映画「主戦場」上映禁止を求める要請として以下のメッセージを関係各所に送りました。
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令和2年( 2020年)6月
発信: 藤岡信勝(元東京大学教授)
藤木俊一(会社経営、ジャーナリスト)
山本優美子(Japanese Women for Justice and Peace代表)
宛先: 関係者の皆様(映画「主戦場」の上映を予定している又は過去に上映した大学・施設など)
主題: 映画「主戦場」の上映禁止を求める要請
1. 要請
私たちは、映画「主戦場」の上映を予定または検討している皆様に映画を上映しないよう要請します。既に上映した皆様には、二度と上映しないよう要請します。
2. 被害者
私たちは、出崎幹根氏が学術研究を装って作成・監督した映画「主戦場Shusenjo— The Main Battleground of the Comfort Women Issue」の被害者です。彼の実態は詐欺師だったのです。私たちは、彼を信義則違反と詐欺行為と人権侵害で裁判所に訴えています。
被害者は私たちだけではありません。櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、国家基本問題研究所代表)、杉田水脈氏(衆議院議員)、加瀬英明氏(外交評論家)、ケント・ギルバート氏(ジャーナリスト、米国加州弁護士)、トニー・マラーノ氏(ジャーナリスト)も同映画の被害者で、合計8名います。
3. 経緯
3.1. 出崎氏は上智大学の大学院生だったとき、いわゆる「慰安婦問題」を卒業プロジェクトとして研究していました。2016年5月~2017年2月にかけて、彼は私たち8名の意見を聞くために、個別にインタビューを要請しました。そのとき、インタビューの撮影も要請しました。
3.2. その際、出崎氏が私たちに説明した卒業プロジェクトの内容はほぼ同じで、山本優美子宛のメールは以下のとおりです。
「大学院生として、私には、インタビューさせて頂く方々を、尊敬と公平さをもって紹介する倫理的義務があります。」
「これは学術研究でもあるため、一定の学術的基準と許容点を満たさなければならず、偏ったジャーナリズム的なものになることはありません。」
「よって、公正性かつ中立性を守りながら、今回のドキュメンタリーを作成し、卒業プロジェクトとして大学に提出する予定です。」
3.3. 出崎氏による要請の骨子は、(1)倫理的義務を果たす、(2)学術的基準を満たす、(3)公正性と中立性を保持するドキュメンタリーを作成し、および(4)卒業プロジェクトとして大学に提出する、でした。彼の説明を額面どおりに受け止めた私たちは、要請に賛同しました。
3.4. インタビューと撮影は上智大学の教室などで行われ、出崎氏は卒業プロジェクトチームの大学院生と一緒でした。彼は上智大学の校章の名刺を持ち、上智大学のレターヘッドの便箋を使っていました。その際、撮影に同意する書面が用意され、私たちは、その同意書に署名しました。私たちの何人かは著名なジャーナリストであるにも関わらず、彼のために無償でインタビューを受諾しました。
4. 商業映画作成と上映
インタビュー以来2年ほど、出崎氏から私たちへの連絡はありませんでした。ところが、2018年9月、出崎氏は自分が監督・製作した映画「主戦場」を10月に韓国の釜山映画祭で上映するとのメールを私たちに送ってきました。2019年2月には、4月から日本各地の映画館で入場料を取り、映画を一般公開するとのメールを送ってきました。卒業プロジェクトを学術研究の発表だと信じていた私たちにとって、この通知は青天の霹靂でした。
5. 信義則違反と詐欺行為の事例
5.1. 出崎氏は映画公式サイトのDirector’s Notesで「Being a male, Japanese-American director allowed me access to interview Japanese nationalists, who regarded me as an unbiased, Japanese, rational male.(私が日系米国人男性の監督だったので、日本のナショナリストたちは偏りのない日本の理性的な男性として私の取材を受け入れました。)」と記述しています。さらに彼は映画の中で私たちをナショナリストと呼んでいます。インタビュー要請のメールにもインタビュー時にも、彼は私たちを国家主義者とか国粋主義者と呼んではいません。また、映画が公開されるまで、藤岡信勝は出崎氏が日系米国人であったことさえ知りませんでした。私たちは監督が日系米国人だからではなく、学生の研究だからインタビューに協力したのです。
5.2. 映画公開後に判明したのは、出崎氏が当初から卒業プロジェクトだけではなく、一般公開する映画を作る意図を持っていたことです。在学中にも関わらずクラウドファンディングを立ち上げて映画用資金を集めていました。また、人を対象とする研究として受けるべき上智大学院の研究倫理審査も受けていませんでした。彼は本来の目的を隠して私たちとのインタビューを済ませたのです。
5.3. 私たちを侮辱しようとする映画のスキームは露骨に挑発的なのです。映画は私たちをまるで犯罪人のように大写しで並べ、私たちを侮辱するテロップを流します。インタビュー場面を意図的に編集し直し、私たちの印象を悪くしています。出崎氏は意図的に、かつ、一方的に、私たちを「ライト・ウィング、リビジョニスト、ナショナリスト、レイシスト、ファシスト、セクシスト」と呼んでいます。
5.4. 上記3.3.段落で述べましたが、私たちへのインタビュー要請時の核心部分(倫理的義務、学術的基準、公正性と中立性や卒業プロジェクト)は、映画のどこにも見られません。
6. 民事訴訟、刑事訴訟と上智大学不正研究調査
6.1. 上映開始後、私たちは出崎氏と配給会社に上映中止を要請しました。彼らが要請を拒否したので、私たちはやむなく裁判に訴えました。現在、私たちは民事訴訟で出崎氏と配給会社に信義則違反に基づく上映停止と損害賠償金を求めています。刑事訴訟では、著作権侵害罪と詐欺罪で告訴が受理され、これから審理が行われます。
6.2. 上智大学に関しては、私たちは出崎氏の指導教授であった中野晃一教授宛てに研究参加同意撤回書を送りました。中野晃一教授は、出崎氏の卒業プロジェクトの責任者であるにも関わらず、撤回書を無視し、大学の研究倫理規定を守ろうとしませんでした。それどころか自ら映画に出演し、映画の宣伝もしています。私たちは上智大学に対し、出崎氏と中野教授の研究不正行為を訴え、調査を申し入れました。現在大学は委員会を立ち上げて調査中です。
7. 言論と表現の自由弾圧に対する反論
7.1. 出崎氏は各地の上映会に監督として登場し、聴衆に対し、私たちの訴訟が、彼の言論と表現の自由を弾圧していると糾弾しています。善意の研究協力者を当初から騙そうとした意図こそ、言論と表現の自由を踏みにじる行為なのです。慰安婦問題を扱う映画が両論を提供するのは当然ですが、その提示手段は公平性や中立性を欠き、学術研究の名に値するものではありません。
7.2. 上智大学大学院の研究倫理規定を無視して作成された映画が上映され続けることは、上智大学の社会的信用の失墜と、学術研究全体への信頼の崩壊へと繋がります。「不当な日本批判を正す学者の会 AACGCJ ( https://aacgcj.org/ )」は、55名の学者連名で「学者の声明:映画『主戦場』 に係る上智大学の研究倫理を問う」を発表しました。
学者の声明:映画『主戦場』に係る上智大学の研究倫理を問う
https://bit.ly/3fDBGjB
Scholars’ Statement: We Question Sophia University’s Academic Integrity regarding the Film Shusenjo
https://bit.ly/3bkr1XL
7.3. 2019年4月の公開以降、映画は日本各地の映画館や公共施設、北米・欧州各地の大学や施設で上映され続けています。現在はコロナウィルスの影響で上映会は止まっています。しかし上映再開は、私たちに対する信義則違反のみならず、真理を探求する研究者や一般大衆を一方的に洗脳する悪質な手段になります。この映画こそ、言論と表現の自由を冒涜するものなのです。上映を許してはなりません。
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<参考>
JAPAN Forward Earl Kinmonth June 4, 2020
Court Battle Over Comfort Women Film Taints Japanese University’s Research Ethics Record
https://japan-forward.com/court-battle-over-comfort-women-film-taints-japanese-universitys-research-ethics-record/
なでしこアクション
Shusenjo— The Main Battleground of the Comfort Women Issue (film)
http://nadesiko-action.org/?p=14416
映画『主戦場』について
http://nadesiko-action.org/?p=14441
なでしこアクション
About Unfair and Biased Film “SHUSENJYO : The Main Battleground of The Comfort Women”
http://nadesiko-action.org/?p=13506
不公正で偏向に満ちた映画 「主戦場」について
http://nadesiko-action.org/?p=13505
Letter to Pope Francis November 20, 2019
https://bit.ly/35a3F5m
ローマ教皇への感謝と嘆願の手紙
https://bit.ly/35RSLBN
JAPAN Foward July 4, 2019
YouTuber Resorts to Misrepresentation in Making Documentary on Comfort Women Issue
http://japan-forward.com/youtuber-resorts-to-misrepresentation-in-making-documentary-on-comfort-women-issue/
Monthly Hanada Plus 2019.07.09
A Nasty Trick ‘The Main Battleground of The Comfort Women Issue’
https://hanada-plus.jp/posts/2166