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ラムザイヤー論文について日本学術会議に公開質問状-「学問の自由」の侵害について見解を問う

国際歴史論戦研究所は、令和3年(2021年)6月3日付けで日本学術会議の梶田隆章 会長宛に『「学問の自由」の侵害について日本学術会議の見解を問う公開質問状』を送り、日本記者クラブにて記者会見を行いました。

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【 PDF版 】

令和3年(2021年)6月3日
日本学術会議会長 梶田隆章 殿

「学問の自由」の侵害について日本学術会議の見解を問う公開質問状

会長 杉原誠四郎

謹啓

日本学術会議におかれましては、日頃より日本の学術界を代表して「学問の自由」の尊重を標榜されていることに、国際歴史論戦研究所は敬意を表します。

さて、現在、その「学問の自由」を侵害する深刻な事案が国際的な規模で発生しております。ハーバード大学ロー・スクールのマーク・ラムザイヤー教授は、2020年12月、International Review of Law and Economics誌に掲載予定の ‘Contracting for Sex in the Pacific War’(太平洋戦争における性サービスの契約)と題する論文を電子版として先行して発表しました。この論文は、日本軍慰安所における業者と慰安婦の間の年季奉公契約を、経済学におけるゲーム理論の標準的なツールである「信頼できるコミットメント」概念を用いて分析した学術論文であり、査読等の通常の審査過程を経て同誌に採用されたものです。

ところが、今年1月、ラムザイヤー教授の論文の要旨が日本の新聞に紹介されると、これを知った韓国の慰安婦関係の団体などが反応し、アメリカ在住の韓国系の学者たちが主導してラムザイヤー教授を糾弾する動きが起こりました。そして、この論文の論旨に否定的な見解をもつ学者が連名で論文の「撤回」を要求する呼びかけを行い、世界的規模で署名を集めています。署名数は5月11日現在、3,665にものぼるとされています。(‘Letter by Concerned Economists Regarding “Contracting for Sex in the Pacific War” in the International Review of Law and Economics’)

そればかりではありません。ラムザイヤー教授に対しては、論文の論旨とは関係のない個人攻撃・人格攻撃が公然となされ、主に韓国から多数のヘイト・レターが送付され、教授の生命を狙う脅迫状(death threats)までもが送りつけられています。一篇の学術論文を書いただけで、学者が生命の危険にさらされるとは、まさに全体主義の風潮そのものであり、自由な社会において断じて許されるものではありません。

そもそも、ラムザイヤー教授は、法と経済の分野で国際的にも知られた第一級の研究者であり、多数の著書が日本語にも翻訳されています。幼少期から日本に在住し、日本の小学校を卒業した教授は、日英両語を自由に駆使し、日本を対象とした研究を多数発表してこられました。

日本の慰安婦問題については、最近の動向に反応して時事的に発言したなどというものではなく、ラムザイヤー教授は1991年に発表した論文以来、複数の論文で日本の公娼制度とその延長上にある日本軍慰安婦の労働契約をテーマとして取り上げ、同じ一貫した学問的フレームワークで研究を進めて来られました。今回の論文以前には、このような反対の動きは何も起こりませんでした。

いかなる論文についても、それに対する批判は自由です。しかし、論文に対する批判は論文によってなされるべきであり、趣旨に反対であるからといって、特定の論文の存在自体を、数を頼んで抹殺するよう要求することは、当該研究者の「学問の自由」を著しく侵害する許されない行為であるばかりでなく、自由な議論を通じて真理を追究するという学問研究のルールを真っ向から否定するものです。それによって、学問研究自体の存立基盤そのものを奪うことになります。

この事案は、アメリカ人の学者が遭遇した問題であり、日本とは関係がないというわけには参りません。学問研究の世界はグローバルな学問共同体によって担われているのであり、一国単位の閉鎖的な発想で事案に対処することは許されません。特に、ラムザイヤー教授の論文は他ならぬ戦前の日本社会を対象としており、日本人として無関心ではいられません。その意味で、この問題はどのような分野のどのような立場の研究者にとっても、避けて通ることのできないものです。

私ども、国際歴史論戦研究所は、以上のような観点から、本年4月24日に緊急シンポジウム「ラムザイヤー論文をめぐる国際歴史論争」を主催しました。シンポでは、10名の研究者が登壇して発言し、「学問の自由」の侵害と言論封殺の流れに抗する一石を投じました。シンポジウムにビデオで登壇したラムザイヤー教授は、「あまりの強い攻撃にさらされると、ひょっとして自分は間違っているのではないかという思いにとらわれることがある」と告白し、「学問の自由がいかに大切か、友達がいかに大切かを学んだ」と発言しています。

日本政府もこの件につき、すでに見解を表明しております。すなわち、本年3月22日、有村治子議員が参議院文教科学委員会でラムザイヤー教授が迫害に遭っている問題状況に関して質問したのに対し、萩生田光一文部科学大臣は、「研究者が外部から干渉されることなく、自発的かつ自由に研究活動を行い、その成果を自由に発表することは尊重されるべき」であると明確に答弁しています。

日本学術会議におかれましても、このような「学問の自由」の侵害や学問研究の存立根拠そのものを奪う事態については当然、大きな関心を払い、一定の危機感を共有していることと信じます。日本学術会議は、平成25年(2013年)に声明文「科学者の行動規範」を発表し、「科学者は、学問の自由の下に、特定の権威や組織の利害から独立して自らの専門的な判断により真理を探究するという権利を享受すると共に、専門家として社会の負託に応える重大な責務を有する」としています。今回のラムザイヤー教授に対する論文撤回署名運動は、まさに日本学術会議が掲げておられる「科学者としての行動規範」を反古にする行為ではないでしょうか。

しかしながら、いままでのところ、この案件に関して、日本学術会議がどのような見解をお持ちなのか、何の声も聞こえて参りません。日本の学術研究の世界を代表し、国費によって賄われる公的機関である日本学術会議が、「学問の自由」に関わるこのような深刻・重大な事案について沈黙し続けるなら、その存在意義を疑われることにもなりかねません。

以上のような趣旨から、この際、日本学術会議としてのこの事案に対する見解を明確にしていただきたく、以下の質問について、6月末日までにご回答賜りますようお願い申し上げます。

【質問1】日本学術会議の「学問の自由」に関わる一般的姿勢についてお伺いします。学術共同体の真理探究の方法として、学術論文として表明された学説に対する批判は、①学術論文を通した反論によって遂行されるべきであると考えますか。それとも、②反対者の人数や外部からの圧力によって撤回を強いて異説を封じるという形態も、学術共同体の真理探究の方法として、認容されるとお考えですか。(本質問に関して明白なご回答をいただけない場合、日本学術会議は②を拒絶されないものと理解されます。)

【質問2】前項の質問へのご回答は今回のラムザイヤー論文に対しても適用されると考えてよろしいでしょうか? もし異なる場合は、今回のラムザイヤー論文においていかなる特殊事情があるのか、ご明示ください。(本質問に関して明白なご回答をいただけない場合、日本学術会議は恣意的な二重基準をも否定しない機関であるものと理解されます。)

【質問3】論文の撤回要求という「学問の自由」の根本に関わる、本事案に関して、今まで日本学術会議として何の見解も表明してこなかったのは、いかなる事情によるものでしょうか。

ご回答いただきましたのち、ご回答を公表させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

敬白

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< 参考ニュース >

産経 2021/6/3
ラムザイヤー慰安婦論文で沈黙守る学術会議に公開質問状 保守系団体「行動起こすのは国民への責任」
https://www.sankei.com/article/20210603-5V3HJWON3RNR3GWZD3YEHCCEPY/

夕刊フジ 2021.6.3
日本学術会議、「慰安婦=性奴隷」否定のラムザイヤー教授糾弾にダンマリ 「学問の自由」侵害なのに…民間団体は公開質問状、どう答える?
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210603/pol2106030001-n1.html

韓国市民団体が「慰安婦詐欺の頑丈なる杭留め-河野談話を撤回せよ!」ソウル慰安婦像横にて 2019.6.2


韓国のソウル日本大使館前の慰安婦像で毎週水曜日に正義連(元・挺対協)が行っている日本を糾弾する水曜デモ。それにに対抗し、韓国の市民団体「慰安婦法廢止國民行動」の皆さんも同じ日、同じ場所で街頭活動を行っています。

令和3年6月2日(水)には「慰安婦詐欺劇の頑丈なる杭留め、河野談話を撤回せよ!」と声を挙げました。

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2021. 6. 2. 慰安婦法廢止國民行動 声明文

慰安婦詐欺劇の頑丈なる杭留め
河野談話を撤回せよ!

私はこの1月27日、鍾路警察署に、慰安婦の李容洙氏とキル・ウォンオク氏について’補助金の管理に関する法律違反の疑い’と言う題目で告発し、2月24日には、李容洙氏とキル・ウォンオク氏に対する慰安婦補助金支給の適正性の有無と関連して女性家族部を監査してほしいという国民監査を請求したことがある。

最近この2件に対して鍾路警察署に提出した告発件は却下され、監査院監査請求件は棄却されたとの通報を受けた。 すべて受け入れられなかったのである。

鍾路警察署と監査院は棄却理由ですべて’河野談話’を根拠として提示したが、監査院は、これに加え、2021年1月8日、ソウル中央地裁のベチュンヒ氏など12人が起こした訴訟判決文の中で”日本が強制的な人員動員政策を積極的に推進するため、被害者たちを欺罔したり、強制的に連行して慰安婦としての生活を強要したこと”になっており、4月21日、李容洙氏など21人が起こした訴訟判決文に”日本軍隊の要請によって朝鮮総督府が警察など行政体系を動員して、この事件の被害者たちを慰安婦に派遣した”と言う内容が判決文を強制動員の根拠として提示した。

よって私本人は1月8日裁判長のキム·ジョンゴン(金正坤)判事と監査院長に要求する。 原告ベチュンヒ氏など12人に対して”日帝によって欺罔受けたり、強制連行され、慰安婦生活を強要された者”が誰なのか明らかにすること。

また、4月21日裁判長のミン·ソンチョル(閔成喆)判事と監査院長に求める。 李容洙氏他21人の原稿中に”朝鮮総督府警察など行政体系によって慰安婦に派遣された者”が誰なのか明らかにすること。

裁判所がこの二つの事案について日帝と朝鮮総督府警察の違法行為を指摘した結論から見て、当然それだけの根拠があったはずである。

しかしこれを明らかにできなければ、この二つの判決は明白な誤判であり、該当する裁判長は当然、それに対する責任を負わなければならない。

また、鍾路警察署と監査院は、同一として河野談話中”慰安婦の募集に対しては、軍の要請を受けた業者が主にこれを引き受けたが、その場合にも、甘言、強圧によるなど、本人の意思に反して募集された事例が多くおり、さらに、官憲などが直接加担したということが明確になった”いう部分を根拠に提示した。

しかし、これは、河野官房長官の立場表明で、慰安婦強制動員の証拠にはならない。

何よりも河野談話の内容のとおり慰安婦募集は日中戦争と太平洋戦争の際に日本軍占領地で、日本軍の要請を受けた業者によって行われた。

よってこれら業者は、日本軍の管理下に慰安所を運営しており、彼らが運営した慰安所で働いた女性のみを’日本軍慰安婦’といえる。

日本軍慰安所がない日本、朝鮮、満州、台湾や、日本軍管理と無関係な遊郭や料亭で働いた売春女性たちは、日本軍慰安婦になることができないという意味だ。

次に「官憲などが直接加担した」というが、官憲とは一般的に「警察」を意味する用語で「日本軍」を指すものではない。

何より警察は誘引·誘拐または人身売買などの犯罪行為を取り締まり処罰する公務員であって、民間女性を募集するなどの不法行為は不可能なのである。 ただ一部の慰安婦の証言に巡査が登場した場合があったが、これは全て’公務詐称の詐欺犯’に該当するのである。

河野談話にはまた、”当時の韓半島は日本の統治下において、その募集、移送、管理なども、甘言、強圧によって行われた。”としたが、慰安婦は出国前に親権者の承諾を得て、店のオーナーと契約した後、直接管轄警察署に出頭し、身分証明書の発給を受けてこそ、占領地の慰安所に行くことができた。

なのにどうして移送や管理に甘言や強圧があったと言えるのだろうか? このように官房長官の立場表明という理由以外に、決定的な誤りを内包している河野談話が何故強制動員の証拠になり得るというのか、鐘路警察署と監査院は説明しなければならない。

何よりも李容洙氏は「大邱から連れていった男性が慰安所の主人だった。 私たちは彼を’おやじ’と呼んだ」と証言している。

また、彼女が慰安婦生活をしたという台湾、特に新竹には、日本軍慰安所が存在しなかった。 ‘おやじ‘について行って日本軍慰安所もない台湾に行った李氏がどうして日本軍慰安婦であり、日本軍慰安婦被害者だと言えるのだろうか?

それだけでなく、李容洙氏は「サック(コンドーム)も知らなかった」「主人が606号の注射を打った」、「病院や保健所で診断を受けた記憶もない」と証言した。 性病管理が最も懸案であった日本軍慰安所では到底ありえないことを証言したのである。

慰安婦法廢止國民行動
國史教科書研究所 金柄憲 所長

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