Category Archives: 資料

国連 女子差別撤廃委員会89セッション-対日本審査会 活動の記録と関連資料

アクセスカウンター

2024年10月7日~25日、ジュネーブ国連にて女子差別撤廃委員会89セッションが行われ、8年ぶりに対日本審査会も行われました。山本優美子もNGO(なでしこアクション代表 兼 国際歴史論戦研究所所長 兼 新しい歴史教科書をつくる会国連担当)として参加し、協力関係にあるいくつかの団体と共に現地で活動してまいりました。その活動記録と関連資料を以下に纏めます。

*******************************************************
2024年10月14日(月)13:00~15:00
“Informal public meeting with NGOs” (ROOM XXIII)

女子差別撤廃委員会の委員とNGOの会合。翌日からの審査対象国となるChile, Canada, Japan, Cuba, BeninについてNGOに発言時間が与えられた。1か国について10分間で、多くのNGOが発言するため一団体(NGO)の時間は厳密に決められた。日本の場合は、ごく一部のNGOが数分を確保し、他が数十秒という不均衡な振り分けとなった。

↓UN WEB TV より 日本についてのNGO発言

日本に関するNGO発言をした12団体のうち、協力関係にあった四団体のNGO発言は以下のとおり

1. 特定失踪者家族会 「北朝鮮拉致問題」
【発言(ビデオ)】My younger sister disappeared suddenly when she was 18. Then, more than 20 years later, I found out North Korea had abducted her. My sister is now 69, I would like to see her while we are alive. The Japanese government must rescue all abductees immediately.
Thank you.

2. Association to Preserve the Family Bond 「夫婦別姓反対」
【発言】We strongly object to separate surnames after marriages. Under such a system, family unity and bonds can be easily destroyed, and negative impact on children can be monumental. A survey conducted by Japanese government shows almost 70% of all respondents want it to remain l as it is.
Further, since the Japanese family registration system is based on family names and provides quite a few functions, the use of dual surnames can lead the nation to chaos.

3. 皇統を守る国民連合会 「皇室典範問題」
【発言】The Tenno of Japan is a ritual master. The Catholic Church’s Pope, the Islamic clergy, and the Dalai Lama of Tibetan Buddhism are all exclusively male, yet the United Nations does not call this gender discrimination. Why only about Japan? There are various ethnic groups and beliefs in the world, and they should all be respected. Interfering in the internal affairs should not be allowed.

4. Global Alliance for Anti-Discrimination (GAAD)「子ども家庭問題」
【発言】In Japan, more than half of children lose one parent when their biological parents divorce in reality. Article5(b) [~common responsibility of men and women in the upbringing and development of their children~] is violated. Fake abuse and DV is rampant for child support disputes. The key is transparency of courts and police.
Thank you.

他のNGOから「慰安婦は性奴隷制である」という発言があったため、翌日15日に書面にて反論を、また「夫婦別姓反対」と「北朝鮮による拉致問題」についても追加意見書を委員会に提出した。

*****************************************************
10月16日(水)13:45~14:45
”JAPAN Private lunch briefing” (ROOM XXIII)

14日会合のNGO発言を受けて、委員がNGOに質問する非公開会合。この日は日本の審査に関するNGOが対象。14日に発言出来なかった15団体に対し、特別に各1分の発言時間が与えられた。そのうち協力関係にある「国際キャリア支援協会」と「新たしい歴史教科書をつくる会」の発言は以下の通り。

国際キャリア支援協会 「NGOの問題について」
【発言】We appreciate committee members, taking your precious time to engage with us during such a busy period.
This is Shunichi FUJIKI of International Career Support Association.
I regret that some NGOs attempt to politically exploit this committee or provide false information to the committee under the influence of foreign governments and entities.
Some of these groups disguise themselves as NGOs, foreign entities masquerade under the committee’s name, and others falsely claim to represent the consensus of all Japanese lawyers.
In fact, it was very groups that invited special rapporteur Ms. Bukkio to Japan outside her mandate, gave her false information, and even arranged press conference. This eventually led her to retract her statements and the UN had to apologize to the Japanese government.
Yet, the very same NGOs involved in this manipulation are presented here today.
To the honorable committee members, I would like to remind you that every coin has two sides. I ask that you carefully consider both perspectives when making your decisions.
Thank you for your attention.

新しい歴史教科書をつくる会 「慰安婦問題」
【発言】What are the “comfort women”? We’ve held “the International Symposiums” in Japan and ROK. The professors from Harvard, Seoul and Tokyo University denied that the “comfort women are sex slaves”.
The facts they indicated are as follows;
“Comfort women system was licensed prostitution under indentured contracts agreed by their parents. They worked at private brothels. (They were) well-paid, quit before the terms and went back home.”
Yes, it was very unfortunate that these ladies had to engage in such an occupation because of poverty. But please do not be influenced by an unsubstantiated view and keep criticizing my country. We request CEDAW to consider the historical facts, and not to include this issue in concluding observations.
Thank you.

発言後、委員から慰安婦問題に関して「教育・教科書、他条約体委員会での扱い、各国の慰安婦」についてがあったので、同日中に書面にて回答。

*****************************************************
10月17日(木)
10:00 -13:00 /15:00-17:00 (Room Tempus)対日本審査会

女子差別撤廃条約を締結した国は定期的に履行状況を審査される。本会議では日本政府第9回報告書(CEDAW/C/JPN/9)の内容について審査された。会議は、委員から質問~日本政府代表団が回答~委員会から追加質問という形で進行する。NGOは傍聴参加。

委員はNGOから事前に提出された意見書、14日・16日会合でのNGOの意見を参考に質問する。

会期後に日本政府に対する総括所見(concluding observations)が発表された。その中で委員会から勧告が述べられている。

以下、当日の答弁から「慰安婦問題」、「夫婦別姓問題」、「皇室典範問題」を抜粋して記す。委員の日本語訳は通訳からの文字起こし。

CEDAW 2104th Meeting(10-13時)

「慰安婦問題」
1時間11分
【質問】Ms. Nahla Haidar (Lebanon)
慰安婦問題について質問します。

1時間21分
【回答】 外務省
女子差別撤廃条約は我が国がこの条約を締結する以前に生じた問題に対して遡って適応されない為、慰安婦問題を本条約の実施状況の報告において取り上げることは適切でない、というのが我が国の基本的な考えでございます。その上であえて貴委員会の参考として我が国の取り組みについて述べることといたします。
先の大戦に関わる賠償並びに財産及び請求権の問題について、日本政府はサンフランシスコ平和条約及びその他二国間条約などに従って、誠実に対応してきており、これらの条約などの当事国の間では個人の請求権の問題を含めて法的に解決している。
その上で日本政府は元慰安婦の方々の名誉回復と救済措置を積極的に履行しており、日本国民と日本政府の協力のもと、元慰安婦の方々に対する償いや救済事業などを行うことを目的として設立されたアジア女性基金を通じて償い金及び医療福祉支援事業を実施し、当時の内閣総理大臣もお詫びと反省を表明した手紙を元慰安婦の方がたに直接お渡しするなど、慰安婦問題に誠実に対応してまいりました。
アジア女性基金が2007年3月に解散した後は、同基金の行ってきた事業を適切にフォローアップすることを目的として2008年度から韓国、台湾、フィリピン、Indonesiaにおいてアジア女性基金フォローアップ事業を実施いたしました。具体的には、たとえば韓国、台湾、フィリピンにおいては、各国地域に在留する元慰安婦の方々と面会し、生活および福祉の面で直接的な支援としてたとえば日用品などを渡すとともに元慰安婦の方々に寄り添って聞くなどカウンセリングを行ってまいりました。
そして2015年12月の日韓外相会談における合意に基づき、2016年8月日本政府は韓国政府が設立した若い癒し財団に対し10億円の支出を行いました。和解癒し財団はこれまで合意の時点でご存命だった47人の方々のうち35人に対し、またお亡くなりになっていた方々199人のうち65人のご遺族に対し資金を供給しており、多くの元慰安婦の方々から評価を得ております。
我が国は2015年12月の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意のもとで約束したことを全て実施しており、引き続き韓国側に求めていく考えでございます。

1時間38分26秒
【質問】Ms. Bandana Rana (Nepal)
慰安婦の問題に立ち返りますけれども、先ほどの回答におきまして、代表団の皆様はこれはCEDAWとは関係はないとおっしゃいました。というのも遡及的に適応することは出来ないからというようなご説明をいただきました。しかしながら女性に対するインパクト、サバイバーに対するインパクトというのは引き続きあります。そういった文脈の元、委員会は懸念を覚えております。私といたしましては、日本がもちろん努力をしてこれられているとことは理解しています。たとえば補償をしているであるとか、財産上の対応をしておられるとか、素晴らしいステップを踏んでおられます。しかしながらこういったステップについて更に活性化していく必要があると考えております。つまりこういった措置、対策がどのように持続可能になっていて強化することができるのか、しっかりと権利を行使することが犠牲者は出来るのかという点についてはいかがでしょうか。

2時間1分
【回答】 外務省
先ほどもご説明申し上げた通り、日本政府は元慰安婦の方々の名誉回復と救済措置を積極的に講じており、アジア女性基金のフォローアップ事業、韓国が設立した和解癒し財団への支出を通じて誠実に対応してきております。
更に日本政府としては、慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識しております。
2015年8月14日の内閣総理大臣談話に述べられている通り、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしていくとの決意があり、国連女性機関、紛争下の性的暴力担当国際連合事務総長特別代表事務所 紛争関連の性的紛争生存者のためのグローバル基金が実施する各事業基金に支援するとともに諸外国政策の柱の一つとして女性平和安全保障WPSに取り組むなど、傷ついている紛争間性的暴力被害者の救済やそのような暴力の防止のための啓発活動を積極的に行っているところでございます。

CEDAW 2105th Meeting (13-17時)

「夫婦別姓問題」
1時間33分
【質問】Ms. Yamila González Ferrer(Cuba)
まず家族関係についてです。結婚における平等についてです。以前、委員会が締約国に対してなした勧告に関連して質問させていただきます。まず民法第750条におきましては結婚に際し夫婦同姓でなければならないという規定がございます。その文言自体は性別に中立的なんですが、女性の94.7%が夫の姓へと変更します。これは社会的な圧力によるものだと思いますが、これによって女性のアイデンティティ、プロフェッショナル・ライフ、雇用に負の影響が出ています。こういった、この第五次男女共同基本計画の中で、その調査がされたということですが、それにはジェンダー視点が含まれていたんでしょうか。また、今後、日本の家族法を改定し、そしてこの結婚の際に姓を選ばなければいけないということではなく、そこに自由を与えるというようなことは考えていないのでしょうか。つまり夫婦別姓制度ということは検討されていないのでしょうか。

1時間43分
【回答】法務省
夫婦の氏につきまして、夫婦同姓氏の関係の規定につきましての問いがありましたのでお答えいたします。選択的夫婦別氏制度の導入については、直近の2021年の世論調査の結果をみても国民の意見が分かれているところであります。選択的夫婦別氏制度を導入するかどうかについては、社会全体における家族のあり方にも関わる問題であることから、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えております。そのため政府としては、ホームページなどで情報提供を通じて国民や国会での議論が深まるように取り組んでおります。

「皇室典範問題」
1時間36分50秒
【質問】Ms. Yamila González Ferrer(Cuba)
憲法第一条において天皇というのが日本の象徴であり、日本国民をユナイトするものであると記載があります。
こちらの法律の宗教面また文化的文脈については既に締約国から報告がありますが、この女性差別撤廃条約で保障されている平等の原則に基づき、憲法そして並びに条約で求められる男女の平等を是非確保するための法改正などについて検討されることをお願いいたします。

1時間46分10秒
【回答】内閣官房
我が国の皇室制度も諸外国の王室制度もそれぞれの国の歴史と伝統を背景に国民の支持を得て今日にいたっているものでございます。皇室典範に定める我が国の皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項でございます。
女性に対する差別の撤廃を目的とする本条約の趣旨に照らし、委員会が我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではない、ということを申し上げて答えといたします。

1時間47分57秒
【意見】Ms. Ana Peláez Narváez (Chair委員長兼議長)
委員会としましては、キャパシティーまたはその欠如についてのコメント、つまり委員会が関連した質問をするのは適当でないと男女の平等について特に関連した場合に、皇位継承に関してのその男女平等というところで委員会として質問をしております。これは日本だけでなくすべてのそのような差別的な法律がある国に対しては同様の質問をしております。私自身の国、スペインもそのうちの一つです。従ってこのトピックは直接的に関係のあるものCEDAWに関係のあるものとだと申し上げたいと思います。従ってこの文脈の中での質問ですし、委員会として適切な質問だというふうに思っております。

*******************************************************

【 委員に配布したチラシ 】

「北朝鮮による拉致問題」
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/cedaw89-family-association.pdf

「夫婦別姓反対」
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/cedaw89-surname.pdf

「慰安婦問題」
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/cedaw89-comfort-women.pdf

*******************************************************

【 事前に女子差別撤廃委員会89セッションに向けて提出したNGO意見書 】
全部で44の意見書が提出されたが、なでしこアクションの関係団体、協力団体が提出したものが以下。カッコ内は意見書の趣旨。

特定失踪者家族会 (北朝鮮による拉致問題 特に若い女性の拉致被害者について)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/Family-Association-of-the-Missing-Persons-Probably-Related-to-the-DPRK.pdf

Association to Preserve the Family Bond(夫婦別姓反対)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/Association-to-Preserve-the-Family-Bond.pdf

Family Values Society (夫婦別姓反対)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/Family-Values-Society.pdf

韓国国史教科書研究所 (正義連の意見書に反論し、慰安婦は性奴隷ではない)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/Korean-History-Textbook-Research-Institute.pdf

新しい歴史教科書をつくる会 (慰安婦問題)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/Japan-Society-for-History-Textbook.pdf

国際歴史論戦研究所 (皇室典範 男系男子の正当性)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/International-Research-Institute-of-Controversial-Histories-iRICH.pdf

皇統を守る国民連合の会 (皇室典範 男系男子の正当性)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/PAPIL.pdf

国際キャリア支援協会 (性同一性障害トイレ使用についての最高裁判決)
hthttp://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/International-Career-Support-Association.pdf

Citizens’ Group for Deliberation of the Japanese Constitutional Issues (選択議定書は日本には不要)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/Citizens’-Group-for-Deliberation-of-the-Japanese-Constitutional-Issues-CGDJCI.pdf

Global Alliance for Anti-Discrimination (GAAD) (子どもと家庭問題)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/10/Global-Alliance-for-Anti-Discrimination-GAAD.pdf

*******************************************************

【 資料 UN WEB TV 】
国連で行われている会議の生放送アーカイブ。通訳の言語が選択できる。

14 Oct 2024
Informal meeting with non-governmental organizations and human rights institutions
2099th Meeting

17 Oct 2024
89th Session, Committee on the Elimination of Discrimination against Women (CEDAW)
対日本審査会
2104th Meeting(10-13時)

2105th Meeting (13-17時)

【 資料 参考サイト 】

UN Treaty Bodies Committee on the Elimination of Discrimination against Women
https://www.ohchr.org/en/treaty-bodies/cedaw

女子差別撤廃委員会 委員
https://www.ohchr.org/en/treaty-bodies/cedaw/membership

CEDAW – Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women 89 Session (07 Oct 2024 – 25 Oct 2024)
General Documentation
https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/SessionDetails1.aspx?SessionID=2715

CEDAW89 対日審査の後に委員会が発表した最終見解(総括所見)
女子差別撤廃条約第9回報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解
英語版 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100752116.pdf
仮訳 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100762773.pdf

女子差別撤廃条約第9回報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解に対する日本の意見(皇室典範に関して)
英語版 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100773592.pdf
仮訳 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100773591.pdf

外務省 女子差別撤廃条約
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/index.html

産経新聞 サンデー正論 2024/11/24
国連で戦っている民間人たち 「捏造で日本が潰される」
https://www.sankei.com/article/20241124-7JARK6GW4BL2JDQSDLZIDBZ2H4/

産経ウェブ 2016/7/25
男系男子は女性差別ですか? 国連を利用して皇室典範改悪を目論む勢力はまだ蠢いています
https://www.sankei.com/article/20160725-BTXF4YBNFVP6RHDLA2Q6NASBEQ/

島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める24・25回目請願不採択

アクセスカウンター

島根県議会が平成25年(2013年)6月26日 に可決した『日本軍「慰安婦」問題への誠実な対応を求める意見書』は、河野談話、米国下院決議121、国連人権委員会勧告を受け入れて日本政府に対応を求めるものでした。

この意見書の撤回にむけて、島根県の有志が署名、抗議文、集会など様々な取組を行ってきました。
「島根県有志の取り組み なでしこアクションブログより」参照

令和6(2024)年6月定例会に意見書撤回を求める24回目の請願、9月定例会に25回目の請願を提出しましたが不採択となりました。

2024年9月定例会、10月9日の本会議での成相 安信 議員 討論 はこちらでご覧になれます。
42分50秒~  成相 安信 議員 討論
https://shimane-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1306

<成相議員が読み上げた反対討論より>

先般の総務委員会で、私共の請願書の内容に触れることなく、不採択の提案がされ決議されたと聞きました。理由は昨年の9月議会で決議された「未来志向の日韓関係構築に関する意見書」であるとのことです。

しかし昨年9月議会でも指摘しましたが、この意見書には明らかな誤りが2点あります。
一点目は、本来は国において行われるべき議論を、島根県議会が間違った解釈に基づき決議をしたこと。

もう一点は、国は慰安婦問題における性奴隷説・強制連行説といった事実は認められないとしているにもかかわらず、意見書では「日本政府の責任において、慰安婦問題に係る政府見解を明確に示すこと。」としています。

また、平成 25 年 6 月 26 日に島根県議会が採択された問題の請願書には、「政府は河野談話によって強制連行を認めた」とあり「日本軍「慰安婦」問題が性奴隷制の問題である」と明らかな「虚偽」が記載されています。

平成26年に内閣官房と外務省を事務局とするチームから出された「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯」と「強制連行や性奴隷」についての外務省の見解を読んで頂ければ「性奴隷制」などないことは明らかです。

その、「性奴隷制」という言葉には御皇室を貶める意図があります。

そこで思い出されるのが2000年12月12日に開催された模擬法廷「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」での最も重要な一コマです。2001年3月号の月刊誌諸君に秦郁彦教授が次のようにその様子を記しています。

【「天皇裕仁は…強かんと性奴隷制についての責任で有罪とする」。マクドナルド裁判長の声が会場に響き渡ると拍手のウェーブが広がり、鳴りやまない。】、そして【この模擬裁判は弁護人も付けず、死者を裁き、有罪判決
に熱狂する会場は、新興宗教の大会そのものである】といった秦教授の感想も記されています。

この模擬裁判の国際実行委員会共同代表の一人である松井やより氏は朝日新聞在籍中、社会部のトップの時代に慰安婦問題を取り上げました。

朝日新聞元論説委員の長岡昇氏は松井氏について「イデオロギーに囚われて、新聞記者としての職業倫理を踏み外した人たち。そういう人たちが慰安婦問題の虚報と混乱をもたらしたのだ」と批判しています。

2005年には故松井やより氏の意志を継承するためNPO法人が設立主体となり「女たちの戦争と平和資料館」が開館し、2013年には新日本婦人の会などと協力して、国連などで日本国政府に慰安婦問題解決を求める国際連帯を呼び掛けています。新日本婦人の会島根県本部は、「性奴隷制」と書かれた平成26年の請願書を島根県議会に出された団体です。

そもそも「性奴隷」という言葉は戸塚悦郎氏という反日弁護士が1992年2月国連人権委員会で、「従軍慰安婦」問題を初めて提起し、慰安婦の呼称として「性奴隷」と規定し、日弁連や国連に使用を働きかけたのです。

このことは戸塚氏自身がミニコミ誌『戦争と性』(第25号2006年5月)の中で誇らしく書いておられますので、間違いないと思います。

戦前の日本に「性奴隷制」があったとすれば「性奴隷」という言葉を改めて規定する必要はなかったはずです。「性奴隷制」という言葉は、明らかに「性奴隷」という言葉の後に生み出されたものであり、そこには新たな目的も生まれたものと解釈して良いのではないでしょうか。それが昭和天皇へのヘイトです。

2019年8月に開催されたあいちトリエンナーレ表現の不自由展では、昭和天皇をヘイトの対象にした複数の作品と慰安婦像などで、大きな問題となりました。この表現の不自由展に、2000年の女性国際戦犯法廷を題材とした番組の報道に関与していた元NHKプロデューサーが関わっていたことが問題視されています。

さてここで自民党の綱領をみてみます。2010年綱領は次の書き出しから始まります。
「「我が党は「反共産・社会主義、反独裁・統制的統治」と「日本らしい日本の確立」の2つを目的とし、「政治は国民のもの」との原点に立ち立党された。平成元年のベルリンの壁の崩壊、平成3年のソ連邦の解体は、この目的の一つが達成されたという意味で、我が党の勝利でもあった。」

自民党は綱領で高らかに勝利を宣言しているにもかかわらず、島根県議会の自民党は良心的知識人を自称している反日日本人と同じ砦の中で、根拠なき日本の悪行の告発に同調し、「昭和天皇へのヘイト」に加担していることになるのです。

さて、今年は慰安婦問題について、好ましくない新たな動きもありました。

4月には、日中戦争で旧日本軍による性暴力の被害を受けたとする中国人元慰安婦の遺族が、日本政府に謝罪と損害賠償を求めて中国の裁判所に提訴しました。

「日中関係の新たな火種となる恐れもある」とマスコミは報じています。

8月19日にはNHKのラジオ国際放送で、中国籍の外部スタッフが中国語のニュース番組の中で、英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女等は戦時の性奴隷だった。」と、原稿に無い発言を行いました。

6月には中国・蘇州で、襲われた日本人学校の児童をかばおうとした中国人女性が死亡し、9月18日には中国・深圳の日本人学校に登校中に刃物で襲われ、負傷した10歳の日本人の男子児童が亡くなりました。

これらの事案に直接的な因果関係の確証は無いとしても、因果関係が皆無であると言えるでしょうか。

話は少し変わりますが、令和6年3月20日、「ジャパンズ・ホロコースト」なる本が出版されました。

「ジャパンズ・ホロコースト」は和訳されたものがまだ出版されていませんが、ジャーナリストの大高未貴氏がこれに対抗して「ジャパンズ・ホロコースト解体新書」を、いち早く出版されました。

大高氏は「ジャパンズ・ホロコースト」の概略の一端が見える次のようなアマゾンの紹介文を取り上げています。

「天皇裕仁が自らの軍隊が行った残虐行為を知っていただけでなく、実際にそれを命じたことを示している。(中略)大量殺人、強姦、経済的搾取がこの時期の日本の手口であり、ヒトラーの親衛隊が残虐行為を隠そうとしたのに対し、裕仁の軍隊は残虐行為を熱狂的に公然と行った」

そして、アマゾンの本の推薦文には
「第二次世界大戦のホロコーストに関する議論のほとんどは、ナチス・ドイツが行った残虐行為を中心にしている。大日本帝国によって犯されたホロコーストは、ほとんど研究されておらず、認識すらされていない」

この指摘に対して大高氏は
「日本はホロコーストなど行っていないので、研究も認識もされていないのは当たり前の話」としています。

しかし、悪い予想はあたるもので「ジャパンズ・ホロコースト」の第5章には「南京での強姦」第8章では「グァムでの強姦」第9章では「フィリピン・とマニラでの強姦」そして第13章には「慰安婦:日本の性奴隷文化」
とあります。「性奴隷文化」があったとすれば「性奴隷制」もあったという論理展開は容易に想像できます。

慰安婦問題の本質は国内的には虚構であったとの認識でほぼ解決済みですが、海外の反日勢力によって、慰安婦問題はホロコーストに匹敵するほどの残虐な戦争犯罪に増幅されつつあるのです。

島根県議会はそれに手を貸しているのです。「性奴隷制」を認めることはホロコーストを認めることになります。

以前、こういった意見がありました「特に新たな動きがない以上見直す必要はない」という呆れるものでした。

私たちが無意識のうちに、慰安婦問題という反日勢力が手に入れたプロパガンダは恐ろしい勢いで大きくなっています。そして性奴隷制を認めることは、「ジャパンズ・ホロコースト」に正当性を与えることになるのです。

ありもしない慰安婦強制連行説や性奴隷制説を、私たちが放置してしまえば、若者たちは祖国に誇りを持てません。誇りを持てない祖国に希望など持てるはずもありません。子供を育て、夢を託そうという気持ちさえ奪われてしまいます。反日日本人の目的のひとつはそこにあるのでしょう。

幸いなことに韓国の多くの識者によって、強制連行説・性奴隷説を否定する主張が韓国内でも浸透しつつあります。さまざまな妨害に会いながらも、良識と勇気をもって慰安婦問題の虚構を訴える韓国の方々の良心に島根県議会は応えるべきです。島根県議会は彼らの良心を裏切ってはいけません。

自民党の綱領にある「日本らしい日本の確立」を目指すなら、慰安婦問題において島根県議会が取るべき対応は、自ずと見えてくるはずです。決して反日勢力の策動に同調してはならないのです。

「性奴隷制があった」などという突拍子もない作り話を認めてしまえば、本来は感謝し慰霊をし、そして顕彰すべき戦没者を貶めることになります。

それは「日本らしい日本を放棄した日本」として将来の世代に跳ね返ってくるのです。
今一度、自民党の綱領に書かれている原点に立ち返って考えてみて下さい。

以上

*******************************************************************

【 有志が作成したチラシ 】

島根県議会の「慰安婦意見書」撤回を求めます
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/01/shimane_cw_1.pdf

慰安婦問題への誤解は、日本人の人権に深刻かつ重大な影響を、将来にわたってもたらします
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/01/shimane_cw_2.pdf

島根県議会の慰安婦問題における解釈は、日本政府のそれとは全く違うものです
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/01/shimane_cw_3.pdf

*******************************************************************

【 撤回を求めている意見書 】

島根県議会 平成25年6月26日 可決

日本軍「慰安婦」問題は、女性の人権、人間の尊厳にかかる問題であり、その解決が急がれています。
この問題について、日本政府は 1993 年「河野談話」によって「慰安婦」への旧日本軍の関与を認めて、歴史研究、歴史教育によってこの事実を次世代に引き継ぐと表明しました。
その後、2007 年 7 月には、アメリカ議会下院が「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷にした」として、「謝罪」を求める決議を全会一致で採択したのをはじめ、オランダ、カナダ、フィリピン、韓国、EUなどにおいても同様の決議が採択されているところです。
また、日本政府は、本年 5 月 31 日、国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会より、「公人による事実の否定、否定の繰り返しによって、再び被害者に心的外傷を与える意図に反論すること」を求める勧告を受けるなど、国連自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会、ILO専門家委員会などの国連機関から、繰り返し「慰安婦」問題の解決を促す勧告を受けてきているところでもあります。
このような中、日本政府がこの問題に誠実に対応することが、国際社会に対する我が国の責任であり、誠意ある対応となるものと信じます。そこで政府におかれては以下のことを求めます。
1 日本政府は「河野談話」を踏まえ、その内容を誠実に実行すること。
2 被害女性とされる方々が二次被害を被ることがないよう努め、その名誉と尊厳を守るべく、真摯な対応を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。島根県議会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
内閣官房長官

*******************************************************************

<参考 島根県有志の取り組み なでしこアクションブログより>

2024年3月16日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める23回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=18667

2023年12月22日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める21回目・22回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=18530

2023年7月18日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める20回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=18274

2023年3月26日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める19回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=18001

2023年2月9日付
竹島の日を前に「島根県議会の慰安婦意見書撤回を求める」有志のチラシ
http://nadesiko-action.org/?p=17766

2023年1月15日付
「島根県議会の慰安婦決議の撤回を求めて」有志からの報告書
http://nadesiko-action.org/?p=17728

2023年1月6日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める18回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=17717

2022年11月3日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める17回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=17431

2022年6月24日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める16回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=17064

2022年3月24日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める15回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=16913

2022年1月4日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める14回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=16556

2021年10月26日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める13回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=16437

2021年8月8日
情けない島根県議会 いつまで性奴隷説にしがみつくのか?
http://nadesiko-action.org/?p=16202

2021年7月14日
「慰安婦意見書撤回を求める請願」を拒否し続ける島根県議会
http://nadesiko-action.org/?p=16107

2021年3月25日
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める11回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=15778

2020年12月20日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める10回目請願不採択
http://nadesiko-action.org/?p=15513

2020年10月19日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める9回目請願不採択、10回目請願へ
http://nadesiko-action.org/?p=15192

2020年8月11日付
元高校野球監督 野々村直通氏、島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を訴える
http://nadesiko-action.org/?p=14809

2020年8月4日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める8回目請願不採択、9回目請願へ
http://nadesiko-action.org/?p=14682

2020年3月24日付
島根県議会に「慰安婦意見書」撤回を求める7回目の請願
http://nadesiko-action.org/?p=14391

2014年12月31日付
竹島を領有する島根県議会がこのままで良いのでしょうか?
http://nadesiko-action.org/?p=7752

2014年9月29日付
日本を愛する島根女性の会「朝日新聞の大誤報を起因とする「河野談話」の即時撤回を要求する県民大会」
http://nadesiko-action.org/?p=7140

2014年6月23日付
日本を愛する島根女性の会から県議会議長宛て抗議文
http://nadesiko-action.org/?p=6582

2014年6月5日付
島根県議会「慰安婦」可決の説明を ネット署名3600人、提出へ
http://nadesiko-action.org/?p=6528

2014年4月13日付
竹島奪還を目指す島根県議会がなぜ「慰安婦意見書」?県議会議長に説明を求めます!
http://nadesiko-action.org/?p=6265

2014年1月14日付
カルフォルニアの母の会が島根県議会に抗議!
http://nadesiko-action.org/?p=5600

2013年12月12日付
島根県から報告「議長の椅子取りゲームに慰安婦問題を利用するのは許せない」
http://nadesiko-action.org/?p=5440

2013年10月4日付
「島根県議会の歴史認識をただす 島根県民の会」から活動予定お知らせ
http://nadesiko-action.org/?p=5033

2013年9月9日付
島根県民が「慰安婦意見書」撤回に立ち上がった!
http://nadesiko-action.org/?page_id=4791

*******************************************************************

<参考 地方議会の慰安婦意見書について なでしこアクションブログより>

ねつ造慰安婦問題解決に向けて地方議会の意見書・決議・請願・陳情まとめ
http://nadesiko-action.org/?page_id=7180

地方議会の慰安婦意見書
http://nadesiko-action.org/?page_id=2

左派市民団体と国連のマッチポンプ
http://nadesiko-action.org/?page_id=7

1985年8月12日 日航機墜落事故「勝利なき戦い」に挑んだ自衛隊員たち

アクセスカウンター

なでしこアクション代表山本優美子が、日本航空123便墜落事故について以前産経ウェブに書かせていただいた記事(2016.8.11付)をご紹介します。
産経ウェブ版: https://www.sankei.com/premium/news/160807/prm1608070004-n1.html
この事故については、今なお全く事実無根の馬鹿げた陰謀説が流れているのは大変残念なことです。
私の書いたこの記事は、航空自衛隊の現地指揮官だった父が保管していた資料を基に書きました。もちろん父にも内容を確認してもらった上で発表したものです。ここに書いてあることが真実です。
事故の起こった8月に多くの方に読んでいただきたくここに再掲します。

********************************************************************************

日航機墜落事故「勝利なき戦い」に挑んだ自衛隊員たちの苦悩を忘れてはなりません

8月になると、8月15日の終戦の日や靖国神社参拝が毎年話題になりますが、私が思い出すのは昭和60年(1985年)8月12日に起きた日本航空123便墜落事故です。ヘリコプターから吊るされた自衛隊員が通称・御巣鷹の尾根(群馬県上野村の高天原山)で生存者を引き揚げて救出している映像が印象に残っている方も多いでしょう。あれは陸上自衛隊の写真ですが、航空自衛隊もまた長野県川上村に救難指揮所を設置して活動をしていました。

犠牲者520名、生存者4名。史上最悪の航空機事故に、航空自衛隊は創設以来最大規模の災害派遣出動に踏み切りました。8月12日の事故発生から8月30日の撤収までの18日間は「勝利なき戦い」と呼ばれていました。私の父は当時、入間基地の副司令であり、現地指揮官を務めました。父の保管している当時の資料を見ると、空の守りから陸に降りた航空自衛官の「勝利なき戦い」の様子がよく分かります。

自衛隊のPKO派遣や阪神大震災、東日本大震災での活躍もあり、今では国民の間で自衛隊に対する理解がずいぶん広まりました。共産党幹部が「防衛費は人を殺すための予算」と発言すると非難されるまでになりました。

しかし、昭和60年当時は今のようなインターネットやSNSによる情報はなく、新聞・テレビなどの大手メディアによる情報がすべてでした。その大半は自衛隊バッシングがメディアの正義だと言わんばかりに、まともな防衛知識もないままに自衛隊批判が繰り広げられていました。

事件発生2日後には、ある大手新聞社が「自衛隊に抗議・疑問続々」という見出しで自衛隊の現地到着が遅かったと批判し、それに続いてデマ・放言のようなバッシングが始まったのです。

自衛隊バッシングに熱心な一部メディアは、救難活動の妨げにもなりました。特ダネを求めて軽装で山中に入った記者やカメラマンが脱水症状を起こして陸自のヘリに救助されたこともありました。着陸許可がないのに新聞社やテレビ局のヘリが、救出活動中の現場空域に進入し、2次災害が起きかねない事態も招きました。現場の記者が正確な記事を書いても、冷房の効いた本社にいるデスクに没にされたり、歪められたりして、現場の記者はその都度に自衛隊に弁解したという話も残っています。

では、メディアが批判したように、本当に自衛隊は現場到着が遅かったのでしょうか?

8月12日18時57分、JAL123便がレーダーから消えた4分後の19時01分に百里基地から戦闘機2機が緊急発進し、19時21分には上空から炎を確認しています。

20時33分に羽田空港から災害派遣要請があると、7分後の20時40分には航空自衛隊入間基地から先遣隊30名が出発しました。日付が変わった13日01時10分には同じ入間基地から548名の派遣隊が出発しています。

現地へ急ぐ派遣隊にとって、最初のハプニングは高速道路料金所で起きました。災害派遣で緊急な出動なのだと説明しても料金所の担当者は「料金を払わねば通せない」の一点張り。結局、自衛隊員が立て替え払いしました。急な出動だったので財布を携帯していない隊員も多く、大型車の通行料3200円の支払いに苦労したそうです。

御巣鷹山の事故現場までは40度近い急斜面を歩かねばなりません。背丈以上ある熊笹の藪を切り開き、ロープを伝いながらの移動で3時間以上かかりました。

現場のあまりに無残な様子におう吐する隊員もいましたが、隊員達はみな懸命に働き、「一刻も早く遺族のもとへ」と肉片となった遺体を丁寧に毛布にくるみました。

「遺品はそのままにしておくようにという指示が出されていましたが、熊笹の中に時計などが落ちてると、このまま永久に見つからなかったら遺族は悲しむと思い、目立つ場所まで動かしました」

「悲惨な現場でも尻込みする者はいなかった。作業終了、下山といっても『もっと残ってやりましょう』、『休憩だ』といっても『いや続けましょう』という」

「夜、宿営地に帰った時には、みな作業服が汗でズブ濡れで疲労でおし黙っている。それでも足を怪我した隊員に翌日は『休め』というと『どうしても行かせてください』と必死でいう」

このような現場報告が残っています。18日間の救難活動に派遣された航空自衛隊の隊員は入間・浜松・百里などの各基地から延べ約1万人。怪我で手当てを受けた隊員はいましたが、脱落者はゼロでした。

こうして厳しい任務を終えて戻ってきた隊員を待っていたのは、メディアによる一方的な自衛隊批判でした。隊員はさぞ驚き、落胆したことでしょう。

そんな中、隊員の励みになったのは派遣部隊の前線基地となった長野県南佐久郡川上村のみなさんの協力でした。到着早々、地元の農家の方々が「隊員のみなさんにビタミンを」と大量の高原野菜を差し入れてくれました。汗まみれで帰ってくる隊員に、村の健康センターのお風呂を提供してくれました。体育館を宿舎として提供した川上第二小学校は始業式を2日遅らせてくれ、児童たちは励ましのお手紙を送ってくれました。

「じえいたいのみなさん、とてもつかれたでしょう。じこげんばにいって、ぼろぼろのいたいをみつけて、たいへんでしたね。学校にとまって、毎朝そうじをしてくれてどうもありがとうございます」

「8月22日の昼食をじえいたいのみなさんといっしょにたべさせていただいて、どうもありがとうございます。カレーやサラダとてもおいしかったです。げんばなどにいっていたいをはこんだりしますか。ああいうところでは、しごともきつくてたいへんだと思います。まいにちあついなかごくろうさまです」

川上第二小学校の中澤弘之校長先生(当時)は学校の記録書にこう残しています。

「隊員と児童のふれあい、この大惨事の中で昼食会や激励会がごく自然の形でなされた。隊の救援活動や児童の学校生活に効果的であった。組織体としての自衛隊の規律ある行動、礼節をわきまえた奉仕の精神、子供たちへの思いやり等、児童に多くの教訓を与えた」

あれから31年。自衛隊創設以来の大規模な災害派遣となった日航機墜落事故が残した教訓は果たして生かされているのでしょうか。

救難活動を安全・円滑に実施するために不可欠となる救援機や取材ヘリなどの空中統制は、航空法で十分に規定されているでしょうか。災害派遣車両を料金所で止めるようなことはさすがになくなりましたが、大規模な災害など緊急事態に対応するための法律は、その後の2つの大震災を経て整備されたでしょうか。自治体と防衛省の役割分担・協力体制は充分構築されているのでしょうか。災害派遣された自衛隊員への手当ては充分でしょうか。不幸にも殉職した場合、残された家族に充分な賞じゅつ金は用意されているのでしょうか。

自衛隊の任務は、自衛隊法第3条にあるように「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」であり、災害派遣は主任務ではありません。災害時の自衛隊派遣は当たり前だと思われていますが、派遣中も限られた人員で通常の防衛業務も遂行しているのです。

政府は、もの言わぬ自衛官に「勝利なき戦い」を強いてはいませんか。自衛隊がその能力を充分に発揮できるよう、憲法改正とともに法整備を進め、装備や予算も充実させるべきです。それが、日航機事故で亡くなった520名の犠牲者の霊に報いることにもなると私は信じます。

※写真 「中警団新聞 昭和60年(1985年)9月15日」より

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

18

19

20

21

22

韓国MBCニュース報道~ベルリン慰安婦像・独島(2024.8.14-15)

アクセスカウンター

2024年8月の韓国 MBCニュースから、ベルリン慰安婦像についての報道と独島についての報道をご紹介します。独島についての報道には、7月10日東京で開催した国際シンポジウムについても触れられています。日本語は松木國俊氏(国際歴史論戦研究所 上席研究員)によるものです。

********************************************************

ベルリン慰安婦像 関連報道
国力尽き歴史消す日本‥また撤去危機少女像(2024.08.15/ニュースデスク/MBC)

レポーター:
ベルリン市からミッテ区に設置された少女像撤去を通告された。日本政府から強い圧迫があったことが疑われている。歴史を消そうとする日本を見逃すわけにはいかない。少女像を守ろうと言う集会が、現地でドイツ、日本、英国など多様な国からの参加も含めて200人以上が集まって開催された。

ベルリン市議会左派議員:
最初は日本人の名でさらに偽のドイツ人の名前で「少女像を撤去せよ」とのメールがたくさん届いた。

アナウンサー:
5月にベルリン市長が日本に行った時に撤去を示唆し、7月に岸田総理がドイツ訪問時に撤去が公式化した。日本は国家をあげて歴史を消し去ろうとしている。

現地日本人:
実際日本政府が少女像撤去に関して圧迫を加えるために多くの金を使っている。日本人として恥ずかしい。

アナウンサー:
日本と韓国人団体への支援金を断つためのロビー活動をしているとの疑惑が提起されている。

Korea協議会代表:
我々のプロジェクトを日本政府が嫌っているため、我々のプロジェクトを選ばないように審査員に強く働きかけているそうだ。

アナウンサー:
我が国政府は見守るだけで何もやることはないと言っている。

レポーター:
外交問題に発展すれば少女像撤去の名分をドイツに与えるというのが政府の論理である。しかし少女像が女性の人権や暴力に関する世界共通の問題の象徴である点を広く世界に訴えることも政府のやるべきことの一つではないか。

—————————————————

独島関連 報道
「独島は韓国の土地ではない」‥ユン・ソクヨル政権で繁栄するニューライト (2024.08.14/ニュースデスク/MBC)

( 内容 )
李栄薫先生:
独島を韓国領土と断定することはできない。李朝時代の地図が間違っているからだ。
独島問題は大韓民国独立後、それもこの20年間に反日民族主義の象徴となったものだ。
しかし日本領と見ることも難しく、日韓が独島を巡って互いに譲歩すべき。

アナウンサー:
これは日本の独島を半々にしようと言う主張に似ている。日本との友好関係を害しないように低いレベルで管理すべき。

反日歴史学者:
日本さえちゃんとした根拠がないことを知っているのに何で韓国の学者の口からこんなことを・・

— 日米韓シンポジウムの場面 —

アナウンサー:
李栄薫氏は先月東京で開かれた日米韓シンポジウムでも「慰安婦は売春婦だった」と主張した。
シンポジウムには柳錫春氏やラムザイヤー教授も参加して同様の主張をした。
李栄薫氏の編著の『反日種族主義』の共同執筆者の鄭安基氏は最近『テロリスト金九』という本を出している。(注1)

アナウンサー:
三大歴史機関の長が全てニューライトに占められた。
東北アジア歴史財団 本来英国史専門のソウル大学教授朴チヒャン氏がトップに就任した。彼女は日本統治下で朝鮮が経済発展をしたと主張する『歴史の再認識』の共著者である。
彼女は就任記者会見でも「『日本は過去について謝罪していない』という既存世代の認識を若い世代に強制してはならない」と発言し波紋が広がった。

国史編纂委員・・・委員長に許ドンヒョン氏が就任した。彼は国定教科書編纂にも参与       しており、日帝時代の親日派である李光洙や尹チホを韓民族の「実力養成」によって独立を達成しようとした独立運動家であると評価している。

韓国学中央研究院・・・先月末院長に『反日種族主義』の共著者の一人である金洛年氏が就任した。

これ以外にも独立記念館の理事に落成台経済研究所所長の朴イテク氏が就任した。
5人中4人の理事は彼の就任に反対したが、国家報勲省の後押しで結局就任した。
以上

(注1) 「 金九 」について
1919年以来、上海で臨時政府に参加し、大韓民国臨時政府の警察本部長、内務大臣、大統領代理、国務領(大統領)などを務めた。1924年、満州の朴喜光と通じ親日派暗殺、主要公館破壊などを指揮し、韓人愛国団を組織して李奉昌の桜田門事件、尹奉吉の上海天長節爆弾事件を指示した。1940年から1947年まで大韓民国臨時政府の主席であったが、南朝鮮単独選挙実施を巡って李承晩と対立し、1949年6月26日に暗殺された。
現在、韓国では独立運動の英雄となっている。

金九は1896年3月9日、李氏朝鮮の黄海道安岳郡鴟河浦で起きた、強盗殺人死体遺棄事件(鴟河浦事件)の犯人の一人でもある。彼は日本人商人・土田譲亮を、日本人だとして集団で暴行、石と鉄棍棒で撲殺し、「義兵」と称して金品・驢馬を奪って、遺体を埋葬せずに凍った河に捨てた。この事件で金九は逃走後に、捕縛され、強盗殺人犯として死刑判決を受けた。後に特赦により減刑され、さらに脱獄する。韓国では鴟河浦義挙として讃えられている。
(以上ウィキペディアフリー百科事典より)

【報告】慰安婦問題を巡る国際シンポジウム 2024(7月10日 星陵会館)

アクセスカウンター

2024年7月10日、東京永田町の星陵会館ホールにて「第三回 慰安婦問題を巡る国際シンポジウム2024」が開催され、約250名の参加者で盛会のうちに終えることが出来ました。

日本軍慰安婦問題について「性奴隷ではない」という立場の日本・韓国・米国の真実勢力が一堂に会して発表を行うのは、史上初の試みでした。

主催団体「国際歴史論戦研究所」の所長として、各方面からたくさんのご協力をいただいたことに心より感謝を申し上げます。

今回の成功を基に、今後もこの連帯を継続、発展させていくことが重要だと考えております。引き続き皆様からご支援いただけますようお願い申し上げます。

2024年7月11日
国際歴史論戦研究所 所長、 なでしこアクション 代表
山本優美子

************************************************************
< シンポジウム資料 >

配布した資料冊子データ(PDF)
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/07/2024.7.10_symposium.pdf
※資料冊子は↓こちら↓から購入できます。
https://irich.shop-pro.jp/?pid=181726844

シンポジウム プログラム
http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2024/07/2024.7.10_program.pdf

************************************************************
< 動画 >
国際歴史論戦研究所 youtube チャンネル
https://www.youtube.com/@irich733

生放送アーカイブ (シンポジウム全編)

開会の挨拶 杉原 誠四郎  (国際歴史論戦研究所 会長)

第一部 基調講演

基調講演の先生方(左から西岡力、マーク・ラムザイヤー、李 栄薫)

1.西岡 力 (麗澤大学特任教授・歴史認識問題研究会会長)
「歴史認識問題としての慰安婦問題」

2. 李 栄薫(李承晩学堂校長)
「日本軍慰安婦の問題が韓国社会に及ぼす破滅的効果」

3.マーク・ラムザイヤー(ハーバード大学ロースクール教授)
「歴史問題と米国大学の問題 ― これからどうすべきか?」

第二部 研究発表
1.柳 錫春 (元延世大学 教授)
「延世大講義 名誉毀損刑事事件 第二審の争点」(通訳:朴 舜鍾)

2.福井 義高 (青山学院大学教授)
「慰安婦をめぐる事実と価値判断の間:経済分析の観点から」

3.金 柄憲 (国史教科書研究所所長)
「2023年日本国を相手にした慰安婦訴訟判決文と教科書の記述」

4.李 宇衍 (落星台経済研究所研究 委員)
「韓国メディアの慰安婦問題に関する報道動向」

5.松木 國俊 (国際歴史論戦研究所 上席研究員)
「慰安婦訴訟~日韓関係を破壊する個人請求権 復活の危険」

6.ジェーソン・モーガン (麗澤大学 准教授)
「The Comfort Women Hoax~慰安婦問題という詐欺の終焉とこれからの課題」

第三部 登壇者全員からの提言


閉会の挨拶
藤岡 信勝 (国際歴史論戦研究所 上席研究員)

国会議員挨拶
自由民主党 参議院議員 衛藤晟一 先生

自由民主党 衆議院議員 杉田水脈 先生

自由民主党 参議院議員 有村治子 先生

来賓挨拶
朱玉順 (韓国 オンマ部隊代表)

シンポジウム後の懇親会にて

************************************************************
< 報道 等 >

月刊Hanadaプラス  2024年08月04日
慰安婦問題を糾弾する「日韓共同シンポジウム」の衝撃(東京開催)|松木國俊
https://hanada-plus.jp/articles/1556

Japan forward July 16, 2024
Comfort Women Symposium Opens Up Research, Debate from Three Regions
https://japan-forward.com/comfort-women-symposium-opens-up-research-debate-from-three-regions/

Japanfoward July 19, 2024
HISTORYINTERVIEW | J Mark Ramseyer and Jason Morgan Discuss Comfort Women Research and Academic Fortitude
https://japan-forward.com/interview-j-mark-ramseyer-and-jason-morgan-discuss-comfort-women-research-and-academic-fortitude/

産経 2024/7/20
「慰安婦」強制連行説は「日韓離間工作の道具」 韓国で像撤去を求める朱玉順氏が批判
https://www.sankei.com/article/20240720-DDVSDA2D7JMYHGPSBBGAZKN7YI/

pennmike 2024.07.16
[問題フォーカス]「基礎的な資料も読まないまま私を攻撃」…慰安婦強制連行不正な美ハーバード大学ラムザイアー教授、日現地講演
[이슈포커스]”기초적인 자료도 읽지 않은채 나를 공격”…위안부 강제연행 부정한 美 하버드대학 램지어―교수, 日 현지 강연
https://www.pennmike.com/news/articleView.html?idxno=84440

ソウル メディア ニュース 2024.07.15
「日本軍による強制送還はなかった」…「慰安婦問題国際シンポジウム」が東京で成功裏に開催
“日軍에 의한 강제연행 없었다”…’위안부’ 문제 국제 심포지움, 도쿄에서 성황리에 개최
https://www.seoulmedianews.com/news/articleView.html?idxno=62118

世界日報 2024年7月11日
「史実を正しく伝えよ」慰安婦問題で国際シンポ
https://www.worldtimes.co.jp/japan/20240711-182910/

産経 2024/7/10
慰安婦国際シンポで日米韓の研究者らが議論 李栄薫氏「性奴隷説の実証的根拠確認できず」
https://www.sankei.com/article/20240710-HTJA5OOMMFLN5KCEAMOU2KFTRY/

協催団体「歴史認識問題研究会」シンポジウム報告
http://harc.tokyo/?p=3728

************************************************************

< 参考 >
シンポジウム当日(2024年7月10日)の正義連の水曜デモ1656回目のようす

正義連ファンギョン事務総長
「今日は静かですね。この極右勢力が日本にまで進出してここで話していることと同じようなことを日本で話している。あのラムザイアーという教授がすごいネットワークを持ってる保守系の団体から大きな賞をもらうのです。そしてその場で彼らのいう歴史の真実を更にいい続けなければならないと言うのです。彼らは歴史を否定するためにあらゆる手段と方法を動員しています。」