc.ca/news/canada/comfort-women-ask-canada-to-press-japan-for-apology-1.638241

平成23年(2011)

12月

オタワで水曜日デモ

韓国の元慰安婦による毎週水曜日の1000回目の抗議行動への連帯デモ
Solidarity Demo joining “Comfort Women” for 1000th Weekly Demonstration
https://www.cawi-ivtf.org/events/solidarity-demo-joining-comfort-women-1000th-weekly-demonstration

平成24年

(2012)

12月

トロント市庁舎で南京虐殺および慰安婦の写真展が開催

平成24年

(2012)

Within Every Woman
慰安婦のドキュメンタリー短編映画がリリース。監督はティファニー・ヒョン(Tiffany Hsiung)

Within Every Woman… There Is A Story
https://www.youtube.com/watch?v=-7iGHGp568Y

Within Every Woman – The Documentary Film
https://www.kickstarter.com/projects/lucyzhao/within-every-woman-the-documentary-film

平成25年

(2013)

10月

Lola Fidencia David , 86才(当時)がカナダを訪問しマニトバやトロントで講演。

2007年、Davidはカナダの下院で動議が可決された際に証言したフィリピン人の「元慰安婦」。

‘Comfort woman’ shares story of sex slavery
https://www.cbc.ca/news/canada/manitoba/comfort-woman-shares-story-of-sex-slavery-1.2125396

平成25年

(2013)

10月

トロント教育員会とトロントアルファが覚書に署名

アジアにおける第二次世界大戦の残虐行為を含むより包括的な世界史カリキュラムを提供する

平成26年

(2014)

9月20日

マニトバ州ウィニペグ市に、カナダ人権博物館がオープン

慰安婦に関する展示は「沈黙を破って(Breaking the Silence)」と題したギャラリー内に設置。パネルでによる慰安婦制度の説明があり、来館者は元慰安婦のビデオ証言を見ることができる。

平成26年

(2014)

3月9日

慰安婦アニメMary & Myself がカナダ・スクリーン賞(The Canadian Screen Awards)の短編ドキュメンタリー部門で落選

ノバスコシア美術デザイン大学(Nova Scotia College of Art and Design)の学生、Sam Decosteによるアニメーションドキュメンタリー。

イヴ・アンスラーの「ヴァギナ・モノローグ」で “慰安婦 “役を演じ、劇場デビューを果たした2人の中国系カナダ人女性の物語を描く。

ANIMATED DOC TELLS A SAD TALE FROM HISTORY
https://nscad.ca/animated-doc-tells-a-sad-tale-from-history/

Mary & Myself (実際のアニメはこちら)
https://www.nfb.ca/film/mary_myself/

平成26年

(2014)

11月3日

慰安婦についてのパネルディスカッションートロントホロコースト教育週間
“Comfort Women” in Asia:Alone in Atrocity, Together for Justice

平成27年

(2015)

2月

トロントカトリック系学校の教育員会とトロントアルファが「アジアにおける第二次大戦の残虐行為を含む歴史教育をカリキュラムに含める」ための覚書に署名

平成27年

(2015)

3月

ブリティッシュコロンビア州バーナビー市に慰安婦像設置計画

バーナビー市の公園に慰安婦像を設置する案が韓国の姉妹都市は華城(ファソン)市から提案されたが否決。

平成27年

(2015)

3月4日

植民地主義の世界史における「慰安婦」:現在の日本からの報告
松原宏之准教授·(横浜国立大学 教育人間科学部)

トロント大学 ムンク国際問題・公共政策研究所で公演

平成27年

(2015)

8月21日

トロント市内のイベントで慰安婦に関する展示

平成28年

(2016)

11月

CBCラジオへの日本大使館のコメント発出(慰安婦問題)

在カナダに本国大使館がカナダ放送協会 (Canadian Broadcasting Corporation、CBC)の依頼により慰安婦問題の見解を示す。

CBCラジオへの日本大使館のコメント発出(慰安婦問題)

11月30日,加公共放送CBCから当館に対し,慰安婦を題材としたドキュメンタリー映画 “Apology” の制作者に対するインタビューを実施するにあたり,日本政府の見解を得たい旨の依頼がありました。

 同依頼に対し,日本大使館は,概要以下のとおりコメントしました。

・日本政府として,慰安婦問題は多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題と認識している。

・昨年8月14日の総理談話で述べられているとおり,20世紀において戦時下多くの女性の尊厳名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻みつけ,21世紀こそ,そうならないよう世界をリードする決意である。

・韓国とは昨年12月28日の日韓外相会談で最終的不可逆的に解決されることを確認した。この合意に基づき,本年8月31日,日本政府は韓国に設立された財団に対し,10億円を支出した。それを基に本年10月,財団は,元慰安婦の方々のための事業を開始したと承知している。

・日韓それぞれが合意を着実に実施することが重要であり,日本政府としては引き続き韓国側と連携していく所存である。

(以上、在カナダ大使館ホームページより)

https://www.ca.emb-japan.go.jp/JapaneseSite/Taishikan/2016/CBC_Comfort_Women.html

  

平成28年

(2016)

5月

慰安婦パネルディスカッション「The Apology: Colonial and Militarized Sexual Violence Against Women

トロント大学のオンタリオ教育研究所(Ontario Institute for Studies in Education of the University of Toronto, OISE)で、「The Apology: Colonial and Militarized Sexual Violence Against Women」のパネルディスカッション。

パネリスト:

Ÿティファニー・ション(Tiffany Hsuing、The Apologyの監督)

Ÿキル・ウォンオク(Gil Won OK、元慰安婦)

Ÿヨン・ミヒャン(Yoon Meehyang、韓国挺身隊問題対策協議会、常任代表)、

Ÿジュディー・チョ(Judy Cho、トロントアルファのプログラムディレクター、今回は通訳者として参加)、

Ÿヤナー・モハメド(Yanar Mohammed、イラク出身のカナダ人フェミニスト活動家、Organization of Women’s Freedom in Iraq 代表、

Ÿウィニー・ムチュバ(Winnie Muchuba、 コンゴ出身で自身が暴力被害の経験者。Romero House and Parkdale Community Health Centerの代表) 

進行は、アンジェラ・ライトル(Angela Lytle、OISEの親韓フェミニスト活動家)。(肩書は当時のまま)


キル・ウォンオク                                  尹美香

平成28年

(2016)

5月

The Apology
慰安婦のドキュメンタリー映画がリリース
監督はWithin Every Womanのティファニー・ヒョン

The Apology
https://www.nfb.ca/film/apology/

カナダ国立映画庁(National Film Board of Canada、NFB)
https://www.nationalobserver.com/2016/03/24/news/documentary-wwii-comfort-women-reflects-national-film-boards-commitment-gender

https://www.onf.ca/film/apology/
https://www.nfb.ca/film/apology/

慰安婦ドキュメンタリー映画 カナダ映画祭で上映
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=59062

平成28年

(2016)

5月

トロント市の慰安婦像除幕式(the Korean Canadian Cultural Association Centreカナダで初めての慰安婦像。

市会議員、州議会議員、国会議員など多数出席

https://nowtoronto.com/news/hidden-toronto-comfort-woman-statue

令和2年

(2020)

11月

The Apologyの機内上映

エアカナダのトロントから羽田での機内上映映画のひとつ(現在は上映していない)

 

令和4年

(2022)

7月

ピースエキシビション Peace Exhibition
韓国の彫刻家夫妻、キム・ウンソン氏とキム・ソギョン氏製作の慰安婦像展示

MAIN GALLERY & PROCESS GALLERY: Kim Seo-kyung, Kim Eun-sung, and Tai Kim 
https://www.picuki.com/profile/gallery1313

令和5年

(2023)

Asia Pacific Peace Museum (WongAvery Asia Pacific Peace Museum) がオープン予定

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【 参考 】

◆ ブリティッシュコロンビア州バーナビー市に慰安婦像設置計画について慰安婦像設置は「当面保留」 カナダ西部バーナビー市 日系住民の反対奏功
https://www.sankei.com/article/20150418-RE7ZPSQEWZKZHH77UIZWQST4Z4/

◆ 2015年4月5日「慰安婦」問題と日本社会・メディア」シンポジウム
シンポジウム「朝日新聞問題を通して考える「慰安婦」問題と日本社会・メディア」
松原 宏之准教授が参加
https://fightforjustice.info/?p=3563&lang=en

◆ 2014年トロントホロコースト教育週間、慰安婦についてのパネルディスカッションについて(プログラムから転載)
“Comfort Women” in Asia: Alone in Atrocity, Together for Justice
How do we preserve the individual memories and national narratives of survivors of sexual slavery? What is added to this effort when survivors collaborate across cultures and nations? What is threatened? During the years of the Asia-Pacific War, the Imperial Japanese Army mobilized
more than 200,000 women from across Asia into a military sexual slavery system. The victims, euphemistically referred to as “Comfort Women,” include women who were Korean, Chinese, Japanese, Malaysian, Fillipino, Indonesian and Dutch. Since 1991, survivors have come out publicly with their stories.
While the “Comfort Women” system impacted women from over 20 nations and territories across East and Southeast Asia, each with a distinct culture, identity, heritage and memory, the ongoing struggle for justice has brought these diverse women together in solidarity.
A plenary moderated by Dr. Joseph Wong, founder of Toronto ALPHA, with Executive Director of the Women’s Human Rights Education Institute, Angela Lytle, author of Chinese Comfort Women, Peipei Qui, and filmmaker of Within Every Woman, Tiffany Hsuing, will explore both the tension and possibility that exists when they collaborate in solidarity for justice and peace. Short film screening followed by moderated panel discussion.

For more information and to register visit: http://torontoalpha.org/index.php/community/holocausteducationweek.
Co-sponsored by the Equity Studies Program and by Shir Libeynu Congregation.
Monday, 3 November | 6:30 PM
Toronto ALPHA at New College | University of Toronto
William Doo Auditorium | 45 Willcocks Street | Toronto | 416–299–0111

◆ カナダ放送協会 (Canadian Broadcasting Corporation、CBC) のインタビュー
“Comfort Women” Dr. Joseph Wong(2015年)
https://www.cbc.ca/player/play/2681187405

The Japanese government yesterday apologized to World War Two sex slaves in South Korea. Guest host Piya Chattopadhyay spoke with Dr. Joseph Wong, he is the founder and chair of Alpha Education Centre.

“Comfort Women””The Apology” Tiffany Hsiung(2015年)
https://www.cbc.ca/player/play/2688181894

◆ Tiffany Hsiung’s NFB feature doc The Apology(NFBに掲載されれたティファニー・ヒョンのThe Apologyのプレスリリース、2016年11月17日)
https://mediaspace.nfb.ca/comm/tiffany-hsiungs-nfb-feature-doc-the-apology-screens-in-toronto-and-vancouver-starting-dec-2-shame-silence-and-resilience-the-story-of-three-former-comfort-women-and-their-quest-for-justice/

◆ CBCラジオへの日本大使館のコメント発出(慰安婦問題)2016年
https://www.ca.emb-japan.go.jp/JapaneseSite/Taishikan/2016/CBC_Comfort_Women.html

CBCラジオへの日本大使館のコメント発出(慰安婦問題)

11月30日,加公共放送CBCから当館に対し,慰安婦を題材としたドキュメンタリー映画 “Apology” の制作者に対するインタビューを実施するにあたり,日本政府の見解を得たい旨の依頼がありました。

 同依頼に対し,日本大使館は,概要以下のとおりコメントしました。

・日本政府として,慰安婦問題は多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題と認識している。

・昨年8月14日の総理談話で述べられているとおり,20世紀において戦時下多くの女性の尊厳名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻みつけ,21世紀こそ,そうならないよう世界をリードする決意である。

・韓国とは昨年12月28日の日韓外相会談で最終的不可逆的に解決されることを確認した。この合意に基づき,本年8月31日,日本政府は韓国に設立された財団に対し,10億円を支出した。それを基に本年10月,財団は,元慰安婦の方々のための事業を開始したと承知している。

・日韓それぞれが合意を着実に実施することが重要であり,日本政府としては引き続き韓国側と連携していく所存である。

One thought on “カナダでの慰安婦問題の動き(2007~2023)

  1. 長尾秀美 says:

    〝歴史発掘″
     先ずマリノフ利江さんの資料収集と今回の投稿に敬意を表します。
     さて、考古学者や古生物学者は〝歴史を発掘″し、人類の活動とその変化を研究します。一般の歴史学者は政治経済などにおいて同じ過ちを繰り返さないよう事実を歴史として残します。
     先日のことですが、小生はテレビ東京の『なんでも鑑定団』の再放送を見ていました。2022年10月11日の番組で十津守宏さんが鑑定依頼したのは、モササウルス(海トカゲと呼ばれる海生の爬虫類)の全身骨格化石。しかもそれは2020年に海外の研究者らがモササウルス類の新種として発表したばかりのもの。鑑定額は1千万円でした。
     小生がここで言いたいのは、「化石を探せ」ではありません。「歴史は発掘するものであり、偽造・捏造するものではない」と言うことです。アメリカの作家、コットン・マザー(1663-1728年)は、魔女裁判で汚名を残しましたが、「歴史とは出来事の記述であり、称賛されることもあれば、非難されることもある」と言っています。(注 私訳)
     歴史学者の宮脇順子氏が、「嘘で成り立った政府(国)は必ず滅びる。何故ならば、嘘をつき続けることには無理がある」と言われたとか。つまり称賛と非難を正当に評価しなければ、歴史は歴史たりえません。
     2016年11月30日、在カナダ日本大使館は、カナダの公共放送CBCの依頼に対し回答を寄せました。しかしそれは2015年12月の慰安婦問題に関する日韓合意に触れただけです。
     なぜ大使館は、吉田清治氏が著書で女子の強制連行を捏造したことを、秦郁彦氏と済州島記者が立証し、朝日新聞が16本もの記事を撤回したことに触れなかったのでしょうか。千田夏光氏が著作に書いた女子14-20万人という数字が独り歩きをして慰安婦総数になったのは、事実を曲解したからだと主張しなかったのでしょうか。
     最も大きな理由は、外務省が、外交合意さえあれば、国民感情とマスコミは無視できると安易に考えていたからでしょう。言い換えると、1991年の夏以降に発掘された新たな事実を、事実として評価しなかったからです。その失態に加え、外務省自体が1965年の日韓基本条約が過去のものではないと捉えていれば、自称元慰安婦問題が今日まで尾を引くことはなかったと考えます。
     この際なので、外務省には1993年の河野談話の誤謬を訂正してもらいたい。外交合意を信奉するなら、誤謬訂正も職務の範疇に入るはずです。
     最後に一言。2021年に亡くなったデズモンド・ツツ司祭は、こう言っています。「もしあなたが不公平だと思う状況にありながらも、中立の立場を取るなら、あなたは迫害者に与(くみ)することになる。ゾウがネズミの尻尾を踏んでいる時、もしあなたが自分は中立を保つと言えば、ネズミはあなたの立場が中立とは認めない」と。(注 私訳)
     この慰安婦問題について、中立の立場はありません。だからこそ、なでしこアクションは啓発活動を続けています。


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