野々村直通(ののむら・なおみち)氏といえば、元高校野球監督としてご存知の方も多いと思います。
実は、野々村氏は平成26年(2014年)以来『島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める請願書』の請願者の一人です。
請願は8回続けて不採択となりましたが、島根県の有志の方々は諦めずに令和2年9月に9回目の請願に挑戦します。
令和2年2月の県議会で成相議員が読み上げた野々村氏からの「慰安婦意見書」撤回を訴えるメッセージをご紹介します。
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< 令和2年2月議会 成相議員が紹介した請願者 野々村直通氏のメッセージ >
私、野々村は、8年前の2012年に定年退職に伴い、野球部の監督を退任いたしました。
私の半生は、まさに野球を通じた高校生の育成をみずからの生きがいとして、誇りとして突き進んできたものでした。
その私を理解し支えてくださったのは学校や同僚であり、保護者の皆さんや地域の方々でした。
また、家庭においても多くの負担を引き受けてくれた家族の存在が支えてくれたことは言うまでもありません。
長年の教師生活では、私自身、さまざまな紆余曲折もあり、挫折やトラブルも数多くありましたが、今から思えば貴重な経験であったように思えることが、全力投球で歩んできた結果であると自負しておるところです。
生徒の成長をこの目で見ていくことに大きな驚きや喜びを感じる、充実した毎日でありました。
しかし、平和な時代だからこそ享受することができる恵まれた生活環境があるということ、私自身がそのことに改めて感謝していかなければならないという思いが日に日に強くなり、同時に、その感謝の気持ちを生徒たちに伝えていかなければ真の教育になり得ないのではないのかという気持ちが私の中で大きくなっていきました。
というのも、以前から全国的に学校が荒れていた時代であったことなどもあり、私もそういった生徒と接したときに正面からぶつかっていった経験が、その気づきとなった一つの要因であると考えています。
そういったこともあり、広島県呉市江田島の海上自衛隊の教育参考館の見学を合宿に取り入れたのは平成13年からでした。
江田島での合宿で、生徒たちは確実に変わっていったのでした。生徒たちは、特攻隊員の遺書から、国を愛することや家族を愛するとうとさを学び、大義のためには凛として命を投げ出す潔さに魂を揺さぶられたのでした。
部活動や勉学に取り組む姿勢も、おのずと違ってきました。
当然、他者に対する姿勢や思いやりといったものも備わっていき、見違えるように成長してくれました。
それは、戦没者の方々の遺書に残された言葉や筆跡のたまものであったことは言うまでもありません。
戦没者の方々には、今の時代を批判する言葉は当然持ち得ることはできません。
しかし、今の時代に人としてあるべき指針を確かに示してくださる言葉があるのです。
さきの大戦において、我が国の戦死者、行方不明者はおよそ200万、民間の死亡者は100万人でした。
その中で、いわゆる特攻作戦での戦死者は、海軍、陸軍合わせて4,000名です。
特攻作戦以外の多くの兵士たちは、武器弾薬はおろか、食糧にも事欠くありさまで、後方からの支援も絶望的な中、まともな戦闘さえすることも、異国の地で果てていったのが現実です。
戦争というものがいかにおろかで恐ろしいものであるか、二度と繰り返してはならないということは言うまでもありません。
今を生きる私たちは、謙虚な気持ちで歴史に向き合い、教訓を得ていかなければなりません。
しかし、悲しいかな、教訓というものは、喜びよりも悲しみの中から得られることが多いのも現実であり、悲しみが大きいからこそ、より多くの教訓を得なければならないことも事実です。
多くの戦没者のこういった遺書に身近に触れるには、「きけ わだつみのこえ」が適切であると思われます。
団塊の世代の方々であれば御存じの方が多い、有名な書籍です。
この書籍は、編集段階において、日本精神主義的、戦争謳歌に近いような短文は注意深く除かれ、一部には歪曲、改ざん、誤読もあり、反戦、厭戦に塗り潰された編集が行われたとの指摘があります。
しかし、私はそのように否定的に捉えるのではなく、戦死者の真実の声として捉えたい思いであります。
私は最近、こういった本を手にとるたびに思うことがあります。
それは、死者に民主主義はないのかということであります。
当然、死者には選挙権はありません。
しかし、今日において明確な指針や生きていく上での重要な教訓を与えてくださる死者の民主主義を考えなくてよいとは思いません。
私は一人の教育者として、このことは重要な視点であると思います。
政治においても、この視点は大変重要なことではないでしょうか。
繰り返すようですが、死者からの教訓には、人が人間らしく生きていくための指針が数多くあります。
そこには、どんな小説や映画にもない、真実の言葉があります。
戦場で極限の状態でありながらもなお他者を思いやる気持ちが感じられる遺書に、どんな形であれ異論を挟む行為は、私は許せません。
戦争という異常な状況の中、あすをも知れぬ兵士の俸給を目当てに春をひさぐ貧しい女性たち、女性たちはまたそれが生きていくよすがとするのであるのならば、今の時代を生きる我々が今の価値観で裁くことは果たして正しいと言えるのでしょうか。
例えば、韓国で日本に対して最も手厳しい挺身対策協議会という団体があります。
慰安婦問題で我が国を糾弾している団体です。
この団体について、「反日種族主義」に興味ある記述があります。
1990年11月、挺身対策協議会が結成されました。メーンメンバーは、70年以来、キーセン観光を告発批判してきた女性連合と、慰安婦問題を研究してきた梨花女子大の教授であるというものです。
ほんの20年くらい前の2000年代前半ごろまで、韓国へ買春旅行がはやっていた時代がありました。
日本からも、観光がてらにそういった目的で少なからぬ男性が訪れていた事実があります。
韓国で反日団体の急先鋒と言われる挺身対策協議会ができたきっかけは、こういったいわゆるキーセン観光だったというのです。
このような実態の一要因が、当時の日韓の経済的な格差にもあったとしたならば、挺身対策協議会の反日の動機も理解できる余地はあります。
そうであるならば、反省するべきは、その観光旅行に赴いた当事者であり、そのような買春旅行を許していた当時の両国の社会的風潮です。
戦時下のそれとは全く質の異なる事案であり、恥ずべきこととして、決して同列に置いてはならないものです。
繰り返しますが、戦没者の方々に今の時代を批判する言葉を持ち得ることはできないのです。
私には、時代の波に翻弄された生と死のはざまで慰め合ったであろう兵士たちや慰安婦たちを批判する言葉は見つかりません。
むしろ、生きることの極限にいた彼らにこそ、私たちが直視するべき人間の本質があらわれていたと思うのです。
ましてや、戦没者の実態は、そのほとんどが飢えと病に侵され、なすすべもなく、紛れもない悲劇の中で死んでいかれました。
彼らの言葉こそ、現代を生きる私たちの心に刻み込まなければならないと思います。
今の平和な時代を生きる私たちは、謙虚な気持ちで戦没者の苦悩を想起しなければ、真の平和などおぼつかないのではないでしょうか。
どのような形であれ、歴史認識をゆがめることは、近隣諸国と正常な関係性をゆがめてしまうのです。
今回の請願書でも触れましたが、グレンデール市の母親からの手紙を読むと、悲痛なメッセージが込められています。
現地の母親たち、子どもたちが置かれている苦境の要因は、我が島根県議会にもあるということです。
そして、それは戦死者にいわれなき汚名を着せることになり、将来の日本人全てをおとしめることになるのです。
県議会で決議されたいわれなきこの意見書を撤回し、本請願を採択していただくよう心からお願いいたします。
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< 野々村直通 (ののむら なおみち) プロフィール >
1951年島根県雲南市生まれ。広島大学卒業後、広島の公立学校・府中東高校に赴任し、6年目の79年春に選抜出場に導く。
86年に松江第一(現・開星)高校に美術教師として赴任し、88年硬式野球部創設に伴い初代監督に赴任する。
創部6年目の93年に甲子園出場を果たすと、以後チームを春2回、夏7回の甲子園へと導く。
2010年センバツでの「末代までの恥」発言で監督を辞任したが、約8,000人の監督復帰嘆願の署名が集まり、翌11年4月から監督に復帰。
同年夏の甲子園では復活勝利を挙げ、優勝した日大三高を最後まで苦しめた。
2012年3月、定年退職のため監督を退任、現在は画家・教育評論家として活動している。
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< 島根県議会 資料 >
島根県議会 令和2年2月定例会(第10日目)議事録
https://www.pref.shimane.dbsr.jp/index.php/1284536?Template=document&VoiceType=All&DocumentID=2033#one
※ 19 : ◯成相安信議員 請願者野々村氏の意見紹介
島根県議会 令和2年2月定例会 3月17日 本会議 録画映像
https://shimane-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=717
※ 成相 安信 議員 答弁 1時間36分33秒~ 請願者野々村氏の意見紹介
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< 島根県有志の取り組み なでしこアクションブログより >
2020年8月4日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める8回目請願不採択、9回目請願へ
http://nadesiko-action.org/?p=14682
2020年3月24日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める7回目の請願
http://nadesiko-action.org/?p=14391
2014年12月31日付
竹島を領有する島根県議会がこのままで良いのでしょうか?
http://nadesiko-action.org/?p=7752
2014年9月29日付
日本を愛する島根女性の会「朝日新聞の大誤報を起因とする「河野談話」の即時撤回を要求する県民大会」
http://nadesiko-action.org/?p=7140
2014年6月23日付
日本を愛する島根女性の会から県議会議長宛て抗議文
http://nadesiko-action.org/?p=6582
2014年6月5日付
島根県議会「慰安婦」可決の説明を ネット署名3600人、提出へ
http://nadesiko-action.org/?p=6528
2014年4月13日付
竹島奪還を目指す島根県議会がなぜ「慰安婦意見書」?県議会議長に説明を求めます!
http://nadesiko-action.org/?p=6265
2014年1月14日付
カルフォルニアの母の会が島根県議会に抗議!
http://nadesiko-action.org/?p=5600
2013年12月12日付
島根県から報告「議長の椅子取りゲームに慰安婦問題を利用するのは許せない」
http://nadesiko-action.org/?p=5440
2013年10月4日付
「島根県議会の歴史認識をただす 島根県民の会」から活動予定お知らせ
http://nadesiko-action.org/?p=5033
2013年9月9日付
島根県民が「慰安婦意見書」撤回に立ち上がった!
http://nadesiko-action.org/?page_id=4791
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< 地方議会の慰安婦意見書について なでしこアクションブログより >
ねつ造慰安婦問題解決に向けて地方議会の意見書・決議・請願・陳情まとめ
http://nadesiko-action.org/?page_id=7180
地方議会の慰安婦意見書
http://nadesiko-action.org/?page_id=2
左派市民団体と国連のマッチポンプ
http://nadesiko-action.org/?page_id=7