一社)国際歴史論戦研究所から、国連女子差別撤廃委員会の委員長と委員に宛てに抗議声明を送信しました。ここにご紹介します。
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【 原文英語版 】
2024年11月18日
一社)国際歴史論戦研究所
女子差別撤廃委員会Ms. Ana Peláez Narváez議長
委員の皆様
日本の皇室典範関する勧告に反対し、削除を求める声明
国際歴史論戦研究所は、人権の歴史を研究し相互理解と協調を促進するために活動している日本のNGOです。当研究所の代表はジュネーブで開催された女子差別撤廃委員会89セッションに参加しました。女子差別撤廃委員会の委員の皆様の女性の人権向上にむけての多大な努力と貢献を深く尊敬申し上げております。
しかしながら、日本に対する総括所見(CEDAW/C/JPN/CO/9)のパラグラフ11と12の皇室典範に関する勧告については、我々は次の理由で強く反対し、早急に削除を求めます。
第九回日本政府報告書に対する総括所見 (CEDAW/C/JPN/CO/9)
パラグラフ 11. パラグラフ12. |
1. 委員会が総括所見を発表する前に、日本のNGOは皇室典範について次の事実を含む様々な情報を委員会にお伝えしました。
- 日本における「皇位の継承」は、わが国固有の国内問題であり、女性差別撤廃条約の管轄外の問題である。
- 「国連憲章」第2条7項は「この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではない」としている。
- 「男系男子」による「皇位の継承」は、建国以来、2千年近くにわたって伝えられてきた我が国の、かけがえのない「皇室の伝統」で、「女性の差別」とは無関係である。
- ローマ法王もイスラム聖職者もチベットのダライラマも男性である。CEDAWはこれらにも「女性差別の撤廃」を要求するだろうか。
- 皇室典範は、民間人の「女性」が男性皇族との婚姻によって「皇族」となることを認めながら、民間人の「男性」が「皇族」となることは認めていない。これは、男性に対する逆の差別と言える。
委員の皆様はこれらの事実を知った上でもなお、皇室典範が条約第1条および第2条と両立しないとして男女平等を保証するためとして法の改正を勧告しました。これは、委員会が日本の歴史、伝統、文化に対する無理解であることを明らかにするもので、日本の皇室に対して礼を欠くものです。日本人の殆どはこの勧告に対して非常に不愉快に思い、怒りを感じています。
2. 第九回日本政府報告書(CEDAW/C/JPN/9)パラグラフ12 と、2024年10月17日の2105th Meetingにおける日本政府の回答は、我々日本人の皇室に対する共通の理解と全く変わらないものです。
「我が国の皇室制度も諸外国の王室制度も、それぞれの国の歴史や伝統を背景に、国民の支持を得て今日に至っているものであり、皇室典範に定める我が国の皇位継承の在り方は、国家の基本に関わる事項である。」
CEDAWが締約国に歴史と伝統を変えるように勧告することは、国連の全ての条約体委員会の信用と信頼を大きく損なうことになります。
3. 2024年10月17日の2105th Meetingの議事録(CEDAW/C/SR.2105)において、議長 Ana Peláez Narváezは次のように発言しています。
「パラグラフ69
委員会の任務は男女平等と全ての女子差別を撤廃することにあり、差別的な皇位継承法も含まれます。他の締約国についても同様の問題を提起しております。条約のもと、全ての性差別的な法は本委員会と直接関係があるものです。」
CEDAW89セッションにおいては、サウジアラビアも審査対象国でした。同国は1992年に統治基本法(Basic Law of Governance)を制定し、その第五条で「王国の統治は、建国の父アブドルアジーズ・ビン・アブドッラハマーン・アルファイサイル・アールサウードの息子およびその孫に委ねられるものとする。」と定めています。日本とサウジ両国の法で男性の継承を定めていますが、委員会はサウジアラビアへの総括所見(CEDAW/C/SAU/CO/5)の中で、この第5条については触れず、改正を勧告していません。委員会のこの見解はダブルスタンダードではないでしょうか。
我々は、CEDAWの「あらゆる形態の女性差別を撤廃するための必要な措置をとる決意」に賛同し、女性の人権が苦みと差別から護られることを願っています。一方で、国の長い伝統と歴史によって継承、形成された王室や皇室は「性差別」とは全く関係ないものです。国連の条約体委員会が干渉すべき問題ではないことを、大多数の日本人を代弁して我々はここに明確にお伝えします。
従って、我々はCEDAWが日本の皇室典範に関係する勧告を総括所見から削除することを強く要請いたします。
以上